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【2018年度立命館映像展のすゝめ vol.13】~番外編~ 映像展レポート②

2019.03.12

「立命館映像展」2日目のレポートです!
レポート①はコチラ

【2月23日(土)】

<上映会場>

上映2日目です。シアター内ではリハーサルや進行チェックが入念におこなわれていました。映像展を運営する学生委員の今年のリーダーは佐藤史歩さん(実写ゼミ)。そして上映部門のリーダーは岡田あかりさん(実写ゼミ)です。二人とも円滑な進行に相当な神経を使いながら、トラブル時も冷静にテキパキと動いている姿が印象的でした。今年はとにかく全体的に『女子力』が半端ないと言われた映像展でしたが、そのパワーの原動力はなんと言ってもこのリーダーの存在だったのではないでしょうか。2日目の司会は1日目から引き続いての小西さん、そして2回生の奥津虎太郎さんです。


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映像展学生委員全体リーダーの佐藤史歩さんを囲んで進行チェック(背中が佐藤さん)


上映2日目のトップバッターは上映部門リーダーでもある岡田あかり監督作品『18』。そういえば卒業制作では珍しく、キャストに猫ちゃんが登場。しかも物語序盤の鍵を握る重要な役どころでした!映画は東京から田舎の町に引っ越してきた主人公の蒼が悩んだり、決断したりしながら過ごした高校生活最後の半年を描いたもの。田舎の穏やかな風景や、放課後の校舎、夕暮れ時の電車のホームなど全体的な画の色合いが、主人公や彼女をとりまく人間関係、そして純粋だけど複雑な18歳の心情とうまくマッチしていたのがとても印象的でした。

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上映部門リーダーも務めた岡田あかり監督(写真左)

今年の映像展上映の大きな特徴の一つとして、ドキュメンタリー作品が非常に多かったことが挙げられます。昨年度10作品であったのに比べて、今年はなんと2倍の20作品!実写ドラマの作品数(18作品)を初めて超えました。学生の映像人類学への関心の高さが伺えますね。2日目ドキュメンタリー作品のトップバッターは大野将季監督『柳湯』でした。地域からその数が年々減っていく銭湯について、経営者・利用者・地域住民など様々な視点から映し出した作品。時代の移り変わりによって、銭湯の存在意義も変化していることがわかりました。ドキュメンタリーは、聞き手の引き出し方によって登場人物が語るエピソードの幅や色が大きく変わるような気がしますが、そこはさすがコミュニケーション能力の高い大野監督。非常にリラックスした様子でそれぞれ率直に銭湯文化が語られていました。


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大野将季監督(写真左:手ぬぐいと洗面器を持参して)

映像展全体のリーダーを務めた佐藤史歩さん、そして宮川勝行さんの共同制作『JKが本気でAVを撮ってみた』は、そのタイトルのきわどさで公開前から話題となっていました。実は露骨なそういったシーンはなく、清々しいほどの青春ストーリーでした。アンケートでも「いい意味で裏切られました」などの声もあり、シアターから出てきたお客様も笑顔でいっぱいでした。なんとこの作品の時に劇場は今年初めての満席に。注目度の高さが伺えました。


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満員御礼

2日目の上映作品の中で意外だった作品がありました。吉村健吾さん・毛嘉誠さん・神田哲人さん共同制作の『#炎上ヒーロー』です。映像学部には毎年「特撮好き」な学生が一定数入学してきます。予告編を観る限り、きっと制作者の彼らもそんな特撮好きで、卒業制作で本格的な戦隊ヒーローものを作りたいという思いでこの作品を制作したんだろうなと失礼ながらさらっと浅く予想していました。確かにかっこいいヒーローも強面の悪役も登場しますが、実は主人公であるヒーロー・ヴォルケインの本当の敵はネット社会の日常に潜んでいたという展開。私たちも日々直面する社会問題に彼らならではの手法で挑んだ作品となっていました。

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写真左から吉村さん、神田さん、毛さん(予告編は非公開でした)

2日目最後の上映は吉川美貴監督作品『西院駅徒歩二分半の天使』。この作品は、そのタイトルや予告編から、主人公の個性的ないで立ちや、BGMのクラッシック音楽が印象的ではあったものの、どんな物語なのか想像が尽きませんでした。上映パンフレットにも「音楽×青春群像劇×ファンタジー」と記載されており、益々謎に包まれていました。作品上映後、監督舞台挨拶で、監督自身が今までずっと感じてきた「生きづらさ」を映画で何とか表現したいという思いで苦しみながら制作したと涙ながらに語ったとき、「ああ、その思いはきっと今日叶ったな」と感じました。観客席で見守っていた制作スタッフの学生も、その挨拶を聞きながら泣いていて、吉川監督の気持ちをスタッフがみんなで受け止めて一緒に頑張ったんだろうなと、改めてものづくりの素晴らしさに感動しました。


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<展示会場>

展示初日。今年もイオンモール様・クレオテック様・運送会社様・設営業者様など各方面からご協力をいただき、個性豊かな展示会場ができあがりました。本当にありがとうございました!開場前におこなったミーティングでは、展示会場のリーダーを務めたメディアアートの望月ゼミ南美晴さんが来場者対応についてしっかりと確認事項を説明。展示責任者であるゲームゼミの渡辺修司先生と時にロールプレイも交えながら、お客様にわかりやすく、また気持ちよく鑑賞・体験していただけるように最終調整をおこないました。いよいよ開場です!

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2日目は、映像展で初の試みとなる中高生を対象とした「立命館映像展ツアーガイド」を実施しました。「映像学部を受験したい」「映像に興味があるけど、実際どんなことをやっているのか目で見てみたい」といった中高生のアツい思いや好奇心を受け止めるべく、事前予約制で企画開催しました!30分ほどの短いツアーですが、多様な学びについて望月先生が学生もその場で巻き込みながら楽しく説明しました。当日なんと静岡県からお母様と来てくれた高校生もいて、後日「学生さんはみんなそれぞれに目標を持っていて合作でゲームを作ったり、自分でアポをとったり、自主的ですごいなと思いました。」と嬉しい感想をメールでいただきました。これはまた来年の映像展でも実施したいと考えています!

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上記ツアーガイドでも望月先生が非常にいい取組として紹介していた、デジタルアーカイブの古川ゼミで展示されていた吉田亮太さんの『淀川における水上の商いの仮想再現ーくらわんか舟を例にー』。歴史的建造物である寺社仏閣やお城、そして街並みを3DCGで再現することが多いこのゼミの作品の中で、くらわんか舟を使った「商い」そのものを再現されていたこの作品は、学芸員の資格も取得した吉田さんが、博物館などで小学生向けの歴史の教材に使用することを前提に、みやすさ・わかりやすさに工夫を凝らしたものとなっていました。映像学部で得た知識・技術がこんな風に実際に教材として活用できたら素敵ですね!


今年は、展示会場内の様子が外からも見られるようにセッティングされており、多くの通りすがりのご家族連れがなにやら楽しげな展示会をやっているなと興味をもって来場いただけたように感じています。小さいお子様に人気だったのは、VRの大島ゼミで展示されていた角園司さんの『School of Fish』。11月に滋賀県長浜市で開催された黒壁での展示会でもとても人気だったこの作品。手の動きによって小さいさかなの群れが動くこの作品には、多くの大人たちも癒されていました。

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メディアアートの望月ゼミ星安澄さんの作品『チャリンコ・コミュニケーション CHARICO』は、キャンパス内で以前開催された望月ゼミ単独の卒業制作展では実際に展示物に乗って体験できましたが、会場の環境や来場者のことなど様々なことを考慮し、自主的に展示物を見ながらの説明という形になりました。来場者に体験いただけなかったのは残念でしたが、星さん元気に展示を説明していました!その自転車に乗って漕ぎ出すと、前の体験者が残したメッセージを聞くことができ、また自分も次の人にメッセージを残せるというモビリティ型メディアでした。

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次回はいよいよ最終日のレポートです!