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映像学部松本ヨシユキ先生が撮影を担当した映画2本が間もなく劇場公開!!

2018.05.29

『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。』(監督:李闘士男、6月8日公開)
『パンク侍、斬られて候』(監督:石井岳龍、6月30日公開)

非常に個性的なタイトルの2作品。いずれも6月に公開を控え、現在様々なメディアで紹介され、注目されています。

これら映画作品に共通する人物がいます。

それが映像学部で「撮影技術照明実習」や「映像制作実習」などをご担当の松本ヨシユキ先生です。松本先生はこの2作品に撮影担当として関わっておられます!今日のEIZO VOICEでは、そんな松本先生に、公開映画のこと、映像学部のこと、撮影の仕事のことなどをお伺いし、お届けしたいと思います!



-まずは、映画の現場にいながら、映像学部の教員になられた経緯を教えて下さい。
 映像学部の深沢伸行先生には30年以上前からお世話になっています。私がまだ20代前半、東京で映画の現場にいたところを「ドラマをやってみないか?」と誘われ、撮影助手として東映京都撮影所の現場に参加した頃からです。お正月特番の12時間ドラマでした。

 その後私は映画関係の知り合いから誘われて、日本映画大学・神戸芸術工科大学で非常勤講師をすることになりました。元々カメラについて後輩に教えたりするのが好きで、誘われた時も特に大きな迷いもなく決めました。

 そういった経験があったことから、当時既に映像学部で教鞭をとっておられた深沢先生から再び「映像学部で教員採用の公募がある」という連絡をいただき、受けることにしました。
 「特別契約教員」なので、兼務が認められており、今は映画やドラマの現場に参加しながら映像学部の教員をしています。

-映画の撮影業務と映像学部の教員業務について教えて下さい。
 撮影業務は映像学部生の皆さんであればご存知だと思いますが、その現場の監督が持っているイメージをいかに尊重して映像にするかというのが仕事です。そのためには、監督との密なコミュニケーションはもちろんのこと、過去の監督の作品をおさらいして、その監督が描くイメージを心得ておいたり、今はスマートフォンがありますからざっと仮の撮影をしてからイメージを事前に確認したりしながら本番の撮影に入るようにしています。完成した作品を映画館で観たときや、その作品に対して観客のいい反応が見られた時はやはり嬉しいですね。

 

 映像学部の教員業務は、まだまだ「難しい」と思うこともたくさんあります。専門学校や芸大・美大だと、本当に「映画で食べていきたい」という学生ばかりですが、映像学部は総合大学でかつゲーム・CG・メディアアートなどいろんな分野に興味のある学生がいて、多様性に富んではいるものの、中には最初は実写映像にあまり興味がないといった子もいるので、そういった子たちにどうやって実写映像の魅力を伝えていこうかということにいつも四苦八苦しています。ただ、いろんな分野を知ることができる映像学部の学生には大きな強みもあると感じます。

  現在劇場公開されている『レディ・プレイヤー1』(監督:スティーブン・スピルバーグ)を観るとそのヒントがあります。これからの映画は、ただ映画の知識だけを知っているだけでは通用しない場面も多々あるように思います。『レディ・プレイヤー1』では、実写・CG・VR・アート・ポップカルチャーいろんな要素が詰め込まれていて、現代のエンターテインメントが凝縮されています。観ていてワクワクしますよね。こういったいろんな分野を融合させて新しいエンターテインメントを生み出す力は、映像学部生が4年間で修得できる強みではないかと思います。



-今回公開される2作品について教えて下さい。
 『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。』は、ラインプロデューサーの人が知り合いで、声を掛けていただきました。監督の李闘士男さんは元々テレビ業界で活躍されていた人で、頭の切替が速く、現場のスピード感も速い。やりたいことがかなり明確に決まっていて、頭の中のイメージをすぐ具体的に言えるすごい監督さんです。私にとって初めてお会いするスタッフが多い現場でしたが、監督の判断が速いこともあって、いろんなことを試したり、提案することができて楽しかったですね。


 家に帰ると妻がなぜ死んだふりをしているのか、最後まで考えながら観るのがいいと思います。「次はどんな死んだふりか?」って想像するのも楽しいです。また、主役の安田顕さんの演技も注目です。

 『パンク侍、斬られて候』は、「東映京都撮影所で時代劇を撮る」という私の夢がやっと叶った非常に感慨深い作品となりました。監督の石井岳龍さんとは私が助手の頃から数えて6本目の作品になります。だいたい彼がどんな画が好きかはわかるようになりました。監督は学生時代に自分も撮っていたということもあり、撮影の知識をよくご存知です。とても詳しい監督なので、指示も具体的で撮影もやりやすかったです。


 当初は2時間40分ほどの台本だったのですが、劇場公開に適した尺として2時間11分に短縮しました。なので、非常に展開が速く、息が抜けないストーリーになっています。圧巻なのはダンスシーンで、エキストラさん含め総勢220~230人ぐらいで踊るのですが、振付を担当された立命館大学OB(経済学部卒)で業界でも大活躍されている振付稼業air:man杉谷一隆さんの「躍らせ方」がとてもうまく、見応え十分です。そして宮藤官九郎さんの脚本もとにかく素晴らしいです。想像をはるかに超える世界になっていること間違いなしです。

-それでは最後に映像学部生にメッセージをお願いいたします。
 人には撮れないようなオリジナリティ溢れる作品を創ってください。そして、もし現場以外のところに進んでも、創ることは止めないでほしいです。

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  松本先生ありがとうございました!
 「教えるのが好き」とおっしゃっていましたが、先生の授業を何度か見学に行かせていただいた時も、とても優しく、丁寧に、時にジョークも交えながら語りかけるように授業をされている姿が印象的でした。学生もわからないことがあればすぐに聞ける環境で一からカメラ操作について学ぶことができ、何より最前線で撮影業務をこなす先生にプロの現場の話を聞けることは新鮮ですね!

 映像学部生の皆さんは松本先生に撮影秘話などグイグイ聞いてみてはいかがでしょうか!?
 来月公開の映画2作品についても、先生が撮った見所満載の画を劇場の大画面で存分に楽しんでみてください!

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