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京都「時代祭」映像化部隊として関わった学生たちの奮闘記!

2019.01.24

昨年10月に京都市で開催された伝統文化行事「時代祭」。実はこの時代祭に、映像学部の学生がとある行列の記録映像制作をするために関わりました。今回はその学生たちへのインタビューも含め、活動を紹介したいと思います!

葵祭、祇園祭とともに京都三大祭の一つとして知られているこの時代祭は、「京都市民による一大歴史パレード」とも言うことができ、約2,000名2キロの京都の歴史を彩る行列が「学区」ごとに構成されています。その中で昨年楠木公(楠木正成)上洛列を太秦学区が勤めることとなり、13年前にこの学区が列を勤めた際にこの記録映像を担当されたNPO法人「京都の文化を映像で記録する会」(京都市右京区太秦)から依頼があり、今回は若い学生の発想で是非映像を作ってほしいと映像学部生に白羽の矢が立ちました。

担当の主体となったのは、映像制作サークルGREENS。西村拓也さん(2回生)がリーダーとなり、このプロジェクトを牽引しました。GREENSにとっても、今まで届かなかった所に自分たちの制作した映像を届けられることに大きな意義を感じ、何よりこのような伝統文化行事に携われることは貴重な機会でもありました。

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「京都の文化を映像で記録する会」には撮影所で長年活躍されていた理事長をはじめ、大手企業でCM制作をおこなってこられたご経験のある方など映像のプロの方が在籍されており、学生は諸先輩方に事前打合せでまずは祭り自体について教えていただき、様々なアドバイスや段取りの確認などをレクチャーいただき、本番当日を迎えました。

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時代祭当日は、GREENSの撮影メンバーが2名ずつで割り当てられた6箇所の区間に向かい、行列を撮影する・・・予定でしたが、事前に想定はしていたものの、想定以上の交通渋滞が彼らのスケジュールを大幅に狂わせます。「車を途中で降りてカメラを担いで走った」という撮影担当の濱田未来さん(2回生)。濱田さんのスマホを見せてもらいましたが、当時のメンバーとのLINEのやりとりから焦りとドタバタ感が伝わって来ました。結局全力で走ったものの、4名が担当の区間には間に合わず、渋滞の影響が少ない区間を担当していた2名が3区間を必死に撮影するというファインプレーで、何とか指定されたカットは撮影することができました。

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リーダーの西村さんに今回の撮影について感想をうかがいました。

「今回の案件を終えて僕が一番に感じたのは、『ドキュメンタリーを作る難しさ』です。
ドキュメンタリー作品の制作は、普段の授業や課外自主活動で勉強している映画の制作とは全然違っていました。
映画は事前に脚本があって、撮影でミスがあれば撮り直すことが出来ます。しかしドキュメンタリーでは本番は1回しかありません。

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僕も最近知ったのですが、映像制作には『Make』と『Take』という2つのタイプがあり、それぞれ制作系、取材系という意味があります。

私たちが普段行っている映画・MV制作はMake、ドキュメンタリーや記録撮影はTake。もちろん、タイプが違えばそれに求められる能力や技は異なります。

今回はその『Take』の現場で、太秦のたくさんの方がこのドキュメンタリー作品を楽しみに待っている、というのを考えると、『撮り逃し』だけは避けなければいけないという緊張感でいっぱいでした。参加した他のカメラマンたちもその緊張感の中ですごく頑張ってくれたと思います。」

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そんな撮影が終わり、次なる試練が彼らを待ち受けていました。編集については、担当した全員が経験豊富だったわけではない中で、今回この行列に携わった地域の方々に映像を観せるためのリミットもあり、また、若い学生の発想が必ずしも映像の受け手である太秦の皆さんのニーズとマッチするとは限らず、1回目の試写ではかなりの修正依頼があったとのこと。ある程度は今までの経験を活用しながらも、最終的にはそのニーズを汲み取りながら何度も何度も手直しをおこなうという編集作業が続きました。

編集についても西村さんに語っていただきました。

「無事に撮影が終わり、次は編集に移りました。編集マンは僕を含め4人だったのですが、そのうち3人が1回生、初めて編集ソフトを触る子もいるという状況でした。

それでも、1回生の子たちのやる気はすごくて、みんなベストを尽くしてくれました。結局その後計5回の編集チェックを終えて、ようやくOKを頂くことが出来ました。今思えば血の滲むような編集期間だったと思います(笑)

度々の編集チェックではかなりダメ出しをされて、正直心が折れてしまいそうな時があったのですが、お相手はベテランのプロの方です。1つ1つの指摘が的確で、映像を観てくださる人のことを第一に考えた編集技法をたくさん教えて頂きました。普段お話しする中でも、『電話してくれればいつでも教えてあげる』と言って頂き、非常に心強かったことを覚えています。」

“初めて編集ソフトを触った子”、というのが1回生の岸谷京香さんでした。

「1回目の試写までの作業は、本当にわからないことばかりで、夜中でもとにかく何度も先輩に連絡して聞きながら作業を進めました。試写がお昼におこなわれる予定だったのですが、自分の作業が終わったのがなんとその当日の2限目でした。そこから西村さんが4名分の編集動画をつなげて試写に間に合せてくださいました。先輩にはすごく迷惑を掛けてしまいましたが、とても勉強になりました」

初めてでも根を上げずに頑張った1回生と、そんな後輩を励まし続けたリーダー西村さんとの間にはきっと強い信頼関係が生まれたと思います。

できあがった動画はDVDに焼いてパッケージングし、予定通り太秦学区の皆さんに配布されました。そのことを事務室に報告に来てくれた西村さんの表情は、嬉しさというよりも安堵感でいっぱいという印象でした。

完成した動画がコチラです↓


最後に西村さんに今回のこの貴重な制作経験を振り返っていただきました。

「今回の映像制作を通して、映画とは違うワークフローを体感できたことは、自分たちの中ですごく大きなことだったと思います。

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そして何より、この立命館大学映像学部が、様々な文化と歴史にあふれた京都にあることのありがたみを感じました。今回の件も、我々映像制作団体GREENSとしては、京都三大祭りの1つに関わることのできる貴重な機会、そして私たちの活動を広く知ってもらうことのできるチャンスだったと思います。

これからも様々な映像制作を通して、映像制作団体GREENSはもっと広く、たくさんの方と映像を作っていきたいと思います。」

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インタビューに答えてくれたGREENSの3名(左から濱田未来さん、西村拓也さん、岸谷京香さん)

GREENSの皆さん、本当にお疲れ様でした!
そして、このような貴重な機会を与えていただいた太秦学区の皆さまに感謝すると共に、最後までご指導いただいたNPO法人「京都の文化を映像で記録する会」の皆さまにも御礼申し上げます。

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