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3DCGのコンペ「Award:Q2018」で映像学部4回生萬喜美穂さん(CGゼミ)が入選!!

2019.06.21

先日結果発表された3DCGのコンペ「Award:Q/Project Studio Q Anime CG Award」。これはアニメーション制作会社3社からなる「プロジェクトスタジオQ」が主催するアニメCGコンテストのことで、各クリエイターのさらなる才能の飛躍、アニメCG業界の新たな可能性に繋がることを目指して2017年からスタートしたコンペです。特別審査員には、「新世紀エヴァンゲリオン」の庵野秀明監督が名を連ねています。

コンペには、モデリング部門(学生の部・一般の部)とアニメーション部門(学生の部・一般の部)があり、映像学部4回生萬喜美穂さん(CGゼミ)がこのアニメーション部門(学生の部)に応募し、入選しました!

萬喜さんに応募のきっかけや苦労した点、CG制作への思い、映像学部の学びについて伺いました。

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日々ラボで制作作業を行う萬喜さん

「Award:Q2018」に応募しようと思ったのは、一つ上の先輩が去年同じコンペで入選されていて、応募を薦められていたことがきっかけです。私の個人的な今年の目標が「コンペで入賞」だったので、チャレンジしようと考えました。

テーマは「猫と女の子のかわいらしいやりとり」。私は四足歩行の動物をCGアニメーションで描いたことがありませんでしたし、猫を飼ったりそこまでじっくり観察したこともありませんでした。だからこそ、この応募を通じて四足歩行動物のアニメーションにチャレンジしてみたい!と思いました。

去年の同コンペのテーマは「剣を使ったアクション」でした。一見すると″そっちの方が難しそう″と思われるかもしれませんが、私にとってはより登場人物の「芝居」や「感情・表情」が試されるという点で今年のテーマの難易度は高いものでした。剣で戦う動き、いわゆるボディメカニクス(身体運動)はある程度正解があると思うのですが、お芝居には正解がありませんし、表情のアニメーションも難しいです。でも、難しいからこそワクワクしました。苦労した点と言われれば、「お芝居や四足歩行動物のアニメーション」だとは思うのですが、苦しくはなかったですし、むしろとても楽しかったです。

まずはネット動画で猫を検索し、何度も何度も観ました。また、猫好きの友人に「どういうところがかわいいの?」とか「どんな風にかわいがりたいの?」とインタビューしたり、「やはり実物だろう」と猫カフェに行ったり、キャンパス内の猫を観察したり。。。そうやってあらゆる猫の動きを調べているうちに、「あ、この動きいいな」とふと思いつく瞬間がありました。それが今回私のアニメーションにもなった、『猫が寝ている女の子を起こす』という動きです。これもネット動画でかなり研究しました。


萬喜美穂さんAward:Q 2018入選作品「起きて!かまって!」

アニメーション作りは、「描く」という作業よりもむしろその前に「資料を集めて、観察し、分析する」ということが非常に重要だと思います。私は自分の頭の中にある「動き」は信用していません。頭の中の動きが間違っている場合もありますし、それよりも良い動きやアイデアがあるかもしれないからです。いかに事前リサーチして、自分がめざしている動きに関連する資料や良いアイデアを多く集めるかでその後の実作業のクオリティが格段に変わってくると思います。

実はこの制作期間がちょうど就職活動時期と重なっていたこともあり、スケジュール管理が思ったようにいかないこともありました。説明会や面接で東京へ行くとなれば、移動時間だけでもかなり長時間になり、自分にとっては大幅なスケジュール調整が必要になります。これに加えて卒業制作についても徐々に視界に入れないといけない時期だったので、予想以上にスケジュールは狂いました。それが今回の反省点の1つかなと思います。ただ、その忙しさも含めてすごく楽しかったです。忙しかった一方で、ちゃんと睡眠・風呂・ご飯・推し(笑)を欠かさなかったのも、楽しみを感じられる精神状態にしてくれた1つの要因だと思います。やっぱり身体的にも精神的にも健康であることは、制作の上でとても大切だと感じます。

一旦仕上げたアニメーションは、今度は知り合いで学外のアニメーションを専門にされているプロの方に見てもらい、客観的な視点からアドバイスを受けました。これを元に更に修正を加えて完成させました。

時間的にも余裕がなく、初めてづくしだった今回の作品については、入選したものの、自分の中では「まだまだだな・・・」と感じる部分が多く、一般の部の入選作品を見て、やっぱり実践を積まなければと強く感じています。


この他にも「楽しそう!面白そう!」と思えば、コンペには挑戦しています。そのコンペによって求められている力量や評価のポイントなどが違うので、それをまずは分析して、それによって資料を集めて、下調べをして、締切までにどういったスケジュールで作業するかを計画して応募する、という工程を経験値として増やしていくことで、自分自身のスキルをどんどん上げていきたいと思っています。

こう振り返ってみると、自分の原動力は「楽しい」「面白い」「好き」なんだなと感じます。好きな歌で「一度の人生やりたい事やらなきゃ」「いざとなったらムチャして面白くしてやろうぜ」というフレーズがあるのですが、私はそれぐらいの勢いで行動したいタイプです。性格上、「好きなことや楽しいと感じることしか続けられない」タイプなので、苦しいと感じたときは「どうやったら楽しく、面白くできるか?」と考えるようにもしています。

そんな性格の自分はとにかく小さい頃から、アニメと特撮が大好き。そして絵を描くことやモノづくりが大好きでした。

だから、高校時代から「将来はアニメ業界にクリエイターとして就職しよう!」と思っていました。
一方で、絵を描くことに関しては「自分の好きなキャラクターや人物を描くこと」が好きだったので、逆に仕事にはしたくないという思いがありました。
作画アニメーター以外のクリエイターだと何になりたいだろう……と考えていたときにちょうど、セルルックの3DCGアニメーション作品など日本のアニメCGに興味を持つようになったんです。
良くも悪くも3DCGに関しては何も知らなかったので、「CG格好良い!」「CGできたら格好良さそう!」というノリで、CGをやってみたいなと思い始めました。我ながら単純な思考回路だなと思います(笑)。

その一方で学校の勉強も昔から割と好きな方でした。
進路選択の段階では、成績もよかったので何となく国公立の大学に行くことを考えていました。それが、ある日、高校にとある大学の教授が講演にきて、
「君たちが今めざしている大学で自分が本当にやりたいことをやっている姿が目に浮かびますか」
と聞いてこられました。これがもう全く見えなかったんですよね。その時の志望校でやりたいことをやっている姿はおろか、何をしているのかも見えませんでした。

そこで真剣に、「CGをやってみたい」「アニメ業界にクリエイターとして就職したい」という自分の思いに向き合い、CGを勉強できる学校を探すことになりました。

映像学部は、たまたま見た学部パンフレットでビビっときました。学科やコース分けされていなくて、学びたいことを分野を超えて学べる。CGをやりたい子はもちろん、映画・ゲーム・VRいろんなことに興味のある学生が集まる「ごった煮」感にすごく惹かれました。
ここでもCGをやってみたい!と思ったときと同じ軽いノリで「超面白そうやん!ここにしよう!」と思って、映像学部に入学しました。
こういう軽いノリや勢いって案外面白い展開を巻き起こすと思うので、今後も大切にしていきたいです。

そして、そんな私の急な進路変更を認めて送り出してくれた家族には本当に感謝しています。

映像学部はとにかくおもしろいです。学生や先生がおもしろいし、「ごった煮」感もあり、毎日が新しいことの連続です。やりたいからやっているので、CGアニメーション制作もまったく苦痛に感じたことはありません。残りの学生生活は、卒業制作を悔いのないように楽しんで作りたいと思います。就職活動もいよいよ終盤戦。今は自分の将来にワクワクしています。まずはアニメーションがもっと上手くなりたいですし、「この人とまた一緒に仕事がしたい!」と思っていただけるようなクリエイターになりたいです。そして、日本だけでなく海外の現場も活躍できるように、どんどん楽しみながら行動していきたいですね。

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もって生まれたセンスや手先の器用さ、それももちろん重要かもしれませんが、萬喜さんのお話を聞いていると、ものづくりには調べて考えて作業してという日々の鍛錬も必要なのだということを改めて感じました。

よく高校生の方から、「高校でCGソフトを使ったことがないのですが」という不安の声をいただきます。結論、そんなことはまったく問題ないです!!日々の鍛錬を継続するには、萬喜さんのように「好き」と思える気持ちがあるかどうか。それが何より大事だと思います。どうか、皆さんの中にある「好き」という気持ちを大切にしてください。

8月3日・4日に実施するオープンキャンパスでは、萬喜さんが所属するCGゼミがCG制作体験コーナーを開催してくれます!詳細はまた後日公開します。是非、お越し下さい!

<萬喜さんのポートフォリオ等>
・デモリール:https://vimeo.com/291858360
・ポートフォリオサイト:https://mankichi-kichi.tumblr.com/
・ツイッター:@mankichi_kichi
(中高生や1、2回生からの質問大歓迎です!リプライ、DMなんでもどうぞ!)

<CGゼミギャラリー展について>
萬喜さんが所属するCGゼミが今年も展示会を開催します!
日時:7月24日(水)~7月29日(月)  11:00~19:00 (最終日は16:00まで)
場所:アートギャラリー北野
〒604-8005 京都府京都市中京区恵比須町439−4
https://goo.gl/maps/rG6aPxzqWNEb6tSVA


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