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映像学部授業「写真学ワークショップ」にお邪魔しました!

2019.11.20

特殊講義(専門III)「写真学ワークショップ」は、写真家の荻野NAO之先生が担当する実践型の授業です。

本科目では現代社会の至るところに存在し、いろいろな物事を記録し、表現できる写真について、その撮影テクニックだけではなく、原始的な写真術から体験することで、自分で生きている世界を改めて再体験し、イメージと向き合うことを試みます。

今回は荻野先生が担当しておられるスタンフォード大学の日本留学プログラム「Stanford Program in Kyoto」(同志社大学敷地内)の留学生が来校し、「ある漢字の起源をテーマに、イメージを作成し、ディスカッションする」という授業がおこなわれました。

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まずはくじ引きで留学生と映像学部生が3名1組となり、10班に分かれました

先生が説明を始めます。ホワイトボードに書かれたのは「美」と「醜」。
立命館大学名誉教授でもある漢文学者・東洋学者の白川静先生の文献を引用しながら、2文字の起源について説明がありました。

「今日はこの『美』と『醜』をイメージする写真を撮影します。ただし、自分のカメラでは撮影しません。ほかの班のメンバーに自分の言葉やジェスチャーで説明し、表現したいものを撮影してもらいます。今回はこの写真がいいとか悪いとかそういうことがポイントではなく、いかにして自分の価値を伝えるかがポイントです。」

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説明を聞いて班のお互いのメンバー同士顔を見合わせてはなにかむ学生たち。映像学部生は全員が英語が堪能というわけでもなく、また同じようにスタンフォードの学生も日本語を話せる人が数名程度。持ちうる限りの語彙と表現方法、そして伝えたいという意思でもって相手に自分の表現したいものを撮影してもらいます。

最初は少し照れながらコミュニケーションをとっていた学生たちでしたが、それぞれの自己紹介をおこない、呼び名を確認し、撮影のため教室の外へ一歩出るとその表情から打ち解けていく様子がよくわかりました。

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「あー、いいね」「なるほどね」「この角度でもっと近づいて撮ってほしいな」「これは『美』というより、『カワイイ』だね」「どうしてこれが『醜』って感じたの?」

などなど、撮影を通じてお互いの感覚やセンスを理解し、気付きがあったようです。

撮影が終了し、ディスカッションの時間が始まりました。荻野先生から、「撮影をしてみて気付いたことはなんでしょうか」と質問が投げかけられました。

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驚いたのはすぐにスタンフォードの学生数名から次々と手が挙がったこと。「『美』は説明しやすかったけど、『醜』は難しかった」「アングルを言葉で伝えるのは苦労した」
自分の考えをすぐにアウトプットできる瞬発力はコミュニケーションする上で重要な力です。

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「立命館の学生はどうでしたか?」先生が問いかけると、映像学部生も徐々に手が挙がりました。「漢字を日常的に使っている学生は、使っていない学生に比べて、美(び)、醜(しゅう)以外の読み方やどのような場面でその言葉が使われるかということを深く知りすぎており、逆に難しい場合があるのではないか。単純に視覚的な形と『美しい』『醜い』という意味のみを知っている方が簡単である場合があるはずだ」との意見が出され、これには先生も「とても興味深い意見です」と答えておられました。

受講した学生に感想を伺いました。
「普段私たちが日本で生活していると日本語、日本文化を享受した者としての目線で様々なものを見ています。もちろん、写真や映像などのアートなどもその例外ではないと思います。しかしながら、今回は英語で説明を受け、スタンフォードの学生たちと英語で話しながら、ワークショップを行い、外面的にも内面的にも、今までの視点とは少し異なる見方で取り組めたように感じました。ペアになった2人の留学生も捉え方は全く異なり、一人一人の違いにも気付くことができ、とても興味深い授業でした。」
この授業のねらいが受講生にもきっちりと伝えわっていました!

このように言語の異なる者同士が、言葉を超えて自身がもつイメージについて共有し、ともに表現するという作業は受講生にとって貴重な体験であり、また、いろんな意見があったと思います。この経験を自身の創作活動だけでなく、異文化交流や、研究活動などに活かすことができれば素晴らしいですね。

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スタンフォードの学生の皆さん、またキャンパスでお会いしましょう!!

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