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「ゲーム」×「将棋」で地方創生! コンテンツ産業論に、総務省地域力創造アドバイザー・蛭田健司氏、日本将棋連盟女流棋士・香川愛生女流三段がゲストスピーカーとして登壇!

2020.01.21

1月9日(木)コンテンツ産業論(細井浩一教授)に、総務省地域力創造アドバイザー・蛭田健司氏と日本将棋連盟女流棋士・香川愛生女流三段(2015年度文学部卒業)がゲストスピーカーとして登壇されました。

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この授業では、アメリカや日本の様々なケースを検討しながらコンテンツ分野およびその産業の本質を考え、デジタル環境下における経営と有効なビジネスモデルを理解する力、さらに、それを自らデザインする力を養います。
また、コンテンツ産業と呼ばれているビジネスの本質的な特性が、人間の創造力に源泉をもつ特異な産業であることを学び、世界各国それぞれの独自性と歴史に依拠する「創造産業」とよぶべき存在であることを理解することを目的としています。

第14回目の授業では、「コンテンツを活用した社会的新領域の開拓」をテーマに、新規事業を手掛けられている蛭田さんと香川さんから地方創生の取り組みを紹介いただきました。

蛭田さんは、現セガゲームスにてサクラ大戦シリーズ、現コーエーテクモゲームスでは無双シリーズなど、多数のゲーム開発に携わってこられました。また、ゲームクリエイターやIT分野の人材育成にも注力されてこられた経験から、「ゲーム」と地方人材の活用を推進されています。

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「内閣府が提唱している『ストップ少子化・地方元気戦略』から読み取れるとおり、地方都市の産業は厳しく、若者の就職先がない状況におかれています。一方で、ゲーム業界は拡大しており、エンターテイメントだけではなく、医療、防災など様々な産業に使われはじめています。ゲームクリエイターやIT人材は、若者に人気の高い職業であり、地方で活躍できる枠組みをつくることが地方創生につながると考えています」

最近は、eスポーツを軸に他業界とも連携した取り組みをされているとのこと。
また、富山県では日本初のeスポーツ大会と将棋大会の同時開催を実現されました。

「eスポーツ×将棋」。

一見すると、プレイヤーの世代やファン層が異なる組み合わせのように思えます。

中学3年生でプロデビューをし、立命館大学文学部在学中に「女流王将」のタイトルを獲得した香川さんからは、この異分野同士の大会開催について、その思いをお話しいただきました。

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「ひとつのコンテンツだけでは、ファンがどうしても狭まってしまいます。コラボすることによって、ファン層は広がります。ただし、なんでも並列したらいいというわけではなく、コラボすることの相乗効果は何か、について考えることが大切です

「『ゲーム』は日本では、まだ否定的な一面があります。これが、eスポーツがまだまだ日本で広がらない一つの要因ではないかと思っています。そこで、日本の伝統的な遊戯である将棋と掛け合わせることで、受け入れやすくなることを期待しました。新しいプロジェクトを立ち上げ、人に認めてもらうためには、成功体験を積み上げていくしかない。小さな成功を積み上げていくことが、新しい境地を拓くことにつながると考えています

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最後に総まとめとして、蛭田さんからは地方創生についての想いを語っていただきました。

「地方創生を考えたときに、単なる経済効果だけを期待してはいけない。『ゲーム×将棋』といったように幅広い年代の人を巻き込みながら、地域の発展に取り組んでいます」

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これまでデジタルコンテンツといえば、音楽や映画、ゲームなどが主流でしたが、メディアの発展とともに、ソーシャルゲーム、メタバース、AR、ユーザー制作コンテンツ、電子書籍など新しいコンテンツが次々と創出されてきています。
将来、コンテンツビジネスの担い手になるうえでは、その中核になるであろうデジタルコンテンツについて、企画創造からマーケティング、知財管理にわたるプロセスやマネジメントを深く理解し、新しいビジネスモデルを提案していける力が求められることでしょう。

一方で、日本が抱える地方都市問題(人口、財政、産業構造等)や高齢化社会に対して、地域のコンテンツビジネスを素材としながら、「コンテンツビジネスの外延と拡散」の現実と課題について向き合うことは、映像学部生にとっても、常に考えなければならないとても大切なことなのです。

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〇蛭田健司さんプロフィール
現セガゲームスにてサクラ大戦シリーズなどの開発に参加。現コーエーテクモゲームスでは無双シリーズの開発に携わり、「真・三國無双Online」の技術責任者を経てカナダスタジオに出向。現地責任者として経営を担った。その後、ヤフーにてゲーム部門長、事業戦略室エグゼクティブプロデューサー、グループ会社の執行役員CTO、人材開発室長などを経験。2016年、上場企業である㈱エディア顧問に就任。2018年豊田通商グループ㈱ISAOアドバイザー、ゲーム関連新分野産業育成事業の総合戦略アドバイザーに就任。2019年総務省 地域力創造アドバイザーに就任。2020年東京国際工科専門職大学の准教授に就任予定。

〇香川愛生さんプロフィール
日本将棋連盟女流棋士。2015年度立命館大学文学部言語コミュニケーション専攻卒。9歳で将棋に出会い、3年後には「女流アマ名人戦」で最年少優勝しアマチュア女性の日本一に。中学3年生・15歳でプロデビュー。大学在学中にタイトル「女流王将」に初挑戦、初獲得し、翌年も防衛。受賞歴は最多対局賞、女流棋士賞など。著書は「職業、女流棋士」。

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