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2019年度立命館映像展『新しい世界への第一歩』Vol.6~Photo Gallery①【上映編】公開~

2020.03.17

世間を騒がす新型コロナウィルスの感染状況に未だ落ち着きがみられない日々ですが、
皆さん体調は崩されていないでしょうか。

今、日本中で様々なイベントや式典が中止となっています。
映像学部・映像研究科にとっても今年度は、「立命館映像展」を限定公開せざるを得ない状況となってしまいました。

そこで、当日の上映・展示会場の様子をPhoto Galleryとして、オリジナルムービーもあわせて一挙公開いたします!!
是非、楽しんでご覧ください!

2019年度の「立命館映像展」では、上映作品21作品(ドラマ8作品、ドキュメンタリー11作品、実験ドキュメンタリー映像1作品、実験ミュージック・ビデオ1作品)に加え、CGアニメーション10作品を放映しました。
また、展示会場では、ゲーム、VR、メディアアート、デジタルアーカイブなど46作品のデモンストレーション展示に加えて、今年度は3つの研究についてポスターセッションも行いました。

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【開会式の様子。初日の司会進行は、吉見有可さん(4回生)と巌翔太さん(3回生)が務めました。】


開会式では、大島登志一副学部長より、
「未来を予測できない時代だからこそ、私たちも原点に戻って、『映像』と向き合い、新しい作品を創り出し、広く社会へ発信していきたいと思います。」
と未来に向けて誓いを新たにしました。

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【大島登志一副学部長からの開会ご挨拶。】

まずは、上映作品からご紹介します!

〇小林慎一朗監督『To live is 404』(ドラマ:作品時間31分)
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この作品は、両親と一人息子の3人で暮らしている家族の物語。ある日突然、母親が旅に出てしまいます。取り残された父親は、息子との二人きりの生活に戸惑いながらも、仕事ばかりで、まともに息子と話したことがなかったことから、この機会にきちんと向き合おうと決め、休暇をとって家事に励みます。しかし、息子はそんな父親の姿に反感を覚えます。母親が帰ってくるまで、父親と息子はお互い本音で向き合い本当の親子になることができるのか、というストーリーです。
「家族」という普遍的なテーマに対し、本作では“リアルな親子の葛藤”にこだわったとのこと。演出的カット割りやキャメラワーク等、シナリオだけではなく映像表現からも工夫をされた作品です。

〇ZHANG Bianyun監督【修士制作】『心之鏡』(ドキュメンタリー:作品時間35分51秒)
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この作品は、監督自身の経験に基づいて、中国における挿花と日本のいけばなを対象に、両社の共通点と差異を描いたドキュメンタリー映画です。監督が留学中に京都でいけばなを知り、その後、桑原専慶流いけばな教室に通うことで生まれた中国挿花への疑問や関心を日本と中国での撮影を通して、自ら深め、その答えを探ろうとする過程そのものを作品におさめています。ZHANG監督は「中国挿花について世間の関心を高めたい」という目的をもって、修士研究に取り組んできました。桑原専慶流次期家元の桑原健一郎先生と中国挿花協会初代会長である王蓮英先生へのインタビュー取材を通して、また、それぞれの歴史や思想を学んだうえで、お花と心の関係について自分なりの見解を導きだしています。

〇飯田雄平監督『F1』(実験ドキュメンタリー映像:作品時間18分51秒)
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私たちが、スーパーマーケットで日常的に目にする野菜。この身近な野菜の多くが“人間の都合の良い形”に変えられているのではないか?という考察から、この作品はマスメディアで取り上げることのない野菜生産の真実を追ったアーティステック・ドキュメンタリーフィルムとして仕上げられています。
デジタルとアナログの融合映像を研究テーマとして、実験映像的また、アート的表現方法により、監督自身が伝えたい社会的課題について、観る人に訴えかけるものとなっています。
飯田監督は、在学中に実写やドキュメンタリー映画の制作も数多く手がけ、また、映像文化領域についても学び、長期間の留学やインターンシップも経験してきました。『F1』は、映像学部での学びの集大成として、映像に対する彼の溢れる想いが詰め込まれた作品となっています。

〇山田有夏監督『生きた証』(ドキュメンタリー:作品時間25分42秒)
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戦後、75年。戦争を経験していない世代が、今後次世代にどのように戦争を語り継いでいけばいいのか。そんな疑問をもったまま、山田監督は広島で「家族写真」から戦争体験を継承している写真家の方と出会います。『生きた証』では、この家族写真プロジェクトを取材対象とし、体験していないことを自分ごととすることの重要性を明らかにしています。
戦争体験を継承する意義と方法についての先行研究は多数存在されていますが、この作品では、戦争や被爆者からの直接体験を継承する意義と難しさを観る人に伝えており、説得力を持つ内容となっています。また、取材した内容をただ映像に記録するだけではなく、そのアングルやサイズ、背景など映し出されるもの自体に制作者の意図を込めていることを理解し、映像の細部にまで配慮した作品に仕上がっています。

〇朝海清史監督、趙娜(照明・音響・整音)、山田桜(プロデューサー)『藍色に燃えている食卓(ドラマ:作品時間46分09秒)
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この作品は、「家族の愛」をテーマに食卓や食事をモチーフとして家族それぞれの事象の中で繰り広げられる群像的な人間ドラマです。家族それぞれが抱える問題や葛藤シーンをテンポよく展開し、また現代を象徴したSNSでの表現を取り入れるなどマルチな映像構成となっています。撮影では様々な構図を丁寧に構築しており、カラーコレクションもシチュエーションに合わせて寒色系や暖色系の照明にするなど、演出にこだわりをもって調整しています。音響では登場人物の心象に合わせその空気感と共に表現を行っており、共同制作者3名の方向性をあわせるために、幾度となく打ち合わせを重ねて仕上がった作品となっています。
また、映画の裏方であるプロデュースにおいても、「より認知・鑑賞の機会が増えるような作品の総合プロデュース」に真摯に取り組んできました。企画段階から集客を意識したロケ地やキャスティングを実現し、「家族」とは、「家族愛」とは何なのかについて、制作者自身も考え抜いた作品です。

〇萬喜美穂制作『行き逢いの空の下で。』(CGアニメーション:作品時間1分55秒)
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絵描き少年“僕”とストリートシンガーの女性“あの人”を巡る物語を映画の予告編テイストに制作された作品です。すべてのカットにおいて少年や女性の性格や感情がしっかりと表現されており、インサートされる風景カットにも情緒がしっかりと伝わるようなアニメーションに仕上がっています。

〇坂井柚妃制作『From the new World』(CGアニメーション:作品時間2分1秒)
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主人公の少女が様々な景色の中を旅していくストーリーの作品です。広大な世界に映し出される背景やライティングには、造形や色彩設計も含めて、特に注力されており、全体としてファンタジックな世界観を美しく仕上げています。


ご紹介した作品以外にも、多彩なドラマ、ドキュメンタリー、CGアニメーションが上映されました。
映像学部・映像研究科での学びを通して、学生たちが挫折や逡巡、苦悶や葛藤に向き合いながら完成させた、それぞれの作品は大きな会場にのびのびと映し出され、観る人にさまざまにメッセージを伝えてくれました。


展示会場については<2019年度立命館映像展『新しい世界への第一歩』Vol.7~Photo Gallery②【展示編】>にて後日ご紹介します。

~Photo Gallery~
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