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映像研究科修了生インタビューVol.1 内田竜児 -興味関心のある分野に、自分の意志で研究をつきつめていく-

2020.06.25

世界中で新型コロナウィルスに悩まされている状況が今もなお、続いています。
学生の皆さんも、今年の春セメスターはオンライン授業となり、
四苦八苦しながらも新しい学び方を模索しているところではないでしょうか。

映像学部・映像研究科で学ぶ皆さんは、
新型コロナウィルスの影響があってもなくても、
爆発的に進化し続ける映像技術とグローバル化の潮流を前に、
新しい学び方、新しいライフスタイル、新しい社会インフラを模索し、
新しいエンターテインメントを担う人材として、
今こそ、ワクワクする未来を想い描いてみてください。

今回は、2020年3月に修了した映像研究科の修了生にスポットをあて、
「映像」を学び、研究する院生ならではの、
達成感や苦労、ほっこりするエピソードをお届けします。

まずは、トップバッター内田竜児さんです。
彼は、映像学部出身でもあり、オープンキャンパスなどでは、
学部生の皆さんと一緒にイベントを盛り上げ
いつもパワフルに活動してくれていました。

「スケボーをもったお兄さん」。
いつも気さくで話しやすい彼ですが、
研究に対しては、常に真摯に取り組んでいました。
そんな内田さんのエピソードをご紹介します。


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氏名:内田竜児(ウチダリュウジ)
入学年度:2018年度
入試方式:一般入学試験
出身学部名称:映像学部
座右の銘:人間は自由の刑に処されている

【研究テーマ】
VR映像技術における物語表現に対するユーザ評価の実証型研究
Proof type study of the user evaluation for the story expression in the VR imaging techniques


Q.1 修士研究の内容について教えてください
 Virtual Reality(以下、VR)元年とされる2016年。一般消費者にとって購入可能な価格設定で、かつ高性能なHead Mounted Display(以下、HMD)が発売されました。
 VRという言葉が広く認知される中、2021年に向けて市場は大きく成長すると予測されています。その成長予測においては、収益をあげるカテゴリーの約8割以上がVRゲームであると指摘されています。一方で、実写映像を用いたVRの活用は「体験者の視線を制御できない」という点で、活用することは難しいと考えられています。
 私の修士研究では、映画やドラマといったストーリーテリングが用いられるコンテンツの実写VR映像制作手法に関して、伝統的な手法に内包される基本概念やルールとの比較を行い、また実験映像を用いることによって、これまで不明確であった点にスポットをあてることを目的としています。
 実験に用いる映像は、同一のストーリーを含む複数の異なるタイプのVR映像を制作し、それらを比較検証することにより、ユーザが求めるコンテンツとその印象についても明らかにしました。さらに、VRコンテンツおよびHMDの購買意欲を明らかにし、現在のVR市場やサービス形態と照らし合わせ、ビジネス領域についても検討を行いました。修士論文では、この運用価値を提示したうえで、企業・個人クリエイターのコンテンツ開発の推進に寄与すことを最大の目的としています。

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Q.2 研究活動をすすめるうえで、苦労したこと、それを乗り越えた方法について教えてください。
 研究を進める上で、VRをビジネスに活用していく動きはあり、それに伴い論文や書籍が執筆されていましたが、実写VRに関する研究は日本では、まだ少なく有用な先行研究にふれることに苦労しました。この分野では、アメリカに代表されるように、海外の方がVRに関する実験的な動きが強い傾向にあったことから、英語著書や論文、データを参考に研究を進めました。
 必要な検証映像を撮影するにあたり、役者のキャスティングを行う必要がありました。しかし、大学院では学部生との繋がりをもてる機会が限られており、学内で被写体を探すことに多大な時間を要しました。指導教員のサポートがあり、映像学部生にキャストをお願いし、検証映像を制作することができましたが、入学時から、学部生と積極的にコミュニケーションを図り、ネットワークをつくっておくともっとスムーズに取り組めたと思います。

Q.3 映像研究科へ入学しようと思ったきっかけについて教えてください。
 大学4回生の卒業研究のテーマは「Virtual Realityにおけるユーザーの感動体験の度合いに関する実験映像とその検証」でした。ここでVRに関する研究を行っており、1年間で多くのことを明らかにすることができました。しかし、明らかになることがあれば、同時に多くの疑問点や課題点を導き出すことにもなりました。また、自分の興味関心があるこの研究は、急成長をしている分野であるため、タイミングを逃したくないという想いとさらに発展した内容の研究をしたいと感じ、大学院への進学を決めました。
 大学院ではより高度な研究ができるだけでなく、より自主的に活動することが求められます。学部生では、確かに多くのことを学ぶことができ自身の成長を感じることができましたが、それはあくまでも「学生として」でした。自分自身が大学進学を決めた目的が「とりあえず大学に進学するものだから」、そして社会に出ることも「みんなと同じようにとりあえず就職する」、その「とりあえず」や「周りと同じように」という考えから脱却し、自分の意思を見つめ直す必要があると考えました。
 周りに流されるのではなく、さらに研究をして多くのことを明らかにしたいという自分の強い考えをもとに進学を決めました。

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Q.4 これからの世界は、どのように変遷していくと思いますか?その中で、映像研究科での学びをどう活かしていこうと考えていますか?
 既に世界は映像やそれに伴う技術によって支えられ、身近なものとして存在しています。今後は、高性能化やミニマム化が進み、映像技術は当たり前で意識されない形に変化していくと思います。Immersive Technologyの一般化は緩やかですが、時代とともに当たり前になってくると思います。技術は常に人の先を進んでおり、その技術に対して自分なりの解と考えを持ち続けていくことが必要であると考えています。
 しかし、技術は技術であり、どのような形であってもツールとしての側面が強いため、それが芸術でも、アーカイブ や商品でも、それらをどのように扱うかは人それぞれであり、それらを活用することも人それぞれだと考えます。
 映像研究科では、映像技術を研究対象として追究していく中で、必ずしも一側面だけで捉えることはしません。今後、どのように世界が移り変わっても、視野を広く持って多角的に物事を判断していこうと考えています。映像技術は当たり前に存在するものであるからこそ、その当たり前の部分に目を向けて、自分なりの解を模索してさらなる活用法を探し出すようにしたいと考えています。

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Q.5 今後の人生において、映像研究科での学びはどのように役立つと思いますか?
 映像研究科では、自身の研究以外に研究会の発足や起業家プログラムへの参加、Promotion Videoの撮影や研究科の代表を務め、研究科全体の管理・改善を行ってきました。そのどれもが完璧にこなせたわけではなく、失敗と改善の連続でした。問題に直面している時は心労の絶えない日々でしたが、それらを乗り越えたからこそ、今では次に新たな問題に直面した時、それを乗り越えるために努力をすることができると確信しています。
 今までは、自分の抱える問題に対して自分で対処しなくてはならないという考えに支配されていましたが、映像研究科では教授2名と院生1人のスリーマンセルで研究を行うため、他の人のアドバイスを受け入れる大切さを知りました。自分1人の力には限界があり、それを補うように周囲の人に助力を乞うという当たり前のことですが、その当たり前の大切さを経験という形で得ることができました。
 これら2つの事柄は、単純に講義内で得られるものではなく、自主的に活動を行っていく映像研究科だからこそ得られた経験であると思います。今後は、これらの経験を生かし、直面した問題に対して、まずは自分で解決策を模索し、それでも解決できなければ周囲の人たちのサポートも借りながら、自分の目指すものを創り上げていきたいと思います。

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〇お知らせ
映像研究科は、2021年度入試に向けて入試説明会をオンラインで行います。
映像研究科について少しでもご興味のある方は是非、気軽に参加してみてください!

日  時:①2020年7月01日(水)18:00~19:00
     ②2020年7月30日(木)18:30~19:30
形  態:オンライン説明会
申込方法:下記のメールアドレスに必要事項を記載いただき、送信してください。
必要事項:
タイトル:〇月〇日(←参加希望の日)入試説明会参加申込
本文:
 ①氏名(フリガナ)
 ②所属大学・学部/出身大学・学部
 ③連絡先(メールアドレス)
 ④研究テーマ(現時点で考えている内容でOKです)
 ⑤研究指導希望教員(決まっている方のみでOKです)
 ⑥その他(質問など)
申込Eメールアドレス:rugseizo@st.ritsumei.ac.jp
申込締切:①6月30日(火)17:00
     ②7月29日(水)17:00
*申込いただいた方に、当日の参加方法をメールにてお伝えいたします。

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