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映画『鬼ガール!!』全国公開!1期生・瀧川元気監督スペシャルインタビュー

2020.10.14

10月16日(金)より、順次全国公開となる映画『鬼ガール!!
大阪エリアでは、10月09日(金)から先行公開されているので、
既にご存知の方も多いのではないでしょうか。

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(C)2020映画「鬼ガール!!」製作委員会


なんと!!
この映画の監督は、映像学部1期生・瀧川元気さんなんです!

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(C)2020映画「鬼ガール!!」製作委員会
映画『鬼ガール!!』舞台あいさつ。主演の井頭愛海さん(左)と。

瀧川さんは、映画監督だけではなく、映画・テレビドラマの企画、制作やCM、PV、VP のプロダクション業務を担う(株)Studio-884.Proの代表取締役も務められています。
さらに!!
2020年度からは、映像学部の授業担当講師として、「映像制作実習Ⅲ」の教鞭をとられました。

映像学部を卒業されてから10年の時がながれ、
その中で様々な経験をされてきた瀧川監督。

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(C)2020映画「鬼ガール!!」製作委員会


これまでに、「マザーレイク(2016年)」、「恋のしずく(2018年)」、「いのちスケッチ(2019年)」などプロデューサーとして携われた作品は多数。

そして、この度、初の監督として映画「鬼ガール!!」が完成しました。
アメリカのニューヨークで開催されているNew York Film Awardにて、
「最優秀ファンタジー賞」と「初監督長編賞」のダブル受賞という
快挙を成し遂げられた、今まさに話題沸騰中の映画なんです。

映画『鬼ガール!!』の全国公開を前に、瀧川監督にインタビューを行いました。

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(C)2020映画「鬼ガール!!」製作委員会


Q.映画「鬼ガール!!」全国公開、おめでとうございます!この映画に込められた思いを教えてください。

 「前を向いて突き進んでいこう!失敗してもいいから、やってみよう!」と思ってもらえる映画になっていると思います。観終わったあとに、誰もが何かしらステップアップしたくなる映画になるように、という想いを込めています。
 特にこの映画は、ヒロインが仲間たちと「映画作り」にかけた日々を恋と友情、笑いと涙、青春のすべてを描いています。私自身とも重なり、大手映画会社には負けないゾ!という気持ちで創りましたね。

Q.瀧川監督は、映画制作をするうえで「地域創生」をテーマに掲げられていると以前お話しいただきました(以前お話をうかがった際の記事はこちら)。今回の映画「鬼ガール!!」も奥河内MOVIE PROJECTの一環としても制作されているんですね。
 
 奥河内MOVIE PROJECTでは、河内長野市を舞台とする映画を通じ、郷土愛を育むとともに、地域への経済波及効果を目的とした、劇場用長編映画「地方創生ムービー」の制作を目指しています。
 今回の映画を通して、「鬼といえば河内長野だ」といってもらえるように街のデザインをしていきたい。なんと、「河内長野市鬼でまちおこし条例」というものもできました。
 「映画を創って終わり」の一過性になってはいけない。
 映画を通じて、ワクワクするような街づくりをするために、映画に関わるグッズを制作したり、海外映画祭の営業など映画制作だけはなく、取り巻く環境をどのように盛り上げて継続的に経済効果を生み出すか。トータルプロデュースをする力が必要だと常々感じます。
 これってまさに、映像学部が開設の頃から掲げている「プロデューサーマインド」ですよね。
 すべて自分ひとりでやることはできないので、チャンネルとなるパートナーをもつために、ネットワークも大切にしなければなりません。

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(C)2020映画「鬼ガール!!」製作委員会


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(C)2020映画「鬼ガール!!」製作委員会

Q.在学中から「映画監督になる」と周囲にも宣言されていた瀧川監督ですが、夢を実現するためには、どんなポリシーをもたれているのでしょうか。

 学生時代から、無限の夢はよくないと、自分なりに考えていました。
だからこそ、20歳から5年スパンで目標を立て、それを達成できなければ一区切りとするというスタンスでいます。
 卒業制作を東京と大阪で、自主配給して有料で開催したりもしました。25歳までに商業映画のプロデューサーになろう、30歳までに会社をつくろう、35歳までに全国公開をする映画の監督をしよう、そんな想いでここまできました。

Q. (株)Studio-884.Proの経営者という一面ももたれています。会社経営は、映像制作とは違う苦労や難しさなどもあるのではないでしょうか。

 
 現在の会社は、恩師から7年前に引き継ぎ、来年で創業20周年を迎えます。引き継いだ時、「会社経営は3年~5年が厳しいぞ」と言われた記憶が残っています。
 振り返れば、もちろんいい時もあれば、もうこれで終わりなのではないかと思うほどの苦しい時期もありました。でも、なんとか今日までやっています。大きなハードルを乗り越えた経験が自分を強くしましたね。
 会社経営に限らずですが、同じことをしていくのか、成長志向でいくのか。同じことをしていると同じような人たちが集まってきます。成長しようと思ってがむしゃらに前に進んでいると、やはり成長したいと思う人が集まってきます。そうやって会社も新陳代謝しているのだと思います。成長志向でどんどんできることを増やしていきたいと思っていると、仕事内容がかわってくるので、メンバーもかわっていく。でも、いつでも仲間として助けてくれる関係にあると思います。

Q.瀧川監督が仕事に対して大切にされているものはなんでしょうか。
 
 大きなハードルをいくつも乗り越えてきた経験を通して、武器を捨てることの勇気を学びました。昔は、何事に対しても構えて挑んでいたように思いますが、今は、自然体になって色んな事に挑戦し続けられます。
 「瀧川だったらまた頼もう」と思ってもれるように仕事に対しては、期待されている以上のパフォーマンスを出さなければならない。仕事は常にオーディションだと思っているし、毎回大きなプレッシャーを感じていますが、必ず乗り越えてやろうと強く心をもっています。

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(C)2020映画「鬼ガール!!」製作委員会

Q.初めて「映像制作実習Ⅲ」の授業を教員として担当されて、どのようなことを考えましたか。

 率直な感想は、「実写の先生たち、優しく丁寧な指導されているなぁ」と。
 私たち1期生の頃は、学生もとがっていましたが、先生もとても厳しかった(笑)。いい意味で、師弟関係な立ち位置でしたね。オープンに色んな視点でディスカッションをして、昼夜共に先生も一緒にワイワイしていたなと思います。
 今回教員として授業を担当し、卒業して、多くの映像制作現場に入らせてもらったからこそ、現役の学生たちに「こんなもんなんだ」と感じさせてはダメだという思いが特に強かったですね。学生たちの先輩でもあり、教員の中では最も年齢が近いからこそ、リアルな現場を学生たちに伝えたいと思いました。プロになってみると「失敗が許される」、「また次に頑張れ」ということは、まずない。
 将来、どんな進路に行ったとしても、学生の皆さんが社会の厳しさを感じることがあるからこそ、現場の雰囲気を伝えたいという思いがありました。

Q.映像学部の後輩たちについて、どう感じましたか。

 優秀な学生が多いと思いました。技術も知識も向上しているので、できることの自由度、作品クオリティは確実にあがっていますね。「映像」というものも私たちの頃よりも身近になっていると思うし、学生たちは色んな作品に触れているなと思います。YouTubeやSNSも使いこなしていると感心する一方で、デジタルネイティブ世代だからこその「息苦しさ」というものを表現しているとも感じました。

Q.今年の春学期はコロナ禍でオンライン授業でした。どうでしたか。

  対面授業のいいところは、なんといっても生の空気感を共有できること。授業後に先生に質問したり、そのままお昼ご飯を食べにいったり、そういう授業前後のコミュニケーションがとれなかったことは、残念でした。
  ただ、オンライン授業は、画面上ではありますが、受講生全員の表情を見ながら授業をすることができます。学生へ見せたい資料も自分が展開したい方向で紹介することができ、これはこれでよかったのではないかなと思います。実際に、エンターテイメントの現場もオンラインで頑張っていましたからね。

Q.最後に、映像学部生へのメッセージをお願いします。
 
  映像学部生時代は色んな先生に関わり、学び成長していたなと思います。

  「限界を自分でつくらないようにしよう。枠にとらわれず、枠をぶっ壊していく、くらいの決意が必要だ」

  これは基礎演習の担当教員だった鈴木岳海先生がかけてくれた言葉です。今も「枠をつくらない」というのは自分の中でずっとテーマにしています。
 Studio-884.Proのキャッチコピーも『NO BORDERS』を掲げています。
 勝手に枠や限界をつくってはいけない。
 「あたって砕けろ!」ぐらいの精神で、今も生きています。大手映画会社が入っていなくても「瀧川元気」という志と企画力が面白いと評価していただき、一緒にやろうと声をかけてくれる企業がたくさんありました。本当にありがたいこと。
 映像学部の皆さんも、「夢をしっかりと語ること」が大切だと思います。この人に投資してもいい、一緒に何かを創り上げたいと思ってもらえるようなまっすぐな姿勢こそが、人を動かすのだと思います。
 現代は、江戸時代の人の一生分の情報が1日で消費される時代だといわれています。
一日一日をどう生きるか。一生分の情報が転がっているのであれば、自分にない情報を持っている人と一人でも多く話すこと。好き嫌いせずに、話しをすることを意識するといいのではないでしょうか。

 私はこれからも「瀧川元気と一緒に仕事をしたい」といってもらえるように、人と人の出会いをつくれるような仕事をしていきたい。
 入学した時から「立命館映像学部」の看板を背負って生きている、と今も思っています。

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(C)2020映画「鬼ガール!!」製作委員会

映画『鬼ガール!!』予告ムービー
(C)2020映画「鬼ガール!!」製作委員会

瀧川元気監督についてのBack Number:
・    「不可能」を可能に。業界の枠を超えて、スペシャルチームと共に創るエンターテインメント(2020.02.04掲載)
・    瀧川元気・スピンオフストーリー(2020.02.05掲載)

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瀧川 元気(映画監督、株式会社Studio-884.Pro代表取締役)

大阪府出身。2011年3月 立命館大学映像学部卒業。
卒業後、三池崇史監督に師事し、『逆転裁判』『愛と誠』ドラマ『QP』にて助監督を務める。
その後、京都での本格時代劇『蠢動』、東映太秦映画村にて『球形の荒野』など。
映画のみならず、滋賀・奈良編のロケーションコーディネートやラインプロデューサーを担当する。近年では瀬木直貴監督作品『星々の約束』『マザーレイク』にてラインプロデューサーを担当。
瀬木直貴監督作品、2018年全国公開、『恋のしずく』のプロデューサーを担当。同監督作品、2019年秋全国公開、『いのちスケッチ』プロデューサー担当。
そして、2020年10月全国公開、脚本:中村航、音楽プロデューサー:梶原徹也による映画『鬼ガール!!』では、エグゼクティブプロデューサーならびに自らメガフォンをとる。

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