これからの講座・イベント

2020年12月読書会「異郷の人」梅娘を読む

永井 英美 氏(立命館孔子学院中国語講師)

時間:12:30~14:30

場所:立命館孔子学院図書室

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読書会は原則、隔月で偶数月に開催します。中国の短編小説を日本語訳で読んで感想を語り合い、また作者について学び合います。
中国の小説に興味がある方、本を読むのが好きな方、読書会を通して中国の文化や歴史についての興味や知識を深めるとともに、
楽しみながら勉強を続ける仲間を見つけてみませんか?

※感想を話し合いますので、なるべく事前に作品を読んでご参加ください。
前日まで、もしくは当日の開始30分以上前にお越しくだされば、事務局で作品のコピーをお渡しできます。


作品紹介(冒頭)

 冬寒むの名残りがあって、どんよりとした曇り空が重苦しく押さえつけてくるようだ。島国特有の湿った空気は過剰な空気を含んで、何から何までべたつく。外に出した手もじっとりしている。
 マスクを外して大きく息を吸いながら、発車のベルの鳴り終わるなか、大阪から神戸に向かう電車に慌ただしくとびのった。
 車内には人がたくさんいた。土曜日午後の混みようなのだから空席は見つかるわけはないと、ドアに身をもたせかけ、手に持った新聞で顔を隠した。
 発車した。この日本の関西で有名な急行電鉄ーー阪急電車はわずか二十五分で、煤煙立ち上る大阪から静かな海辺の神戸まで連れて行ってくれる。


作者紹介

梅娘(1920-2013)
ウラジオストックに生まれ、吉林省長春市で育つ。本名は孫嘉端。16歳で最初の短編集を刊行。37年春に東京に留学、日本語を学ぶ。38年西宮に住まう。42年北京に移住、柳龍光の下で『婦女雑誌』を編集した。被占領下北京で、梅娘は売れっ子作家となり、華北・東北地方で広く愛読され、日本にも紹介された。代表作は水系三部作『蛙』『魚』『蟹』で、自伝的な要素を含みつつ、陰謀飛び交う封建的大家族に反抗し自由を求めて行動するが、結局は挫折してしまう若い女性を描いている。文体としてはリアリズム系統だが、細やかな心理描写に優れていると評価されている。50年代の政治運動のなかで資産階級思想を批判され「日本のスパイ」の嫌疑を受ける。さらに反右派闘争のなかで右派とされて4年ほど労働改造農場に服役。78年に名誉回復がなされて、中国農業映画製作所に配属、再び筆を取り、エッセイや回想記を書いている。


テキストについて

現在、二玄社『中国現代文学珠玉選[小説3]』所収の作品を順に読んでいます。
テキスト購入費は参加者負担ですが、現在絶版となっておりますので、前日まで、もしくは当日の開始30分以上前にお越しくだされば、事務局で作品のコピーをお渡しできます。図書館や古書をご利用いただいても結構です。


定員

10名程度(要事前申込)


参加費用

無料


お申し込み方法

電話、FAX、メール(宛先:koza@st.ritsumei.ac.jp)にて前日までにご予約ください。
※お申込の際は、①お名前(氏名・フリガナ)、②連絡先(電話番号、メールアドレス)、③参加ご希望の講座名・日程を明記ください。

※画像をクリックすると詳細(PDF)が表示されます。
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