2013.02.27 薬学部・民秋均教授の研究グループが、赤外光線を吸収するクロロフィル(葉緑素)を光合成生物が生産する仕組みを発見

  薬学部の民秋均教授と塚谷祐介研究員の研究グループは、人間の目では確認できない光である赤外光線を唯一吸収できるクロロフィル(葉緑素)を光合成生物が生産する仕組みを、世界で初めて発見しました。

 今回研究対象のクロロフィルは、細菌型の葉緑素の一つでバクテリオクロロフィルbと呼ばれており、光合成生物がどのようにこれを生産していたのかはこれまで謎に包まれていました。本研究では、光合成生物がクロロフィル分子の構造をどのようにして変化させて、バクテリオクロロフィルbを合成するかを解明しています。
 
 太陽光のうち赤外光線は、可視光領域よりも長い波長の光で人間の目には見えないことから、産業的には防犯センサー等に利用されています。一方で工業的にはほとんど利用されておらず、既存の太陽電池システムでは主に可視光線だけが利用されています。より効率的なエネルギー変換を行うために赤外光線の太陽電池システムへの利用の検討がされていますが、今回の研究成果によってその道筋ができ、今後の太陽電池や人工光合成システムの効率化や低コスト化へ繋がることが期待されています。なお、本研究は名古屋大学と久留米大学との共同研究です。

 今回の研究成果は、2月5日のScientific Reports(サイエンティフィック・リポーツ*)に、掲載されています。