2013.07.29 2013年度立命館グローバル・イノベーション研究機構(R-GIRO)先端医療研究拠点シンポジウム「ものづくり科学技術で興す医療・健康イノベーション」を開催  

 7月12日(金)、びわこ・くさつキャンパス(BKC)において、立命館グローバル・イノベーション研究機構(以下、R-GIRO)先端医療研究拠点シンポジウム「ものづくり科学技術で興す医療・健康イノベーション」を開催した。

 今回のシンポジウムでは、先端医療をめぐる研究の現状および国の施策との関連を紹介したのち、本学においてものづくり科学技術の基盤・応用研究を中核に、医療用デバイスを開発するグループと生体評価や運動・栄養処方を研究するグループが結集し創設されたR-GIRO先端医療研究拠点について、21世紀に求められる医療・健康分野の新技術のために同拠点が産業界と連携し進めている研究や活動についても紹介された。

 シンポジウムの第一部では、まず、村上正紀・R-GIRO機構長代理(立命館副総長)による開会挨拶に始まり、「iPS細胞の臨床応用と産業化」と題して、独立行政法人理化学研究所発生・再生科学総合研究センター網膜再生医療研究開発プロジェクト プロジェクトリーダーである高橋政代氏が基調講演を行った。講演の中で高橋氏は、厚生労働省の承認を受けたiPS細胞を用いた加齢黄斑変性の臨床研究に触れ、「『使えない』と言われながらもES細胞の研究に取り組んできたことに加え、iPS細胞が非常に適した細胞であるとの見通しを有していたことが大きかった。また、最初から事業化を考えた上で研究をすすめるべきだったとも考えている。産学連携は早めに取り組まなければならないと思う」とスムーズな産学連携の重要性を語った。
 
 続いて、「ヘルスケア機器開発 ~みのりある産学・医工連携に向けて~」と題して、日本の技術をいのちのために委員会 事務局長であり、未病社会の診断技術研究会 事務局長および公益財団法人医療機器センター附属医療機器産業研究所 上級研究員を務める日吉和彦氏が特別講演を行った。日吉氏は国の政策を含めて注目を集めている医療機器ビジネスについて、これまでの経緯および参入障壁となる薬事法や許認可などの法規制面における課題について解説を行った。

 二部として、先端医療研究拠点の構想および到達点に関する報告が各研究グループのリーダーから行われた。ものづくり研究グループ(1G)からは小西聡・理工学部教授、医療バイオイノベーション研究グループ(2G)からは藤田卓也・薬学部教授、医療健康イノベーション研究グループ(3G)からは藤田聡・スポーツ健康科学部教授が登壇し、先端医薬品開発や医療機器産業立国への貢献に向けた各グループの研究について報告を行った。
 
 また、各グループからの話題提供として、1Gの高梨千賀子・テクノロジー・マネジメント研究科准教授からはイノベーション・マネジメントの視点からみた産学連携のエコデザイン、2Gの服部尚樹・薬学部教授からは高感度酵素免疫測定法の確立と臨床応用、3Gの家光素行・スポーツ健康科学部准教授からは運動効果バイオマーカーによる運動・栄養プログラムの開発について説明が行われ、来場者からも多くの意見や質問が寄せられた。最後に小西教授は、「分野が違っても教養まではともに学んできたはず。これからも産学医工薬様々な分野のバックグランドをもつ人が集まって、医療・健康分野の世界を盛り上げていきたい」と議論をまとめた。会場には218名の参加者が訪れ、盛況のうちに幕を閉じた。また、シンポジウム終了後に行われた交流会においても引き続き、活発な意見交換が行われた。