表紙  障害学生等の災害時対応ハンドブック  立命館大学障害学生支援室  Disaster Handling Handbook for Students with Disabilities  p2  はじめに  2018年 6月18日に発生した大阪府北部を震源とした地震によって、立命館大学においても建物の被災や授業のスケジュールの変更等、多大な影響を受けました。またいつどこで大きな災害が起きるかわからない現状を踏まえて、災害時に「すべての人」が安全に避難できることを目指した、「減災」の意識をもつ必要があります。  しかし現状は「すべての人」の中に含まれるはずの「災害時要援護者※」と呼ばれる、高齢者、障害者、乳幼児、妊婦、傷病者、日本語の理解が不十分な外国人など、災害時に自力で避難することが困難で、かつ災害について十分な情報を得られない人たちの避難については見落とされがちです。不特定多数が出入りする大学という場において「災害時要援護者」を対象とした避難計画および避難訓練をすることは簡単ではありませんが、多様な学生が学内にいることを意識し、避難について日頃より検討しておく必要があります。  このハンドブックでは、「災害時要援護者」のなかでも大学において、特に減災を考える上で「要配慮者」となりうる障害学生等に焦点を当てています。あわせて、大学にいる際に災害に遭ったとき、慌てずかつ安全に避難を行うためには、どのような支援が必要か、みんなで考えるツールとして、是非このハンドブックを役立ててもらいたいと思います。  ※内閣府は2006年3月に都道府県、市町村、関係機関等を対象とした『災害時要援護者避難支援ガイドライン』を策定しました。この中で、災害から自らを守るために安全な場所に避難するなどの一連の行動をとるのに支援を要する人々を「災害時要援護者」と定義し、具体的に高齢者、障害者、外国人、乳幼児、妊婦等をあげています。2013年6月の災害対策基本法の一部改正により、高齢者、障害者、乳幼児等は防災制策において特に配慮を要する「要配慮者」とされるようになりました。  p3  INDEX  Ⅰ障害学生の個別避難計画のススメ  P.04 1「個別避難計画」とは  P.05 2「個別避難計画書作成のためのワークショップ」  P.06 3ワークショップの参加について  P.07 4避難に何が必要か、ワークショップで学内にある資源を確認! 5個別避難計画書のフォーマット P.08 個別避難計画書(フォーマット) P.09 個別避難計画書(記入例)  Ⅱ立命館大学キャンパス避難場所バリアフリーガイド  P.10 衣笠キャンパス/BKCキャンパス  P.11 OICキャンパス/朱雀キャンパス  Ⅲ障害別 災害時支援の一般例  P.12 障害別 災害時対応一覧  p4  CHAPTERⅠ  障害学生の個別避難計画のススメ  1.「個別避難計画」とは  障害が多様なように避難において必要となる支援も様々です。また何より、障害学生自身が主体的に、災害時にどのような避難をすべきか他の人へ明確かつ具体的に伝えられるようにしておくことが重要です。(校正者注:「障害学生~重要」にハイライト)  つまり、障害学生自身が自分の障害について理解し、適切な配慮を伝えられることが求められます。(校正者注:「障害学生自身が自分の障害について理解し、適切な配慮を伝えられることが求められます」に下線)これを実現する手段を「個別避難計画」といいます。  内閣府(防災担当)は 2013(平成 25)年 8月に策定した「避難行動要支援者の避難行動支援に関する取り組み指針」 ※1の中で、市町村において要配慮者に対し、名簿の作成と合わせて個別計画の策定を進めています。実際、京都府も「災害時要配慮者避難支援ガイドブック」(2014( 平成26)年3 月)※ 2 を作成し、日頃からの備えとして、「わたしの避難計画」を作成するよう呼びかけています。「わたしの避難計画」では、緊急連絡先やかかりつけ医の連絡先、避難所で気をつけることや自宅から避難所までのルートなどを記入し、地域での避難を想定したものです。  今回、このガイドブックでは、立命館大学で災害※3に遭ったときを想定しています。例えば衣笠キャンパスで受講している際に災害が起こった場合、教室から一時避難場所となる中央広場に避難する際に、どのような方法で避難をするかを念頭に避難計画を進めていきます。  誤った認識、誤った方法で避難した結果、障害学生や避難をサポートした人たちがケガなど二次災害に遭わないためにも、障害学生を主としたシミュレーションをする機会を持ち、避難計画を立てる「個別避難計画書作成のためのワークショップ」を障害学生支援室では2018 年度より実施しています。    ※1 平成25年6月の災害対策基本法の一部改正により、高齢者、障害者、乳幼児等の防災施策において特に配慮を要する方(要配慮者)のうち、災害発生時の避難等に特に支援を要する方(避難行動要支援者)の名簿の作成を義務付けること等が規定されました。また、この改正を受け、避難行動要支援者名簿の作成・活用に係る具体的手順等を盛り込んだ「避難行動要支援者の避難行動支援に関する取組指針」(平成25年8月)を策定・公表しました。  ※2【京都府HP】http://www.pref.kyoto.jp/fukushi‐hinan/2014040201.html  ※3 ガイドブックでは立命館大学に居て突如起こりうる災害として、火災、地震を主に想定しています。  Column  災害時に車いすの学生ごと車いすを抱えて階段を下りる方法は・・・  ある車いすの学生(Aさん)と個別避難計画書を作成した際に、Aさんは当初、「車いすごと避難したい」と話しました。そこでAさんの要望にあわせて、シミュレーションを行った際に、Aさんの指示に従い、車いすを持ち上げようとしたら、車いすのフットサポート(足載せ)の部品が外れてしまい、危ない思いをしました。Aさんの車いすはオーダーメイドで、自家用車に乗せやすいよう、引き上げると部品が外れるタイプになっていました。Aさん自身も車いすに乗って階段を下りるという経験がなく、車いすのどこを持ってもらえばいいのか知りませんでした。個別避難計画書を作成する機会を持ったことで、シミュレーションができ、Aさんの車いすを持ち上げるのにコツがいることがわかりました。またこの機会がなければ、慌てて車いすを持ち上げて障害学生が落下し、他のサポートする学生もケガしていたかもしれません。Aさんはこの経験をもとに、背負ってもらい避難する方法を優先することにし、また車いすを運ぶ際の注意点を記載した計画書を作成しました。  p5  2.「個別避難計画書作成のためのワークショップ」  2018年は大阪北部地震をはじめ、西日本豪雨や台風など様々な自然災害が起こり、より防災を意識する年となりました。そこで、衣笠キャンパス地域連携課と共催で、2018年 7月に「障害学生及び避難において困難が予想される学生の災害時対応における研修会」を実施し、10月には「個別避難計画書作成のためのワークショップ」表1 を実施しました。  2018年度は A~Cを続けて実施しましたが、学生の集まる時間など考慮し、 A~Cと通して行うことが難しい場合は、Aを前もって実施し、 B、Cを後日行うことも検討しています。障害の種類や程度によってワークショップの進め方は異なります。例えば、肢体不自由の学生で、電動車いすやストレッチャーなどを利用している場合は、シミュレーションをする際に多くの人手が必要となります。一方、視覚障害の学生の場合は、サポートする人数1,2名で実施します。聴覚障害やそのほかの障害の場合は、シミュレーションをする際のサポートは必要ないかもしれませんが、事前研修やグループワークを通して、周りの状況を理解し、自身について理解してもらうための避難方法について話し合う機会となります。ワークショップに参加した障害学生には個別避難計画書を常に持つように伝えます。個別避難計画書を障害学生自身が見て伝え、偶然その場に居た人がサポートする上で理解しやすいように、避難の様子の写真や避難する際の注意事項を掲載しています。(個別避難計画書のフォーマットは8ページを参照してください)  表1「個別避難計画書作成のためのワークショップ」の概要(校正者注:以下、文章にて説明)  A 事前研修とアセスメント  内容:個別避難計画書作成の目的や、計画書の作成方法を学ぶ。また小グループ(障害学生1名に対し複数のサポートする学生・教職員)をつくり、障害学生からは、災害時に必要な対応を聞き取り、シミュレーションに備える。  B シミュレーション  障害学生がよく利用する建物で、聞き取り内容をもとにシミュレーションを行う。その場で、より安全な方法なども確認。さらに階段の勾配や幅なども確認し、安全に避難できる環境かどうかをグループ内で相談する。  C 個別避難計画書の作成  シミュレーションした内容をもとに、再度、小グループで話し合い、計画書を作成する。  写真省略「A事前研修の様子」  写真省略「Bシミュレーションの様子」  p6  3.ワークショップの参加について  サポートする学生・教職員は、普段、障害学生との接点がない人にも積極的に参加してもらいます。というのも、実際の災害はいつどこで起こるかわかりません。偶然同じ場に居合わせた人にサポートをお願いする可能性があります。障害学生にとっては自分のことを知らない人に助けてもらうには、どう伝えればいいかを考える機会になり、ワークショップに参加した人は、災害時に支援が必要な学生が身近にいることを知る機会になります。  ただし、学生の障害状況を提示することになりますので、障害学生が障害をどの程度開示し、相手に伝えるかは本人の意思の上で行う必要があります。災害などの緊急時以外は自身の障害や疾病など相手に知らせたくない場合は、ワークショップの形をとらず、障害学生支援室のコーディネーターと障害学生とで話し合いながら個別避難計画書を作成していくという方法もあります。  ■個別避難計画書作成のためのワークショップの心得  心得1.ワークショップには必ず教職員も参加する!  災害時に学生を安全に誘導するのは教職員の責任です。多くの教職員にもワークショップに参加してもらい、障害学生の避難について知る機会、備える機会とします。  心得2.一度やったら終わり。にしない!  個別避難計画書は一度で完成するものでありません。学生の障害状況が変わったり、車いすなどの支援機器が変わったり、建物の建替えで環境が変わるかもしれません。必ず見直しをするようにしましょう。(校正者注:「必ず~しましょう。」下線)  心得3.安全にシミュレーションを行う!  シミュレーションを行う際に、保険に入りましょう。またケガをしないように、無理をしないようにしましょう。障害を持つ学生の意見だけではなく、サポートする学生の「怖い」「無理そう」というような声にも耳をかたむけ、どうしたら安心してサポート出来るか話し合うことが大切です。  心得4.(可能であれば)平日にする!  ワークショップを実施していることを、他の学生にも知ってもらう機会としましょう。クラスあるいは大学に避難において支援が必要な学生がいることを啓発する機会にし、協力し合える環境を日頃よりつくっておくことも大切です。  心得5.完成した個別避難計画書を(できる範囲で)共有する  障害学生の同意のもと、日常において関わりのある教職員と個別避難計画書を共有しましょう。個別避難計画書をもとに障害学生と避難時はどのようにするか、話をする機会を持つことも重要です。  p7  4.避難に何が必要か、ワークショップで学内にある資源を確認!  立命館大学では、折りたためる救護用担架(写真参照)を準備しています。個別避難計画書を作成するワークショップの中で、自身が避難する際にどのような避難用具が必要か、それが自分にあっているのか、シミュレーションなどを通して理解することができます。  大学としても学生の障害状況にあった備え(避難用具など)が常にできているとは言い切れません。ぜひワークショップに参加して、必要な避難用具が何かを一緒に考えていきましょう。また障害学生自身も備えとして、自分で準備できるものを考え、常に持ち歩くことも大切です。  写真省略「救護用担架ベルカ(1人~6人で運ぶことが可能)」  5.個別避難計画書のフォーマット  個別避難計画書は作成する過程が重要です。計画書自体は、個人の障害状況や必要な支援内容、学修環境によって自由に変更できます。  ただし個別避難計画書に載せる情報は、避難する上で最低限必要な情報のみを載せ、A4用紙1枚(片面あるいは両面)で収まる程度の内容を作成します。  フォーマットはあくまで個別避難計画書を作成する作業を進めやすくし、また支援者と情報共有する際にわかりやすいものにすることを重視しています。すべての項目を埋める必要はなく、必要に応じて項目の内容や数を調整して、自分にあった計画書にしていきます。  フォーマットを8ページに、記入例を9ページに掲載します。記入例は架空のものです。個別避難計画書を作成する際に参考にしてください。  今後、障害学生から個別避難計画書を渡された際は、読んで判断するだけではなく、必ず障害学生と内容の確認、または説明を受けてください。  教職員の皆さんへ  災害時に慌てず行動できるように、どのように避難し、またどのように周囲に協力を求めるか、個別避難計画書などを用いて障害学生との対話の機会をもち、日常より「減災」の意識を高めておくよう努めましょう。  災害時は障害学生だけでなく、困っている学生がいれば声をかけ、皆が安全に避難できるように誘導することが大切です。安全な避難誘導のために、是非10~11ページの『立命館大学キャンパス避難場所バリアフリーガイド』をご参照ください。  p8  ■個別避難計画書(フォーマット)(校正者注:フォーマット省略。以下、項目のみ記載)  ・作成日:年月日  個別避難計画書  ・氏名  ・障害の特徴と留意点  ・車いすについて  いずれかに○ 手動/電動、重さ(  )㎏ 注意事項(  )  ・災害時の移動について  ・避難方法※  ・支援に必要な人数 計( )人  ・やってもらいたいこと [避難の手順]  ・写真を掲載  ・サポートする際の注意事項  ※(他にあれば)裏面につづく  p9  ■個別避難計画書(記入例)(校正者注:フォーマット省略。以下、項目・記入事項のみ記載)  ・作成日:年月日  個別避難計画書  ・氏名 山田 太郎 《フルネームを記入。必要に応じてフリガナを入れる。》  ・障害の特徴と留意点  両下肢麻痺、体幹機能に障害がある  杖で歩行ができ、自力で立ち上がることも可能  長距離を歩くこと、走ることが難しいため、普段は電動車いすを利用  《上記のように、状況を伝える。身体に触れる際に痛みなどがある場合は、留意点として加えて記述する。》  ・車いすについて  いずれかに○ 手動/電動(校正者注:「電動」に○)重さ 約 30 Kg 注意事項 手動、電動切り替え可能  ・災害時の移動について   ・避難方法※ おんぶで避難《避難方法は複数ある場合、 2つに絞って、優先は表に、もう1つの方法は裏面に記述。》  ・支援に必要な人数 計 2~5人  ・やってもらいたいこと  介助者 2人  車いすを運ぶ人 2人  バッテリー、荷物運ぶ人 1人  [避難の手順]*本人より指示します。  1. 2名で踊り場で交代しながらおんぶして降りる。  *サポートする人のその場の人数、体力に応じて交代する場や回数をその場で決める。  2. ひとりがおんぶをし、もうひとりが階段や周囲に障害物がないかを確認しながら荷物やバッテリーを運ぶ。  写真省略(校正者注:おんぶをして階段を下りる様子の写真)  *支援に必要な人数が 2,3人と少ない場合は、先に障害学生を運び、後から車いすを運ぶ。支援者を多く確保できた場合は、役割分担する。《強調しておきたいことは赤字で表示するなど工夫。》  ※以下、車いすを運ぶ際の注意点  ①車いすが手動モードになっているか確かめる(黄色いバーです) 写真省略(校正者注:車いすの側面。ブレーキの写真)  ②車いす後ろ側にある転倒防止バーを引っ込める(両輪の間にあります) 写真省略(校正者注:車いす後方、転倒防止用の車輪の写真)  ③車いすを持ち上げる(最低2人必要)抱え込むように持ち上げてください 写真省略(校正者注:車いすの側面をそれぞれ二人の人が抱え上げようとしている写真)  《車いすのどこを持つか、学生の同意があればシールを貼ってわかりやすくするのも良いでしょう。》    p10、11  CHAPTERⅡ  立命館大学キャンパス避難場所バリアフリーガイド(校正者注:以下、p10、11には4キャンパスのバリアフリーマップ(地図)を掲載しているが、ここでは省略する)  障害学生が作った個別避難計画書は、先述したとおり簡潔な内容にしているため、キャンパス内の避難場所の地図は載せていません。今回、ハンドブックには、キャンパスごとの避難場所と障害学生(特に移動に支援が必要な学生)が安全且つスムーズに避難できるようにバリアフリーガイドを載せています。バリアフリーガイドには必ず目を通し、また時間があるときにどのルートが避難しやすいかチェックをしておくと良いでしょう。  KIC衣笠キャンパス  BKCびわこ・くさつキャンパス  OIC大阪いばらきキャンパス  SUZAKU朱雀キャンパス  ※各キャンパスマップは、2020年4月時点のものです。  ※衣笠キャンパスは広域避難場所に、京都衣笠体育館は京都市指定避難場所に、BKCは救援物資集積場に指定されています。OICはキャンパスに隣接する岩倉公園が一時避難地に指定されています。実際、避難時(特に地震の際)は、地域の方々もキャンパス内に避難してくることが予想されるため、学内が多くの人で混雑する可能性があります。  p12、13  CHAPTERⅢ  障害別 災害時支援の一般例  4~7ページまでは、障害学生自身が主体的に避難方法を伝えられるように、考えて実際に取り組む機会を持つこと、その方法として、「個別避難計画書作成のためのワークショップ」を実施し、個別避難計画書の作成を進めてきました。しかし、学内にいる「要配慮者」となりうる学生すべての個別避難計画書を一度に作成するのは容易ではありません。また障害によっては、主体的に安全な方法を伝えることが難しく、伝えること自体に支援や配慮が必要な学生もいます。  ここでは障害別に想定される避難対応を掲載します。あくまで一般的な避難対応例であり、すべての障害学生に当てはまる支援方法とは限りません。個別避難計画書を未だ作成していない障害学生が読む場合は、自身に一番適した方法や実施したい項目にチェックを付けて備えておきましょう。また教職員においては、多様な避難対応があることを知識として理解しておくことも必要です。  障害別 災害時対応一覧(校正者注:以下、一覧を「障害別」「災害時対応」の順に記載。なお「チェック」欄は省略。)  ●視覚障害  ・安全な避難ルートの確認 点字ブロックの有無、障害物がないか等  ・誘導して避難する体制、人手の確保  ・緊急時の放送による音声情報  ・大学から発信されるWeb情報が確実に伝わるようにする  ・学部事務室および障害学生支援室との安否確認 電話やメールなど一番連絡が撮りやすい方法を決めておく  ・視覚に障害があることを周囲に伝え、掲示や配布された文字情報も得られるようにする  ●聴覚障害  ・学部事務室および障害学生支援室との安否確認 メール以外の方法、SNSの活用など検討  ・コミュニケーションツールの確保 筆談できる(ペン・メモ帳や筆談ボードなど)を常に携帯する  ・モバイルバッテリーや手回し充電器などを備えて携帯する  ・聴覚に障害があることを伝えるカードの活用(耳マークカード※など)    ●肢体不自由  ・安全な避難ルートの確認 段差や急な勾配などないか、手すりはあるか等  ・介助者の人数と体制、人手の確保  ・日常使用している車いすについて理解する 重さやたたみ方、車いすごと階段を下りる際の持ち手  ・避難に必要な器具の確認 担架や車いすの配置  ・身体を抱えてもらう、あるいは担架に移乗するなどして避難する場合、身体の痛みや骨が折れやすい箇所、股関節の曲がりなど、気をつけておくことはないか医療機関と確認し、支援者に伝えられるようにする  ●発達障害  ・災害時の行動の仕方について確認 パニックにならないように手順を確認しておく  例:学部事務室あるいは障害学生支援室からの連絡に返答し所在を伝える→一時避難場所に避難する→知り合いの学生や教職員と共に行動する、または集団から少し離れて避難する  ・安全な避難ルートの確認 避難場所、避難ルートがわかりやすいものか 空間認知が難しい場合、ひとりで避難せずに誰かと一緒に避難する  ・避難場所において、集団行動による大きな音、避難を知らせる通知音などへの対策  耳栓や耳あて、ノイズキャンセリングイヤホンなどの準備  目に入る情報が多くて不安な場合は、サングラスやアイマスクなどを準備  ・学部事務室および障害学生支援室との安否確認 事前に連絡担当者を決めておく  ・「ヘルプマーク※」を日常的に携帯し、避難時に困ったことなどがあれば、周囲に提示する  ・ 被災後に相談できる人、場所を確認しておく    ●精神障害  ・災害時の行動の仕方について確認 パニックにならないように手順を確認しておく  例:学部事務室あるいは障害学生支援室からの連絡に返答し所在を伝える→一時避難場所に避難する→知り合いの学生や教職員と共に行動する、または集団から少し離れて避難する  ・服薬の管理  災害時に管理が不安な場合、日常相談している教職員に事前に伝えておく  ・学部事務室および障害学生支援室との安否確認  事前に連絡担当者を決めておく  ・「ヘルプマーク」を日常的に携帯し、避難時に困ったことなどがあれば、周囲に提示する  ・被災後に相談できる人、場所を確認しておく  ※ 耳マークカードとは、聴覚障害があることを伝えるカード。  【一般社団法人全日本難聴者・中途失聴者団体連合会HP】 https://www.zennancho.or.jp/mimimark/mimimark/  ※ヘルプマークとは、義足や人工関節を使用している方、内部障害や難病の方、妊娠初期の方など、一見するとわかりにくい人が援助や配慮を求めやすいように作成されたもの。東京都で作られ、少しずつ全国に広まっている。  【京都府HP「ご存知ですか?ヘルプマーク」】 http://www.pref.kyoto.jp/shogaishien/helpmark.html  p14  ●高次脳機能障害  ・災害時の行動の仕方について確認  パニックにならないように手順を確認しておく  例:学部事務室あるいは障害学生支援室からの連絡に返答し所在を伝える→一時避難場所に避難する→知り合いの学生や教職員と共に行動する  ・学部事務室および障害学生支援室との安否確認  事前に連絡担当者を決めておく  ・「ヘルプマーク」を日常的に携帯し、避難時に困ったことなどがあれば、周囲に提示する    ●内部障害・難病、その他の障害  ・災害時の行動の仕方について確認  パニックにならないように手順を確認しておく  例:学部事務室あるいは障害学生支援室からの連絡に返答し所在を伝える→一時避難場所に避難する→知り合いの学生や教職員と共に行動する、または集団から少し離れて避難する  ・服薬の管理  災害時に管理が不安な場合、日常相談している教職員に事前に伝えておく  ・「ヘルプマーク」を日常的に携帯し、避難時に困ったことなどがあれば、周囲に提示する  ●共通  ・大学(一時避難場所)から自宅(あるいは家族が避難している場所)への帰宅方法を、家族や友人と話し合う機会を持つ  例:電車やバスが運行しない場合どうするか  ■立命館大学障害学生支援室のホームページにて、本冊子のテキストデータを提供します。  データが必要な方は、下記ホームページアドレス「刊行物のご紹介」までアクセスをお願いします。  【立命館大学障害学生支援室】http://www.ritsumei.ac.jp/drc  参考・引用文献  ● 日本学生支援機構(2014)「教職員のための障害学生修学支援ガイド(平成 26年度改訂版)」  ●立命館大学(2017)「緊急 災害対応ハンドブック」  ● 関西実行委員会編集委員会、ゆめ風基金事務局(2017)「SOSにこたえたい!‐熊本地震障害者救援本部2016~2017年報告冊子」  ● 災害時障害者のためのサイト(NHKハートネット)http://www6.nhk.or.jp/heart‐net/special/saigai/index.html?tab=disabled#Main  p15  「障害学生等の災害時対応ハンドブック」を作成するにあたって  最後に、「障害学生等の災害時対応ハンドブック」を作成するにあたり、「障害学生及び避難において困難な学生が予想される学生の災害時対応における研修会(2018年7月)」及び「個別避難計画書作成のためのワークショップ(2018年10月)」にて、講師を務めた吉村先生にご助言を頂きました。またワークショップを実施するにあたって、先駆的に取り組んでいる熊本学園大学しょうがい学生支援室より、進め方やフォーマット作成についてご協力いただきました。感謝申し上げます。  作成:立命館大学 障害学生支援室  監修:吉村 千恵  2019年3月 初版発行  2020年3月 第2版発行  裏表紙  立命館大学  障害学生支援室 http://www.ritsumei.ac.jp/drc/