経済学部教授細貝 健司

専門分野フランス思想史

研究テーマ社会制度と「聖なるもの」

経済学部教授 細貝 健司 プロフィール写真

アウグスティヌスやライプニッツが関わって練り上げられたカトリックの教理に「弁神論」というのがあります。この世界を創造した至善である神が、なぜ悪も同時に創ったのかという糾弾に対し、神が創ったのは悪ではなく、悪に見えるが、それは、より大きな善を手に入れるための小善なのだ、と神を擁護する論です。経済学部に長いこと身を置き、その間、「私悪すなわち公益」とか「市場における自由競争が最適な資源配分をもたらす」などという表現を耳にする度に、この弁神論を思い出します。市場の蓋然性を許容する無頼な数学者かと思いきや、超越的なものに対する信奉者の面もあるようで、実はそんな人間くさいところが、長きに渡り人を惹きつけ続ける経済学の魅力なのかも、と思いを新たにしています。

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