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06.07

PEOPLE

2016

ブランド京野菜に対する消費者選好分析-伝統か?地場産か?-


伊藤 正之さん

学科・回生国際経済学科 3回生
出身三重県立四日市高等学校出身

 野菜を買うとき、あなたは何に気を配りますか?価格、産地、栽培方法、外観など、考慮に入れる特性はたくさんあると思います。商品を売る側から見れば、消費者がどのような特性をもつ商品を好み、その特性がどれくらいの価値をもつのかを知ることは極めて重要です。それがわかれば、高い価値を持つ商品の開発や生産に集中的に取り組むことができるからです。しかし、商品の「特性」の価値を金銭単位で表すことは簡単ではありません。一般に日本の消費者は国産野菜を外国産野菜よりも好みますが、その「国産」の価値はいったいいくらになるのでしょうか?

 経済学では、この商品特性の価値を「支払意思額」という指標で測ります。たとえば、代表的な京野菜である九条ネギを例にして考えてみましょう。滋賀県の消費者に「滋賀県産の九条ネギ」と「京都府産の九条ネギ」の二つの商品があるときにどちらを購入するか、またその二つの商品の価格が異なっているときに、自分が好む方に対して追加的にいくらまでならお金を支払ってもよいかを尋ねます。新鮮で安心感のある地元産か、それとも伝統的な産地である京都府産か、人によってその答えは様々でしょうが、そこで回答される金額が、その人が好む産地に対する「支払意思額」になります。私たちは、このような調査を実際に行い、支払意思額を計測することによって、滋賀県の消費者は、全体的には伝統産地である京都府産の九条ネギよりも地元産の九条ネギを好む傾向にあり、その滋賀県産の九条ネギに対して追加的に5円支払ってもよいと考えていることを明らかにしました。

 このように、経済学では本来その価値がお金で表されていないものの価値も測ることができます。そしてそれによって、より戦略的、効率的な商品の開発、生産が可能になるのです。

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