1999年5月号での発言

「臓器提供と脳死移植」に思う

 「臓器移植」は、札幌医科大学の悪い前例があったため、長期間にわたってかなり慎重になり過ぎ、それを可能にする人材や医療技術力がありながら、他の先進諸国に比べ、大きく立ち遅れていたことには致し方ない面もある。しかし、今回のほぼ成功した例が生じたことから、その反省点を踏まえ、今後少しずつ増えていくだろうと推測する。私自身も提供者として登録し、脳死状態になった場合、利用できる臓器の提供はしてやりたいと考えている。家族の考えも同様である。報道の在り方についてはやや難しい点もある。それは基本的人権としてのプライバシ−の定義と保護政策が不明確であるということもあるし、社会的規範に基づいたマスメデ アの報道体制が理想的とされるものから少し崩れているからである。今回の報道の在り方を十分且つ客観的に検証し直し、改善すべきことは即改善し、モラルある言動で今後の報道活動をしていって欲しいと願うのは私だけではあるまい。


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