1999年7月号での発言

「学級崩壊」はなぜ?!

高度経済成長期までの学校教育の中でもそれらしき問題は全国あちこちであったように思われたが、現状に見られるような深刻な事態にまでは至っていなかったように思える。しかし、そういった時代に育った子供たちの一部が「自己中心的な親」となり、物質的には何不自由のない社会生活の中で、とかく「甘やかされて育てられた個性豊かな」子供たちは西洋文化(特にアメリカ文化)の悪影響をメデ アを通して、あるいは社会体験を通して、長年受けてきたことにより、学校といった集団学習環境そのものへの不適応という形で現れた例の一つが「学級崩壊」ではないかと思う。その主たる原因は、国家レベルから学校レベルまでの教育に携わる者の認識と改善努力の欠如、家庭における子供へのしつけの不十分さ、社会(特にメデア)からの直接・間接的な悪影響の三者が複雑に組み合わされた環境そのものであると思う。

「学級崩壊」をすぐにも止める手段(即効薬)はないであろうが、以下の4点を提言として関係者諸氏に検討していただきたい。

  1. 教員の資質を上げること。(これには教員養成プログラムの改善、給与改善、定期的な研修の義務づけなどを含む。何故なら、現状のままの養成方法の改善なしに、あるいは良い教員を確保するために、お金をかけないで、良い教育者など育たないからである。)
  2. 一学級の人数を15人以下にする。(これには教員増、教室環境設備の改善・充実も前提となるが、いまこそ応用言語学的に理想的な学習環境を築く必要を感じるからである。)
  3. 1学校1カウンセラ−・システムを導入する。(通常の業務で多忙な教員にさらに負担を強いるよりも専門職としてのカウンセラ−を常駐させて対応するシステムを構築する必要がある。)
  4. PTA活動の自己点検と拡充化。(現状のPTA活動は真の意味でボランテイア的な存在となっておらず、義務的な活動に陥りがちで、有効な学校側と父母側との交流の場となっていないように思える。もう少し柔軟なアイデアでもって相互にプラスになる活動スタイル(例えば、父母側にもっと教育活動にに持っていけないであろうか。)

 十分な数の、しかも良質の教員が多数いて、子供たち一人ひとりの個性を伸ばすカリキュラムの中で、父母もできる限りのボランテ ア活動に積極的に参加し、問題が生じそうな予備軍には即カウンセリングも受けられような学校環境が構築できるなら、「学級崩壊」などという言葉さえ聞かなくなるであろうと思うが、なかなかそうはうまくいかないのが現実であることも認識している。


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