「是非とも警察組織の抜本的な見直しを」


このところ神奈川県や新潟県での幹部警察官を筆頭にした多くの不祥事がマスコミを賑し、それらの対応のまずさから国民感情を逆なでしている。「これらの事件は、ごく少数の人が起こしたことで全体的な問題ではない」と考える人もいるかも知れないが、実際は、閉鎖的なエリ−ト集団による管轄が行われてきている日本流タテ社会の典型的な警察組織に潜む根本的な問題に起因しているように私には思える。

まず、警察組織そのものの在り方に問題がある。独立した組織であるが故に、客観的な監査がきちんとされなければならないのが常識であるが、国会からの影響を大きく受けない国家公安委員会がその役割を演じているはずである。しかし、たった5人からなる、しかも週一回と緊急時(これまでに数回)の委員会の開催だけで、全国の警察組織を監査することなど不可能ではないか。あるテレビ番組でレポ−トされた一人を除くこれら委員たちの給料もその高額さに驚かされたが、給料に見合った十分な仕事をしていないとも言えるし、給料を1/4にして実働部隊としての監査活動をきちんとできる委員数を4倍にしても良いと思うくらいである。

また、関東管区警察局長や新潟県警察本部長などのように、上級公務員試験制度で昇任してきたキャリア組のエリ−ト管理職たちが捜査指揮を取り、警察組織にとって都合の悪いこと(例えば、捜査ミスや警察官の犯罪)は外部に出さない、そのためには平気で嘘をつくという体制が取られてきたが、呆れて何も言えないし、警察組織への信頼への疑念が生じてしまう。閉鎖的で仲間意識の強いこういったキャリア組が多くを占める制度は、警察組織に限らず、「なれ合いの構造」が自然とできてしまいがちである。多くの異なった現場経験をしてきた人材が混在してこそ、切磋琢磨しあうことができ、捜査効率も上がるのではないだろうか。多くのノンキャリア組の幹部採用を考えた抜本的な警察機構の改革が求められよう。  

国会においては「警察法」の問題点が討議され始められ、改革案が提言されているが、その内容はまだまだ甘いように思われる。大いに議論がされ、より良い法案となり、警察機構の改革が早急に進むことを強く望むものである。一方、我々国民も今後ともこういった改革がどこまでされていくのか、どんな問題点が残されているのかなど、様々なメデイアを通して目を光らせ、必要によっては直接具体的な解決策を関係省庁や関係者に提言していく必要があろう。

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