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TOPICS & EVENTS

01.05

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2018

王中忱教授(中国、清華大学)がゾルゲ事件で知られる尾崎秀実について講演(経済学部70周年プレ企画)

128日、立命館大学BKCにて、王中忱教授(清華大学中国語言文学系教授、日中比較文学研究者)が、「尾崎秀実と同時代の中国知識人――陳翰笙と王学文を中心に」と題する講演を行った。討論者は林少陽(東京大学教養学部教授)、司会者は稲葉和夫(経済学部教授)である。この講演は、経済学部70周年プレ企画の活動の一環として開催され、教員、在学生、卒業生など約40名が参加した。 


尾崎秀実(19011944)は20世紀前半において優れた中国研究の専門家でもあった。昭和初期、尾崎秀実が朝日新聞の記者として上海に駐在した際に、多くの中国知識人と交流し、その中には経済学者の陳翰笙や王学文も含まれていた。陳翰笙は米国、ドイツ、日本などで研究活動を行った中国屈指の農村社会研究者である。1938年に、尾崎秀実が朝日新聞社の「アサヒグラフ」の海外版“Pictures in Japan”の5月号に、陳翰笙宛の公開書簡を寄稿し、中国の政治経済情勢を分析した。これに対して、陳翰笙が193810月に米国で発行された雑誌“Amerasia”第2巻第8号に、「中国における持続的抗戦の展望」と題した英語の論文を発表し、尾崎書簡の論点に対して全面的に反論した。王中忱教授は、この尾崎秀実の公開書簡を発見し、今回の講演では、尾崎秀実と陳翰笙が行ったこの論争を中心に、当時日中の知識人の交流および30年代の日米中の“中国論”を紹介した。講演の後に、林少陽教授は思想史の角度から講評を行い、稲葉和夫教授はゾルゲ事件当時の史実を交えて総評した。参加者からは多くの質問とコメントがあり、そのため講演会は1時間延長して行われた。


なお、本講演会開催にあたって、立命館大学研究成果国際発信制度、および経済学部70周年記念事業より支援を受けている。                                              

                                                文責:秦劼




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