WHY?
#09

原油価格が上昇すると、
ようかんの値段が上がるのは
なぜでしょうか?

QUESTION

原油価格があがると、ようかんの値段があがることがあります。でも、石油と和菓子のようかんって全く関係ないって感じですよね? 原油価格が上昇すると、原油を原料とするガソリンの価格が上昇するというのならば、なんとなくわかると思います。ようかんの原料の小豆の値段が上がるとようかんの値段も上がるというのも理解できるでしょう。

つまり非常に近接したモノ同士ならば、あるモノの値段が、別のモノの値段を左右するという事はあり得ると思えるのです。しかし、上記のように、あるモノの値段が、一見無関係とも思える別のモノの値段を左右することが起こります。正に「風が吹けば、桶屋がもうかる。」ですね。では、そのメカニズムはどのようなものなのでしょうか?

HINTS 要は、原油価格の上昇とようかんの値段の上昇には
何段階ものステップがあり、
それを丹念にみていくと謎は解けます。

原油価格が何らかの要因で上昇したとします。そうすると原油を原料にしているガソリンの価格が上昇します。ガソリンの価格が上昇すると、ガソリンの代替となるバイオエタノールが相対的に割安となりますので、車の利用者はそれを買おうとします。現に、アメリカやブラジルではバイオエタノールはよく利用されています。つまり、バイオエタノールに対する需要(買おうとする量)が増します。

ところで、バイオエタノールは、サトウキビや甜菜(サトウダイコン)などから作られます。ここで注意するのは、サトウキビや甜菜は砂糖の原料になる点です。バイオエタノール生産業者は、サトウキビや甜菜を、生産農家からより沢山買い付けます。その結果、砂糖生産に回るサトウキビや甜菜の量は減ります。ということは砂糖の供給量も減ります。

砂糖の供給は減少しても、砂糖を必要とする業者の需要が変わらなければ、砂糖の価格は上昇します。ようかんは砂糖を多く使う和菓子の一つなので、砂糖の価格上昇を受けて、ようかんは値上げせざるを得なくなるのです。

このようにいくつかのステップを経て、あるモノの価格変化が一見無関係に思える別のモノの価格変化をもたらすことがあるのです。

ちなみに、石油価格の上昇で、牛肉の値段も上がるかもしれません。バイオエタノールの原料には、トウモロコシも含まれているからです。牛の飼料用に回る予定のトウモロコシがバイオエタノールの原料に回り、飼料用のトウモロコシが減ります。そして、飼料用のトウモロコシの価格が上昇するので、牛の飼育コストが高くなり、牛肉の値段が上がる、というメカニズムです。

KEYWORD経済学的キーワード

この分析は、経済学の #市場 #需要 #供給 などの考え方で組み立てられており、そのエッセンスは「グローバル経済ユニット」の「国際貿易論」、「ビジネス戦略ユニット」の「産業組織論」といった科目で学ぶことができます。

「グローバル経済ユニット」の科目では、国際間の経済関係と各国経済の多様性を理解し、グローバルな視野に立って国際的諸課題を考察し、解決提案できる力を養います。

「ビジネス戦略ユニット」の科目では、経済学的視点から企業の意思決定理論を学ぶとともに、マネジメント、会計、法律などの多様な観点から経営戦略、企業組織をめぐる諸課題を分析します。

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