色んな事が特殊な映画「京都太秦物語」
この映画は、山田監督 阿部勉共同監督 立命館の学生さんたち
大映通り商店街の地域の方たちで撮影するという特殊な映画です。


全員の年齢も大きく離れている。
プロもいれば学生もいる。
映画人だけでなく商店街の方、学生もいる。
互いの距離が掴みにくい、少し普通じゃない特殊な現場。

 お互い分からない事が多すぎるだろうと思ったから、コミュニケーションを大切にしようと思いました。はじめはマネージャーさんに、学生だから今回は自分がしっかりしなくちゃいけないと言われていました。でも、商店街の事や、撮影現場の事について一番分かっているのは学生さんでしたので、彼らから聞く話は演技で必要な情報がたくさん詰まっていたように思います。

 例えば、屋上のシーンでは学生さんたちが、山田洋次監督はどういうものを撮りたいのかを伝えてくれました。洗濯物を運ぶ動作や干す動作を、一年半調査していた学生さんに聞いたり、教わったりしたからこそ出来た演技だったと思います。山田監督・阿部監督にも、調査に入っていた学生さんの干し方の例を出してもらいながら、演技指導をしていただきました。

 やはり一年半山田監督のもとで学んで、商店街で調査をしてきた学生さんとコミュニケーションを取る事が全体とコミュニケーションを取ることに繋がっていたように思います。

産学連携映画に関わって 学生から伝わった“純粋な、映画に対する気持ち”
 プロのスタッフさんたちからでは学べないこと、他の現場では感じないこともすごいいっぱいあります。みんな映画に対する気持ちが凄く純粋で。
私もまだ経験は浅く、そんなに変わっていないつもりではいるのですが。

「現場にいられて嬉しい」「良いものを作りたい」という気持ちが溢れています。学生さんみんなの一生懸命な姿から伝わってきます。

私も学生さんたちの姿を見て、
頑張ろうって思えたんです。

山田洋次監督について
ワンカットに4時間か6時間くらいかけたシーンがあったのですけど。

 私達でも一杯一杯なのですけど、(山田監督は)妥協の無い方なので、一般の方である東出さんにも容赦ない演技指導でした。東出ご夫妻にも駄目だしが入りまして…。セリフや動きもその場でどんどん、どんどん変わっていきますから。
プロの役者でもついていくのが大変な山田組の現場で、
キャメラを向けられるのが初めての地域の方はもっと悪戦苦闘。
そのとき感じた海老瀬さんの思い。


 当然と言えば当然の事なのですが、私たちは、絶対に間違えられないって思いましたし、お母さんが緊張していたり、「上手く行かへん」と思っていたら、何とか和ませられへんかなって思いました。
 私の一本目の作品(「釣りバカ日誌」)のときがそうだったのですけど、ベテランの役者さんが緊張している新人の私に声をかけてくれた事がありました。だから私もお母さんに和ませようと思えたのだと思います。  でも、そういう場面では、(1年半商店街の事前調査をしてきた)学生さんの力ってすごく感じました。いっぱい助けてもらったように思います。
地域の人たちから学んだ事  自分の生活、生き方、自分の仕事に誇りを持っていることが素晴らしいなと思いました。実際に接してみて感じるようになった事もあったし、今までの生活の事を直接聞いて感じるようにもなりました。
特に心に残った、地域の方の話
 娘さんが小さかったときに、アイロンで火傷をしてしまった事があったそうなんです。それを今でもお父さんは気にしていて…

海老瀬さんの目から急に溢れてきた涙。
涙を隠すように笑顔で誤摩化す姿は、京子そのもの。



“何で、泣いてるんやろ”

 あれだけ2ヶ月間一緒に生活して、普通ならば現場だけでの関係だけれど、一緒に生活したりお話したりして、お父さんの“思い”も直接感じました。
 だから(涙が出たの)かなと思います。

そう話す海老瀬はなさんは、まさに東出家の娘のようでした。
家族の子を思う親の“思い”に涙する海老瀬はなさん。
東出京子として育ってきた過去が海老瀬はなさんから見つけられることができます。
これから映画を観るみなさんへ
 京都の新たな魅力を感じられます。
観光地といえば、広隆寺とか嵐山だと思うのですけど、京都の人たちの暮らし、生活、なかなか観られない京都がつまっています。
海老瀬はなさん、ありがとうございました!
インタビュー・文・写真/立命館大学学生スタッフ