Report #02

松原
今回は、どのように自分を生かして研究していけばいいのか、という質問も多く寄せられています。「いろいろなチャンスを確実に自分のものとし、フィールドを広げておられる印象を受けます。ご自身の研究者としての強みをどう考え感じておられますか。また、私たち学生に励ましのメッセージをお願いします」「自分自身の個性・興味関心など、やりたいことを中心に考えて野中先生のようにとことん突き進んで社会に価値を見い出すには、どのように考えて行動すべきでしょうか。生き方のヒントなどがあれば教えてください」など.....確かに、臆せずにチャンスを自分のものにして突き進んでいらっしゃるように感じます。なぜそのようにやってこられたのですか?
野中
ありがとうございます。立命館大学に来てから「自分のものにして臆せずに」いろいろなチャレンジをしている、と評価していただく機会がとても増えました。本当は私の性格はまったく違うと思っているのですが、臆せずにできている理由の一つに、研究対象のポテンシャルや素晴らしさに出会ったときの感動があると思います。これまでに「私はこの研究をするために生まれてきたのかも」と思ったことが二度あって、その一つがゼリー技術です。自分の研究者としてのキャリアを考える以上に、「これを普及させるために尽くしたい」という思いで、わくわくして眠れないくらいの感動がありました。そのためなら、研究テーマとしては専門から少しズレていても取り組もうと思えるんです。
仲谷
「これは無駄」と決めつけられることはあまり多くなくて、「これは社会のために必要なのではないか」と思ったらまずはやってみる。そうすると自分の研究テーマを生かせるものが必ず見つかると思いますね。
松原
学生の皆さんが、若くして新しい分野を切り拓き国際的なプロジェクトも進めておられる姿を見ると、「自分のやるべきことがはっきり決まっていて、そこに突き進んでいる人なんだろう」と思うかもしれないですね。でも、自分の中に元々ある確固たるものを実現していくというよりは、自分がたまたま置かれた環境の中で、人や物事を発見してエンジョイしている。エンジョイしながら、自分がコミットしたらもっと素敵に面白くなるのでは?というアプローチを見つけてトライしてみた結果、新しい研究のコミュニティやプロジェクトができている。野中先生のお話からはそんな印象を受けました。
野中
まさしくおっしゃる通りです。
仲谷
確固たる何かを持っている人がどれほどいるのか、そして本当にそれが良いことかどうか、僕は怪しいなと思いますね。野中先生は流されているわけではまったくなくて、しっかりアンテナを張って、自分にとっての良い・悪い、快・不快、重要・不要を分けられている。「自分が今やるべきことはこれじゃないか」という選択を正しくやって取り組んでいるから、全然問題ないわけですね。
松原
「今、自分がいる学科に全く興味がありません。興味があることをしたいのに、どうすればいいでしょうか」という質問も届いています。
野中
私の場合は、学外の人と会ってみて新しい取り組みのきっかけを掴めたことがありました。それから、30歳になる手前で初めて海外留学したのが、研究者になりたいと思ったきっかけでした。私はよく学生には「そんなに若いときは自分のことを全然分かっていないから、『苦手』と思っていることも嘘かもしれないよ」と言っています。自分は変えられるし、苦手と思っていたことも自分の専門につながることもあるので、ポジティブに自分を疑ってほしいです。学生の皆さんもどんどん楽しんで、臆せずにいろいろチャレンジしてほしいです。ぜひ何かご一緒できたらなと思います。
松原
非常に勇気づけられる言葉です。 例えば仲谷先生と私は同い年ですけれど、それでもまだチャレンジの途中なんですよね。分からないことだらけだし、変わっていく環境の中で、新しい自分を発見できるんです、その気があれば。
皆さん、今回も本当にありがとうございました。とても楽しく、深いメッセージをたくさんいただいて感謝いたします。また次回のYs salonでお目にかかりましょう。

LINEアンケートシステム

当日は、LIVEアンケートシステムを用いて参加者とリアルタイムで意見を交わしました。

システム工学を学ぼうと思われたのはなにかきっかけがあったのでしょうか?

自動車、ゼリー、ロボット、それぞれのトピックのつながりについて、もう少し伺いたいです。

ゼリーがサステナブルということですが、例えば今後、宇宙空間への応用可能性など、その他可能性もありますか?

日本酒ゼリーを通して、各地の酒蔵や地域の「再発見」の機会となると良いですね。

今自分がいる学科に全く興味がありません。興味のあることをしたいのに、、どうすればいいですか?

配管を使ってものを運ぶとき、水道管やガス管などどんな管でも使えるのですか。例えば水道管なら、ものを運んでもらっている間に断水したりするのですか。

ゼリーについての質問です。飲料のゼリー化によって食の可能性が広がるというのは大変興味が湧きました。今後、食感(ゼリーの柔らかさ)を変えることも可能になるのでしょうか?

いろいろなチャンスを確実に自分のものとし、フィールドを広げておられる印象を受けます、ご自身の研究者としての強みをどう感じておられますか。また、わたしたち学生に励ましのメッセージをお願いします。

自分自身の個性、興味関心などやりたいことを中心に考えて、野中先生のようにトコトン突き進んで社会に価値を見い出すにはどのように考えて行動すべきでしょうか。生き方のヒントなどあれば教えてください。

周辺の可能性に出会ったときにとりあえずやってみる。やってみる中でアプローチの仕方を変えていくことで新しい形が見えてくるというお話が印象的でした。アプローチを変える際など、発想の転換を行うコツ・秘訣などあれば教えてください。