「読書マラソン」とは、全国の大学生協で実施している読書推進運動の一つ。コメントカードに本の感想を書いて投稿すると、カード1枚につきスタンプ1個がもらえ、大学生協で使える割引券などと交換できる。そして、毎年全国の大学から寄せられたコメントから優秀なものを選び、表彰するのが「大学生協読書マラソン・全国コメント大賞(以下:全国コメント大賞)」。応募総数4571点の中から、2016年度第12回全国コメント大賞の金賞に輝いたのが森田さんだ。

よく足を運ぶ存心館のブックセンターで、「第11回全国コメント大賞」の募集を知り、応募を決意したのは一昨年前のこと。その時は「海炭市叙景」という本の感想を書き、複数人に与えられる「ナイスランナー賞」を受賞。「もっといい賞を狙いたい!」と2016年度も応募を決意。実は、同時期に応募した「読書マラソン第12回立命館コメント大賞」での上位入賞を狙っていたという。結果、全国と立命館のコメント大賞でのグランプリのダブル受賞を達成した。「全国で賞を取れるなんで思っていなかったので、本当にびっくりしました」と振り返る。

年齢を重ねると、感想も変わる。その時期に感じる思いを素直に表現

題材にした本は、高校時代に初めて読み、大学3回生で再読した、夏目漱石の「坊ちゃん」。昔は理解できない部分もあったが、改めて読むと新たな感想を持ったという。「幼少期とは違い要領よく、時に自分をごまかしながら大学生活を過ごしている近頃。そんな自分を捨て、たまには正直になってみようかな…」という森田さんの今の気持ちを込めた。「今しか感じられない気持ちを、今の自分の言葉で表現できた」と、等身大の大学生の姿が共感を得られたのではないかと分析する。また冒頭の「謝る時、素直になれなくなる」という言葉が、読者を引き込む言葉選びと評価されたという。

感想文について、「誰に気を遣うことなく、素直な自分を表現できる」という森田さん。「高校のとき、いろいろ相談に乗ってくれた先生がよく本を貸してくれて…。一昨年前に感想を書いた海炭市叙景は、先生から勧められ本なんです」と本にまつわる思い出を語ってくれた。

17音に思いを込める俳句を通じて感性を高めた

俳句が盛んで、漱石と同じ愛媛県松山市出身の森田さんは、幼少期から俳句に親しんでいた。高校時は俳句部に所属、5人1組のチームで俳句の出来や議論による俳句の鑑賞力を競う「俳句甲子園-全国高等学校俳句選手権大会―」に3年連続出場している。「部員が少なかったので選ばれただけです…」と謙虚にいうが、2年時は優勝、3年時は3位という成績に貢献している。「単に俳句をよむだけでなく、ディベート力を要する大会。人前で自分の考えを発信する力が身についた」。感想文での表現力は高校時に培われてきたという。

次は、“青春”をテーマにした小説執筆に挑戦したいという森田さん。俳句で培ってきた感性と、感想文の執筆で培った表現力で、今しか書けないリアルな感情を表してくれるだろう。短文、長文を問わず、どこかで森田さんのペンネームである「もりあんぬ」の作品を目にすることを心待ちにしたい。

PROFILE

森田佳穗さん

松山東高等学校(愛媛県)卒業。小学校のときにハリーポッターシリーズと出合い、本に興味を持つ。大学入学後は、関西圏の学生で実施している句会や、俳句をつくるために景色のよい所や名所に出かける吟行に参加。個人で「一茶忌俳句大会」などの俳句大会にも積極的に応募している。文学部で心理学を専攻し、北岡明佳教授のゼミで視覚について学び、「心理的時間と物理的な時間の経過時に感じる誤差」について研究予定。趣味はスポーツ観戦。特に、箱根駅伝が好きで毎年テレビで観戦している。

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