第Ⅱ章

これまでの議論経過と今後の方向性について

1.これまでの議論経過

(1)正課、正課外の学びの充実、協創施策の進捗と具体化

1)正課における教育の質向上

正課の学びに関しては、学友会からの求めに応え、これまですすめられてきた教学改革の効果検証を行い、その結果を学生と共有していくことが確認されました。また、さらなる授業改善に向けて組織的ファカルティ・ディベロプメント(FD)をすすめていくこと、および、引き続き教学改革が学生の成長や満足度向上に与える効果について多面的に検証し、主体的な学びを促す授業づくりに引き続き取り組むこととなりました。

現在、大学ではmanaba+R のポートフォリオ機能を拡充して、教員が個々の学生の学習履歴を確認し、学習アドバイジングを可能とする仕組みの導入をすすめています。この拡充にあたっては、学友会が指摘した個人情報保護の観点からの懸念を受けて、閲覧できる教員の範囲について慎重に検討していくことを確認しました。

あわせて、2020年度教養教育改革のなかで、教養教育における学びの発展の可視化をすすめるとともに、学生が主体的に学べる授業改善を推進しています。この改革において、学生から要望のあった先端的分野や日常生活に関連した分野は教養改革の新たな科目展開や科目設計の中で工夫すること、また学生が受講したいテーマについては教養ゼミナールなどで展開していくことを確認しました。

2)留学生支援を含む国際化、包括的学生支援とダイバーシティ&インクルージョンの推進

留学生支援を含む国際化の課題では、学友会・院協から増加する留学生への教学・学生生活支援の充実強化(英語開講科目を拡張、強化や日本語学習支援の必要性)が求められました。これを踏まえ、留学生への入学前後の支援を充実させること、行政や外部機関とも連携した支援を行っていくこと、留学生からの多様な支援ニーズに応えるために2019年度より「留学生支援コーディネーター」による支援を開始すること、などを確認しました。

包括的学生支援とダイバーシティ&インクルージョンの推進に関わり、学友会を中心に、より一層多様な学生が学び合う環境の整備をすすめることが求められました。これを踏まえ、以下の取り組みを行うことを確認しました。

①初年次を中心とした学生の自立と成長支援について高校から大学への学びの移行をスムーズに行う支援をStudent Success Program( 以下、SSP)を拡充してすすめる。

②ジェンダー・セクシャリティに関する相談・支援について、個別支援のみならず全ての構成員に周知・啓発する活動を含めた取り組みができる体制を構築すること。また、障害学生支援については、実態把握や支援が必要な学生の増加、英語等の対応も求められることから、体制の強化を図る。

③経済支援給付奨学金の拡充について、2019年度は現行制度の中で他の奨学金の残予算をこの経済給付奨学金に充当するという運用改善によって受給率を高める取り組みを行い、2020年度以降については国の高等教育段階の教育費負担軽減の動向を踏まえた検討を2019年度にすすめる。

3)正課外での学びの充実

学友会と大学は、正課外での学びや課外自主活動の意義について、立命館憲章や学生育成目標を実現する学生の成長の場として位置づけられるとの見解が一致していることを確認しました。このことから、正課と課外の両立が重要となることもあわせて確認をしました。こうした認識の一致や学友会からの指摘を踏まえ、以下の取り組みを行うことも確認をしました。

試合や大会等の参加によりやむを得ず授業を欠席する学生を対象とした「試合等参加証明書」制度の目的と運用について改めて教員への周知を徹底し、学生の自発的・主体的な学習意欲に応えるべく取り組みをすすめることを確認しました。この取り組みでは、学生がその授業に対するフォロー(資料収集など)を自分自身で最大限努めることが基本となります。担当教員は、学生からの申し出があった場合、教員の判断により可能な範囲で当該の学生に対し、例えば、①資料の配布、②授業範囲の確認および授業のポイントの説明、③次回までの自習内容の指示、④その他事項の通知などの指導・援助を行います。

また、課外自主活動に関連する施設・設備の整備について、安全・安心を担保することを優先し、課題が生じた際は、学生部(学生オフィス、スポーツ強化オフィス)が第一次対応窓口となることを確認しました。

(2)キャンパス環境の質向上について

キャンパス環境の整備に関わる課題に関して、学友会は2016年度全学協議会の確認事項を具体化し、「キャンパス整備の検討段階において、様々な学生の意見が反映される意見交換の場を設ける」ことを継続して求めました。また、学友会が独自に実施した全学生を対象としたアンケート結果を踏まえ、①食堂の回転率や快適さの向上などの食環境の改善、②大学が取り組むキャンパス全面禁煙化について、目的と手段の再検討、③空調の柔軟な対応と試験期間の施設開放等の自習環境の改善、などを求めました。

こうした指摘を踏まえ、以下の取り組みをすすめることを確認しました。

①食環境の改善は、学生の日常生活と関わる関心の高い課題であることからキャンパス単位での課題に応じた改善を、立命生協と連携しつつ、キャンパス懇談会等で継続して協議する。

②キャンパス全面禁煙化の課題については、このあり方について全面禁煙の再検討を求める学友会と、全面禁煙化の徹底をめざす大学とで見解が分かれたため、今後も継続して協議をすすめる。

③試験期間における施設開室時間の拡大について、2018年度秋学期の定期試験期間において実態把握や一部を試行的に開放する取り組みをすすめる。

(3)大学院教学の充実について

前回の全学協議会では、大学院での教学上の課題として、1)TA(ティーチング・アシスタント)制度の充実、2)院生のキャリアパス支援制度の充実、3)リサーチ・コモンズなどの研究環境整備について協議がなされ、合意がなされました。

1)TA制度について

TA制度は院生が教える経験を通じてキャリア形成と経済支援に寄与する重要な教学上の取り組みであることで認識が共通していることを確認しました。これを踏まえ、多くの院生がTAとしての経験ができるよう、TAの募集時期のホームページでの公開、教養科目TAのmanaba+Rでの公募、教学・研究において結びつきが強い学部の科目でのTAなど、従来からの方向性でTA活動の機会がより広まるよう検討をすすめることになりました。また、学部とのつながりが少ない独立研究科の院生においても、専門分野で関連する学部授業などでTAとなる機会を持てるような方策の検討を確認しました。

2)キャリアパス支援制度の充実

大学では、院協からの要望に応える形で、研究のモチベーションおよび博士課程後期課程修了後のポスト拡充・待遇改善につながる助成金や支援制度の確立、博士課程後期課程での学会参加助成などの既存制度の拡充などについて具体化をすすめることになりました。

特に、第4期キャリアパス形成支援制度(2016 年度〜 2020年度)およびR2020後半期重点施策である大学院高度化政策予算での既存の取り組み(学会奨学金、研究活動促進研究費、ベーススキル向上支援、博士論文出版助成、英語論文投稿支援など)については、さらに充実させる方向で順次改善を具体化していくことを確認しました。また博士課程後期課程修了後のポスト拡充については新たな枠組みを設けることを表明しました。

3)研究環境(リサーチ・コモンズ等)の整備

院協からは、研究環境上の課題として衣笠キャンパス(以下、衣笠)と大阪いばらきキャンパス(以下、OIC)におけるリサーチ・コモンズのスペース不足の解消が求められました。この問題の解決のために、限られたスペースの制約の中で、機械的に座席数を考えるのではなく、教学・研究の分野ごとのスタイルの違いを考慮し、キャンパスごとに望ましいリサーチ・コモンズ環境の観点から検討・改善を行っていくことで合意しました。そのうえで、新設研究科の年次進行を含む院生数の大幅増となっているOICでは、まずは暫定的な対応を行うことを決めました。なお、リサーチ・コモンズ等の研究環境の整備にあたっては、これまで同様、院生との十分な協議を行いながら検討していくことが確認されています。

NEXT:第Ⅱ章大学の取り組みの進捗と今後の方向性について

Student Success Program(SSP)

SSPは、学生「一人ひとり」が正課と課外すべての学生生活を通じて学びの主体として「自立」し、最大限の「成長」を遂げられるようになるための学生支援です。学生生活の充実に向けた個別支援やセミナーなどの取り組みを2017年度から段階的にスタートし、2018年度からは立命館大学の3キャンパスで展開しています。

キャリアパス支援

本学では、大学院全体として入試、教学、キャリア形成、奨学金等支援制度を有機的に連携させて院生キャリアパス(進路・就職)を支援する制度を有しています。

2.大学の取り組みの進捗と今後の方向性について

(1)2018年度全学協議会確認を踏まえた協創施策前半期(2019-2020年度)の進捗と具体化

協創施策推進の前提として学友会が強調し、大学としても受け止めた教育の質向上の到達点を可視化してゆく課題では、「学びと成長調査」に示された本学学生の学びの大まかな特徴や傾向を『学びと成長レポート』にまとめ、学友会との意見交換を経て、大学ホームページでの公表を予定しています。留学や課外活動についても、それらを通じた成長に関する検証作業が進行中です。

協創施策の実施にあたっては、学習支援と学生生活、国内学生と留学生を包括する支援の体制を整えるため、教学部・学生部・国際部の3部が日常的に連携して協議を行う機関として、「協創施策推進本部会議」を設置しました。また、施策の財源を現行予算の総枠の範囲内で確保するため、既存の諸政策の実施に影響が生じないよう十分な注意を払いながら、予算区分の部分的な組み替えを行いました。協創施策のベースとなる学部・研究科ごとの協創施策については、その基本的な財源である「教育力強化予算制度」を改革し、個々の学部・研究科がそれぞれの学びの特性に応じて使い道を決定したうえで、取り組みの内容や成果について学生に概要の説明を行うこととしました。

協創施策およびそれに関連するこの間の取り組みには、以下のような進展がありました。

1)正課・正課外の学びの充実、協創施策の進捗と具体化

①正課における教育の質向上

  • 基盤的な取り組みとして学びのプロセスをふまえた学習アドバイジングのため、manaba+Rに、学部・研究科単位で所属学生の履修履歴や面談記録を通覧できる「マネジメント機能」を追加しました(2019年度から3学部が試行的に運用を開始)。
  • 2020年度から教養教育を改革し、科目群および個々の科目の位置づけや到達目標を明確化すること、教養基盤科目の「平和と民主主義」分野を今後の社会変化に向き合う科目やアクティブ・ラーニング型の科目を盛り込んだ「立命館科目」群に発展的に再編すること、教養基盤科目の中の一つとして新たに「芸術と創造」分野を設けることなどを決定しました。

②留学生支援を含む国際化、包括的学生支援とダイバーシティ&インクルージョンの推進

グローバルな学び
  • 国内学生が在学中に一度は海外での経験を積む機会を提供すべく、2018年度に新たに3件の世界の大学・教育機関と協定を結びました(累積で457大学・機関)。本学は「協定に基づく海外派遣者数で全国1位」(2018年JASSO発表)となっています。
  • 学生が参加しやすい短期海外研修プログラムである「グローバル・フィールドワーク・プロジェクト」と「異文化理解セミナー」を1クラスずつ増設しました(総開講数はそれぞれ5クラスと20クラス)。
  • 正課・課外での語学学習および国内学生と留学生の共修・国際交流の場としてオープンしたBeyond Borders Plaza(以下、BBP)の2018年度入場者はのべ5万人に達し、言語学習と国際交流双方の企画が3キャンパスで展開されています。
  • 正課での学びあいの拡大のため、英語および初修外国語による教養科目のクラス数を、2018年度の119クラスから2019年度は150クラスに拡充しました。
包括的な学習・学生生活支援のしくみ
  • 教育力強化予算の一部をキャンパスや全学規模での連携を伴う施策にあて、学部・研究科からの提案を受けて、びわこ・くさつキャンパス(以下、BKC)における学部横断型学習支援など10の企画を選定しました。
  • ピア・ラーニングにおけるES(エデュケーショナル・サポーター)の役割の重要性に鑑み、単価(時給)を3キャンパス統一としたうえで、その水準の引き上げを行いました。
  • 授業外学習の促進やその前提となる課題の適切な設定に向けて、2019年度から、シラバスの執筆に際して授業外学習の指示に関する項目の記載を必須化しました。
  • 理系学部では、より多くの学生がリメディアル教育の機会を利用できるよう、学修相談の開設時間や場所を改善しました。
  • 初年次の学生支援の充実にむけ、2019年4月1日から各キャンパスにSSPコーディネーターを増員配置しました。これにより増加する個別支援への対応、計画的なセミナーやグループ支援、教育力強化予算を活用した学部との連携事業等を検討し、順次取り組みを具体化します。また、入学前支援プログラム(高校と大学の学び・生活の違い理解)を現行の対象者(一部の特別入試入学者)から拡げ、附属校の生徒に向けたプログラムとしての展開を検討しています。
  • オリター活動については、「オリター活動に関する確認事項」「オリター活動・支援のフレームワーク」(2018年度全学協議会確認文書)に基づいた支援を学部と学生部が連携して行っています。2019年度全学協議会では、オリター活動だけにとどまらず、初年次教育の全体を見渡した上で、新入生が抱える困りごとなどをさらに具体的に把握し、解決策の検討をすすめることが残された課題といえます。学友会が実施を予定している1回生アンケートの結果も参照しつつ、学生実態を踏まえた2019年度全学協議会での協議をすすめていきます。
  • 経済支援型奨学金受給者のうち、学業困難層を対象に、SSPによる支援の検討をすすめます。この支援は、国の高等教育段階の教育費負担軽減新制度と関わった2020年度に向けた経済支援給付奨学金制度の変更と併せて検討をすすめます。
  • 留学生のさまざまな相談をまずは受け止め、必要に応じて専門部門につなぐ役割をもつ留学生支援コーディネーターを2019年度から各キャンパスに1名ずつ配置することを決め、学部・研究科や行政・外部機関と連携した支援を開始しました(衣笠とBKCでは着任済み)。
  • 日本語教育の体制を強化するため、専任教員を2名増員しました。
  • 全学協議会 学生の様子
ダイバーシティ&インクルージョンの推進

本学ではこの間、サポートルームや障害学生支援室の設置、SSPの開始をはじめとした包括的学生支援体制の構築をすすめてきました。こうした経過や2018年度全学協議会でのダイバーシティ&インクルージョン推進に関する協議を踏まえた取り組みの進捗や課題は以下のとおりです。

  • 多様な学生への相談・支援体制の構築に関わって、ジェンダー、セクシュアリティに関する相談・支援に対しても組織的に対応する体制構築が必要です。こうした認識のもと、「性的マイノリティへの支援および多様な支援を支える体制に関する検討プロジェクト」を学生部会議のもとに設置し、2019年7月を目処に検討結果を取りまとめる予定をしています。
  • 障害学生支援については、2019年4月から障害学生支援コーディネーターを増員して配置し、支援体制を拡充しています。
  • 経済支援給付奨学金の拡充について、給与収入400万円以下層への奨学金受給率を高めるための取り組みをすすめていきます。国の高等教育段階の教育費負担軽減新制度が2020年度から実施されることを受け、2020年度以降の経済支援給付奨学金の制度見直しについては、2019年度後半期にむけ制度設計等の検討をすすめていきます。

③正課外での学びの充実

  • 正課外での自主的な学びをさらに充実する支援を検討します。具体的には、正課外での活動を支援する現行の成長支援型奨学金制度は2020年度までの運用となっているため、学生実態を踏まえ、この奨学金制度の改善を図っていきます。
  • また、2018年度に全学協議会において協議をした「試合等参加証明書」について、この証明書の意義や目的が学生・教員相互に理解促進されるよう、書式を改訂しました。加えて、この運用について教授会を通じて教員への周知徹底を図ります。
2)キャンパス環境の質向上について
  • キャンパス環境の質向上について、学友会からは特にキャンパス全面禁煙化のあり方について2018年度から継続した協議が求められています。この協議には、2019年7月からの改正健康増進法(以下、改正法)の一部の施行を踏まえた観点が必要となり、以下の取り組みをすすめます。

①卒煙支援エリアの取り扱い

改正法の要件を満たす形に変更し、受動喫煙防止策を講じつつ、引き続き3ヵ年計画に基づいて喫煙率低下と、その先の卒煙支援エリアの撤去をめざすこととします。

②キャンパス全面禁煙化の取り扱い

改正法施行後は、キャンパスを「全面禁煙」から、改正法に合わせ「特定屋外喫煙場所を除く敷地内禁煙」とし、引き続き3ヵ年計画に基づきキャンパス全面禁煙化をめざすこととします。

③キャンパス内喫煙行為への対応

教職員・学生のキャンパス内禁煙の遵守を徹底する取り組みを継続して行います。

3)大学院教学の充実について
  • 大学院前期課程(修士課程)では、2017年度からの学費減額に加えて、本学大学院での学びの魅力を伝える企画や活動を積極的に展開したことにより、2018年度に増大した入学者の水準を2019年度にもほぼ維持することができました。大学院入学者の増加は、TAによる授業支援などを通じて学部学生の教育環境の充実にも寄与します。
  • 大学院入学後のキャリアパス支援の方策として、2017年度に新設された博士論文出版助成制度の採択枠を2019年度から拡大するとともに、研究職開拓のステップボードとなる初任助教制度初任研究員制度を新設しました。
  • 複数の研究科を横断し企業・地域と連携するプログラムにより博士人材を育成する超創人財育成プログラムを2019年度から開始するとともに、文部科学省の2019年度卓越大学院プログラムに再度の応募を行いました。
NEXT:第Ⅱ章協創施策の後半期(2021-2022年度)に向けた方向性について

初年次教育

大学での学びのみならず学生生活への適応を含み、正課・正課外にわたって提供される総合的な教育プログラムです。高校から大学への学びと学生生活へのスムーズな移行支援は大きな課題です。

ES(エデュケーショナル・サポーター)

授業において、先生や学生のサポートをする学部学生のことです。授業時のグループワーク支援、学生の質問対応など、先生と学生双方をサポートすることで、授業をスムーズに進め、より効果的な学習効果を生み出す役割を果たします。これらのサポートを通じて、ES自身が専門の学習や、幅広い知識・能力を涵養する機会となります。

ピア・ラーニング

仲間による支援活動を意味し、学生同士が助け合う取り組みを通して支援を受ける学生の成長と同時に支援する学生の成長にもつながることが期待されます。1回生小集団クラスを支援するオリター・エンターをはじめ36団体で3,400名近い学生が活動しています。

初任研究員制度

「初任研究員」は、本学の博士課程後期課程(または4年制博士課程)修了後、早期に、国内外の研究機関、企業(研究職)等への就職を果たすために、多様な分野における基盤的研究を充実し、研究成果の創出を促進するための役割を担うことを目的として設置された制度で2019年度からその運用を開始しています。

初任助教制度

「初任助教」は、①本学理系4研究科にて博士課程後期課程(または4年制博士課程)修了後、さらなる研究実績を積むことで、早期に国内外でのアカデミックポジションで活躍すること、②若手人材の多様な分野における基盤的研究を充実させ、本修了者が研究成果を創出することを促進し、同時に教育経験を有すること、を目的とし設置された制度です。2019年度からその運用を開始しています。

卒煙支援エリア

卒煙支援エリアとは、喫煙者を卒煙に導くことを前提として、エリア利用者に対して卒煙指導や啓発を行う場所として2018年度から各キャンパスで運用されています。2019年度からは改正健康増進法における受動喫煙防止の取り組みをすすめるため、同エリアを特定屋外喫煙場所の要件を満たすような仕様として順次整備をすすめています。

(2)協創施策の後半期(2021-2022年度)に向けた方向性について

後半期(2021-2022年度)には、大学院教学・研究高度化や高大接続・進路開拓をも包括し、教学部・学生部・国際部に加えて、一貫教育部、研究部、キャリアセンターも施策の検討に参加することが想定されています。後半期施策の議論はまだ端緒的な段階にありますが、現時点で協創施策推進本部会議において課題としてあがっているのは以下の諸点です。

学習成果の可視化
  • 学習成果の可視化については、「学びと成長レポート」を様々なテーマで継続的に発表します。また、「学びと成長調査」を各学部が行っている教育目標達成度の検証や、授業アンケート、学生部の調査、学友会の調査等と照らし合わせながら、学生の意欲や積極性を高める授業や授業外での学びのあり方を学生の皆さんとともに考えていきます。
学習・学生生活支援
  • 学生自身が正課での学びと正課外での学び、学内での活動と留学など学外での活動を振り返り、その後の学修や進路開拓に活用できる包括的な履修履歴システムの整備、およびこうした情報を活かした学びのアドバイジングのしくみの検討に着手します。
  • 卒業論文・卒業研究執筆の土台とる文章作成能力を育て高めるための全学的な日英両言語でのライティングサポートのあり方(オンラインあるいは対面の正課授業、共通教材の作成、正課外のチュートリアルなど)について、検討を行います。
  • 留学生支援コーディネーターの活動を通じて、留学生の困りごとの類型化や支援容の蓄積と体系化への取り組みをすすめます。
  • 学生支援をさらに深化する取り組みを検討します。具体的には「SSP事例分析による支援の充実」、「学部単位僅少者面談とSSPによる支援の連携」、「SSPによる入学前支援の附属校展開、特別入試入学者への拡充の検討」、「多様なコミュニティのリーダー層を育てるリーダーシッププログラムの体系的展開」、「『個』の成長の観点からのピア・ラーニング・システムの再構築」などがあります。
  • 包括的学生支援やダイバーシティ&インクルージョンの推進の観点から、「多様な学生に対応した総合的な窓口体制」「多様な学生に対応した多様な学び方(学びの個別化)」の検討をすすめます。
  • 全学協議会 学生の様子
留学と国際交流
  • 留学を通じた学びと成長の効果検証に基づき、新たな留学プログラムの開発を行います。
  • BBP における留学支援・国際交流企画の賑わいを一層活性化させ、言語学習支援の要であるコミュニケーションルーム利用や自習教材を活用した言語学習促進を図ります。
  • 正課での留学生と国内学生の共修の場として、英語・初修外国語による授業科目・クラス数のさらなる拡大をすすめます。
大学院と研究の高度化
  • 本学の大学院で学ぶ魅力を学部学生によりわかりやすい形で示す企画や行事を通じて、学内からの大学院進学者を増やし、学びの点での学部と大学院の結びつきを強めます。
  • 院生を対象とするキャリアパス支援の諸制度を協創施策の一環と位置づけ、研究者としての就職の道筋の形成や専門性をいかした幅広い進路開拓の観点から、必要な見直しを行いつつ、いっそうの拡充をはかります。
  • 院生の研究活動への支援と院生自身の研究能力の向上は本学の研究の高度化にとっても大きな意義をもつことから、引き続き、大学院教育と研究の高度化を共にすすめる施策を検討していきます。
NEXT:第Ⅲ章2020年度・2021年度の学費政策について