03
身の回りにあるものや自然からエネルギーを生み出す方法について研究している田中亜実さん。目下、尿に含まれる電解成分を利用して発電システムを作り、おむつに装着して尿漏れを知らせる装置を開発中だ。おしっこをエネルギーに利用する。そんな世界にも類を見ないユニークなアイデアを生み出す発想力は、高校時代に育まれたと、田中さんは言う。

思い出すのは、立命館高校が主催した第1回サイエンスフェア。初めて国内外の高校生を前にプレゼンを経験した。友達と二人で自走式ロボットを製作。ロボットの組み立てからプログラミングまで、試行錯誤を重ねて完成させた成果を論文にまとめ、発表した。「サイエンスフェアの運営にも携わりました。フェアの様子をビデオで撮影し、その場で編集して会場で放送したりと、自分たちで企画し、みんなで協力して実行したことも、心に残っています」。
さまざまなプログラムにも積極的に参加した。「カミオカンデや国立遺伝学研究所といった日本屈指の研究機関を見学し、最先端の研究に触れたり、屋久島を巡って自然環境を調査したことも。自分の目で見て、なぜだろうと考え、さらに一歩踏み込んで疑問を探究する。そんな経験をたくさん積んだことが、研究者として最も大切な基盤をかたちづくってくれたと思っています」と語る。
高校2年生の時、課題でLSI(大規模集積回路)について勉強し、電子・電気工学に興味を持ったことから立命館大学理工学部へ。学びを深めるにつれて新しい興味や疑問が次々と湧き、追究していくうちに研究者の道が開けていった。自ら疑問を見つけ、探究する姿勢は、今も高校時代と変わらない。

昨年、母校の立命館高校で、後輩たちを前に電子工作の体験講座を開講した。「電子・電気工学のおもしろさを体験してほしい。今度は私が、後輩たちの糧になれたら」と語る田中さん。「身の回りから世界を変える」。そんな難題に挑む彼女自身が、後に続く未来の研究者のかけがえのない礎となっている。