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【SSH】高大連携企画 ライスボールセミナーを実施しました

2021.12.06

 11月9日(火)、高校2年のSSコース生徒(理系選択生徒)159名を対象に、立命館大学との高大連携企画である、ライスボールセミナーを実施しました。立命館大学では、昼休みにおにぎりを食べながら最先端の研究発表を若手研究者から聴く「ライスボールセミナー」という時間があります。今回は、立命館大学の理系5学部から講師の先生にお越しいただき、立命館高校で講義を行っていただきました。
 生徒たちは
■ 「蛇型ロボットはどのように動くのか?」
■ 「大学での新しい素材の開発 〜分子を合成して並べることで機能(電気を通すなど)を出す〜」
■ 「なぜ、反動動作によってスポーツパフォーマンスが向上するのか?~筋肥大の限界と、その限界を打破する手段としての反動動作~」
■ 「音の最先端技術を体験しよう!~今日、あなたの音に対する意識が変わるかも?~」
■ 「薬物治療をオーダーメイドに!~医薬品の適正使用に役立つ薬物動態学~」
の5つの講座から、希望に沿ったものに参加しました。それぞれの理系学部ではどのような内容が学べるのか、普段の数学や理科の授業が大学での専門的な学びにどのようにつながっていくのかなど、非常に興味深い内容を聞かせていただきました。また、現在自分たちが行っている課題研究について結び付けて考えることができた生徒達も多かったようです。

■ 蛇型ロボットはどのように動くのか?
加古川 篤先生 / 立命館大学 理工学部 ロボティクス学科
<当日の様子>
身近な現象や運動を数学の知識を使って分析するという内容でした。生徒も講師の加古川先生の質問に答えながら、曲線の運動について考えていました。サーペノイド曲線の作り方を話題に、正弦波など高校で学んだ内容が研究に活用されているなど、興味深い内容でした。
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<参加生徒の感想>
  • 一番興味深かったのは、サーペノイド曲線についてです。私たちの身の回りでも多くに共通しているということが驚きでした。ロボットを使うことで、生物ではできないようなことまで再現できるのが魅力だと思いました。数学や物理の知識をフルに活用できるというのがすごいと思いました。

  • sin関数の話など、難しいところもありましたが、その計算式も今勉強している式を発展させたものだとわかるような内容で、今実際に勉強していることがどのように生かされていくのかが分かって、とても興味深かったです。また、講師の方がなぜロボティクスの道に行くことを決めたのかという話も、とても参考になりました。

  • ヘビの動き(サーペノイド曲線)は、河川など私たちの身近な自然界に潜んでいるということを知り驚いた。こういったことは普段気に留めていないけれど、その動物・地形などに対してベストなかたちになっているのかなと考えることができた。今日学んだもの以外にも自分で発見してみたいなと思った。

■ 大学での新しい素材の開発 〜分子を合成して並べることで機能(電気を通すなど)を出す〜
羽毛田 洋平先生 / 立命館大学 生命科学部 応用化学科
<当日の様子>
羽毛田先生は、マテリアルサイエンスの分野で有機物質を反応させて光化学的に様々な変化を引き起こす物質(液晶など)の合成について、実物を使った演示を行いながらわかりやすくお話いただきました。液晶をドライヤーで加熱したり、紫外線を照射することによって引き起こされる変化に生徒達は感動していました。また、スライドに映されたQRコードを読み取ることにより、生徒達は各自のスマホで合成物質の立体像を観察することもでき、大変興味の惹く内容でした。先生の大学時代や企業に勤めておられたころのお話、化学分野に興味を持ったきっかけなどもお話いただき、生徒にとって具体的な進路を考えるためのよい機会にもなりました。
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<参加生徒の感想>
  • 独創的な分子をデザインして、いろいろなものを作っていくことは難しいことだと思いましたし、また超分子など新しい言葉も知れたのでよかったです。サッカーボールと地球のような大きさの比には驚きましたし、目には見えない分野のことを知っていくというのは本当に難しいことで、でも未知なところであり、面白いと思いました。自分の課題研究にも生かしていけたらいいなと思いました。

  • 超分子が共有結合で、形成された分子が非共有結合作用によって秩序的に集合しているということを初めて知りました。温度が変わると分子が解けたり、結合したりするのがすごいなと感じました。身の回りのものがすべて分子で構成されていると考えると不思議だと思いました。

  • 結合の種類がこんなにたくさんあるなんて知らなかったので、驚きました。自分の課題研究でも高分子ですがゲル状にしたものを使っているので、温度を変えたり、塩化物イオンを置いてみたりして、解けたり、固まったりするのかどうか試してみたいなと思いました。

■ なぜ、反動動作によってスポーツパフォーマンスが向上するのか?~筋肥大の限界と、その限界を打破する手段としての反動動作~
福谷 充輝先生 / 立命館大学 スポーツ健康科学部 スポーツ健康科学科
<当日の様子>
「筋肉を限界まで鍛えたらどうなるか?」というテーマから始まり、ボディビルやアニメの主人公の画像などを交えて説明していただきました。「より速く」と「より強く」は筋肉にとっては相反する動作で、それを限界まで両立させることをスポーツ選手は目指しているという話や、筋肉に関する事柄はまだまだ謎が多くてこれから研究する材料はたくさんあるという話に生徒たちは興味をもって聴いていました。

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<参加生徒の感想>
  • どのようにすればより大きく力が出せるのかということだけではいけないということを知った。私もスポーツをしていて筋トレをしているけれど、筋力と重さの関係をしっかり知っておかないとスポーツ向上につながらないので気を付けようと思った。体を大きくせずに大きな力を出すために必要なバネをどうしたら増やせるのか疑問に思った。パフォーマンスの向上には、科学的なことが関わっていることを改めて感じることができた。

  • 調べてみたかったことの答えは分かった。自分で調べたいと思う気持ちが強くなったように思う。調べたことを実際の自分のパフォーマンスにつなげることができれば強いと思った。しかし、この分野は分からないことも多く、様々な考え方が重なることでできているように感じた。また、スポーツだけではなく、日常生活の中で様々な人に応用できていくとよいなと思った。

  • 今回筋肉についてたくさん教えていただきましたが、どのことにもつながると思ったことは、書いてあるデータがすべて正しいとは限らないこと、考えてみたことや自分が実際にしたことが違っていることがあることなどがあり、スポーツは自分で実際に試して1つの例や答えを出すことができるのはとても面白いなと感じました。腱以外のほかの筋肉についても家で調べてみようと思います。

■ 音の最先端技術を体験しよう!~今日、あなたの音に対する意識が変わるかも?~
福森 隆寛先生 / 立命館大学 情報理工学部  情報理工学科
<当日の様子>
音に関わる現象や技術の紹介がなされました。技術では、超音波を用いた指向性の高いスピーカーで特定の人だけに音を伝えることが可能であることが紹介されました。また、周波数の高い音をどこまで聞けるかということや、複数人が同時に話す中で特定の人の言うことが聞き取れるかということに関する実習も行われました。
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<参加生徒の感想>
  • 音の性質を使って、防犯カメラシステムへと結び付けたり、自宅のテレビやゲームに応用したりするのは音の可能性をすごく感じました。情報理工学部ではロボットを扱うことしか知らなかったので、音の体験は新鮮で興味深かったです。

  • 知的音響センサーなど、将来的に音の力で犯罪を防ぐことができるかもしれないというのがすごいなと思いました。高校数学、物理の知識から音に関する技術が成り立っていると知ることができたので、しっかり勉強して、理解できるようになりたいと思いました。

  • 複数の音声を聞き分けるということをやっているときに、全然聞き取れなくて悔しかったです。でも、音のことを聞いていると、「こんな風にのめりこめるようなものを研究したいなぁ」と思いました。音のような、身近にある不思議なものを研究してみたいと考えました。

■ 薬物治療をオーダーメイドに!~医薬品の適正使用に役立つ薬物動態学~
藤野 智恵里先生 / 立命館大学 薬学部  薬学科
<当日の様子>
「薬」という生活に密接に関わるものが、体の中でどうなっていくのか。そんな薬物動態についてお話を聞かせていただきました。生徒たちは普段触れることのあまりない題材に首を傾げながら、クイズに答えたり質問をしたりしました。我々にとって身近な薬ですが、これを作る側の気持ちを考えることはこれまであまりなかったと思います。自らの生活を振り返る機会にもなるお話を聞くことができました。
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<参加生徒の感想>
  • 0から1を作れる人になって下さい、というお話が印象的でした。薬学の勉強にも微分、積分を使うと知り、高校の勉強が大学で必要になるんだと感じました。薬学という学問が私たちの生活と密接にかかわっていることが分かりました。薬学によって市販薬の成分なども理解できるという話を聞き、薬学の勉強が生活に役立つのだと思いました。

  • 薬学部でしか学べないことを知ることができました。普段は全然考えたことがなかったことを研究されていて、研究をしている皆さんがいるから、安全に薬を飲むことができるのだと思いました。薬を飲んでからどのように効果がでるのかや、薬物動態というものを知り、なぜ副作用が出てしまうのかという疑問を少し解決することができました。血液中薬物濃度など、グラフを見るとわかりやすくて、薬学についての興味が高まりました。

  • ロキソニンやアレジオンなどの薬は、頭痛には早く効くようにしたり、花粉症には長く効くようにしたり、効く時間をそれぞれ変えることで、薬をコントロールして、効率の良い目的に合った薬になっているんだとわかりました。また、血液中薬物濃度と時間のグラフを使って効く時間や副作用などをコントロールすることで、これからその症状に合った薬が作られるんだと学びました。薬物動態学があることは知らなかったけれど、今回のお話を聞いて興味を持ち、薬学部でしか学べないということも聞いてますます知りたいと思いました。