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SGH 台湾研修を実施しました

2014.08.31

Super Global High School (SGH)
SGH台湾研修報告

2014日台高中人文夏令營 Super Global High School Project 2014 Summer Camp 実施

 

8月23()~830()SGH台湾研修を実施しました。今回は、本校の交流協定締結校である、台湾の高雄市立高雄高級中学(男子校)と高雄女子高級中学(女子校)との協力により、社会的な問題について日本と台湾の高校生が共同で調査し、フィールドワークも行い、さらにそれをプレゼンテーションにまとめて発表するという活動を行う、サマーキャンプの形式での研修でした。

全体を5つのテーマにわけ、立命館の生徒4(男女問わず)と高雄高級中学の生徒(男子)2人、高雄女子高級中学の生徒(女子)2人の8人グループで、グループ活動を行いました。

5つのテーマは、次の通りでした。

1. Transitional Justice

2. Nuclear Power

3. Underground Economy

4. Water Resources

5. Restoration from Natural Disasters

多少高度な内容でしたが、日本の生徒も各テーマについて事前に各自で調査もし、また台湾の生徒たちは事前に両校の生徒が2日程度集まって活動もした上で、初日からグループに分かれて、テーマを深める討議を英語で行い、台湾と日本を比較するなどしながら、プレゼンテーションにまとめていく活動をしました。

本校生徒20(希望者より選抜)は、男子8人、女子12人の高校2年生と1年生でしたが、事前に校内で5回の事前学習をしていた成果もあってか、台湾の高校生とすぐに打ち解けて、活動に入っていくことができました。

1日目(823)は、関西空港に8:00に集合し、飛行機で桃園国際空港へ。HSR(台湾の新幹線:日本の新幹線です)で高雄市の左營駅へ。そこで、ステイ先の台湾の高校生や学校関係者の歓迎を受けました。

2日目(824)には、日曜日でしたが、早速Cultural Tourということで、日本の高校生と台湾の参加高校生全員で、京都と同じ、台湾の以前の首都であった台南市を訪問し、午前中には台湾国立歴史博物館で研修を行い、午後は有名な赤崁樓や孔子廟を訪れました。夕食は台南市内の有名な市場で各自思い思いにとり、台湾を満喫した一日でした。

3日目(825)には、午前中、各グループでのディスカッションの後、高雄高級中学と高雄女子高級中学の校長先生がともにそろわれたので、開会式がありました。校長先生のお二人から、京都の立命館と高雄市の二つの学校がプロジェクトを始めることはとても意義のあることであり、また、今までサイエンスの分野で協力してきたが、社系のテーマでこのような取組みを始めることができることはとても栄誉なことだというお話をいただきました。本校の副校長からも、台湾の関係者へのお礼とともに、高校生がこうやって社会的な課題を解決するために討議する機会は非常に貴重であり重要であるので、彼らのこれからへの期待が述べられました。

その後、台湾の高校生から、高雄市内の紹介やテーマに関わるプレゼンテーションがありました。すべて英語で行われましたが、本校の高校生も熱心に聞いていました。

午後には、ライデン大学アジア研究国際機構(International Institute for Asian Studies:IIAS)の研究員である曽柏文博士(Dr. Albert Tzeng)による「Sunflower Movement – An Analytic View-」と題した講演をいただきました。台湾で昨年あった、議会占拠も含めて、多くの若者が政治的課題について自ら動いた一連のできごとについて、さまざまな観点から分析的に振り返る内容であり、高校生が現代社会の課題を考える上で方法論として非常に有益な講演でしたが、日本の高校生にとってはSunflower Movement自体についてあまり知識がなく、また、すべて英語での講義ということもあり、約2時間半のお話の理解も十分ではなく、質疑応答でも、残念ながら、日本の高校生は誰も質問することができませんでした。台湾の高校生からはいくつか質問もあり、差を感じるとともに、日本の高校生には刺激になる貴重な体験でした。

4日目(826)は、高雄女子高級中学で過ごす1日でした。

午前中には、国立中山大学 社会学系 副教授の萬毓澤(Dr. Poe Yu-ze Wan)による「Neoliberal Globalization and Its Alternatives」と題した講演をいただきました。グローバル化が進む中での資本主義経済の行き詰まりや自由主義経済の限界、また、それに代わる代替案の候補について、ほぼすべて英語で、ただし、多少中国語や、時には日本語も織り交ぜて、丁寧にお話をくださりました。前日と同じく、約2時間半の講義の後には質疑応答の時間が設けられましたが、今回は日本の男子高校生一人から英語で質問もされました。Fair Tradeの可能性など、本校のSGHのテーマにも関連の深い話もありましたが、日本の高校生にとっては100%理解できたといえるものではなく、まだまだ課題を感じました。

この日の午後は、高雄女子高級中学の新入生向けの(新年度は91日から始まります)クラブ紹介のある日でした。今回のサマーキャンプの参加者も、全員がその「新入生歓迎会」を見学しました。クラブの活動の紹介がメインとはいえ、生徒会の代表の生徒によって運営され、エンターテイメント精神あふれる司会や、吹奏楽や演武のレベルの高さに圧倒されました。

5日目(827)6日目(828)には、各グループでの討議を継続するとともに、グループごとに高雄市内や近隣にフィールドワークに出かけました。

例えばWater Resourcesがテーマのグループでは、自転車に乗って実際に高雄市内の愛河の状況を見に行ったり、Transitional Justiceがテーマのグループは「228事件」の内容をより知るために高雄市立歴史博物館へ行ったりと、グループの討議内容を深めるためのさまざまな活動を行いました。

また、7日目のグループ別のプレゼンテーションに向けて、さらにグループでの討議を重ねるとともに、PCでの作業や発表内容についての討議を3校の高校生が英語で行いました。

英語でうまく伝わらない場面や、自分たちの意図を、話し合いのなかでうまく表現できず、ひいてしまう場面もあり、コミュニケーションの力や英語の力をもっとあげたいという思いを強くした生徒もいました。

7日目(829)は、午前中に各グループでプレゼンテーションに向けての最終準備をした後、午後1時過ぎから5つのグループのプレゼンテーションを発表しました。各グループの発表時間は、20分間。その後に、審査員(高雄高級中学と高雄女子高級中学、立命館高校の代表英語教員)から5分間の質問の時間があり、発表も質疑応答も、当然ながら、英語です。

さまざまに工夫を凝らして、自分たちのグループの調査結果やフィールドワークの様子、感想や、活動を通して考えたことなどを発表しました。残念ながら、それぞれの社会的課題に対しての自分たちなりの問題提起や解決策の提案といったところまで、深く提起できたグループはありませんでしたが、これらの課題は、簡単に答えが出るものでもなく、継続して考え続けること、悩み続けることも重要なので、今後、さらに深めていけたらと考えます。

最後に、謝高雄高級中学校長、黄高雄女子高級中学校長、竹中立命館高等学校副校長から、各グループにそのプレゼンテーションに対しての賞の授与があり、謝校長や黄校長からお褒めの言葉と同時に、これからも継続していくことの重要さを強調したご挨拶をいただき、締めくくりとしました。

8日目(830)は、いよいよ台湾を出発して日本に帰る日で、朝、左營駅では、たくさんのホームステイ先の家族や台湾の友達、関係の先生方がお見送りに来ていただけ、別れを惜しむとともに、再会を誓い、新幹線で台北に戻り、桃園国際空港から、夕方に、関西国際空港に戻りました。

実りの多い研修であったとともに、さまざまな課題もはっきりと見えてきた研修でもありました。次は、本校の高校生たちが、ホストとして、このような取組みができるよう、さらに、グローバル「人財」への道を進めていきたいと考えます。

 

     

  
     第1日目、新幹線の駅を降りたらすぐに歓迎をいただきました


    
    グループ討議の様子        いよいよプレゼンテーション


  
      
プレゼンテーションの後の質疑応答