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SSH 高校2年生SSコース SS Challengeを実施

2015.06.26

Super Science High School (SSH)
国内SSコース研修報告

SSH 高校2年生SSコース SS Challengeを実施

~研究所で最先端科学を学ぶ~


 623()、高校2年のSSコースの生徒133名が、4つのコースに分かれて国内の研究所を訪れて、最先端科学について研究者の方々から学ぶSS Challengeを実施しました。

 この取り組みは、今年度からスタートしたSSH指定に関する取り組みの一つで、最先端科学を学ぶことで課題研究に向けてのきっかけをつかませることを主な目的としています。

 当日は、早朝より京都から各研究所へ移動して研修を行いました。どの研究所も高校生のために有意義な研修を準備してくださり、生徒たちも真剣な表情で取り組んでいました。

 ご協力頂きました各研究所の方々には改めてお礼申し上げます。

 

Aコース 核融合科学研究所>

Aコースは高校2年生34名が核融合科学研究所を訪問しました。核融合科学研究所は平成元年に設立され、化石燃料に代わる安全で新たなエネルギー源として注目されている核融合の実現に向けて日々研究を続けている最先端の研究所です。

午前に、人類とエネルギーの関わり、地球温暖化の問題、プラズマと核融合の仕組みについて講義を受けました。午後からは、施設見学とプラズマ閉じ込め模擬実験、プラズマを閉じ込める際に重要となるカルマン渦の制御についてのコンピューターシミュレーション、核融合炉の材料となる物質の同定につながる電子顕微鏡実習の3つのグループに分かれて実験と実習を行いました。生徒は核融合の実現には様々な分野の研究が必要であることを理解しながら、高度な内容に真剣に取り組んでいました。

   

 


Bコース 京都大学霊長類研究所>

BコースではSSコースの高校2年生のうち33名が愛知県犬山市の京都大学霊長類研究所を訪問して研修を行いました。霊長類研究所は京都大学の施設の一つとして昭和42年(1967年)に設立された研究機関で,国内外から霊長類の研究者が数多く集まり,様々な研究が進められています。
 今回は思考言語分野の林美里先生からヒトとチンパンジーの行動や認知,子育てなどについて,様々な研究成果を講義して頂いたのち,実際のチンパンジーの飼育施設や実験施設を見学させて頂きました。チンパンジーの数字の認識記憶実験の様子も直接見せて頂き,チンパンジーの能力の高さに多くの生徒が驚嘆していました。午後は遺伝子情報分野の今井啓雄先生の大学院生向けの講義に特別に加わらせて頂き,大学院生とともに学ぶ貴重な経験をさせて頂きました。この講義では「味覚」の受容とその遺伝子や発現について,最新の研究成果を紹介して頂きながら,分かりやすく説明していただきました。

   

 


Cコース SPring8SACLA

CコースはSSコースの高校2年生、34名で兵庫県にある大型放射光施設、「SPring8」の見学に行きました。また、SPring8に隣接するX線自由電子レーザー施設「SACLA(さくら)」に関する説明も受けました。「SPring-8」は太陽の100億倍もの明るさに達する「放射光」という光を使って、物質を原子レベルで調べる事ができる研究施設です。円周が1.5kmもある電子加速器のリングの一部分を見学しました。「SACLA」は、SPring8の光の更に10億倍の明るさの「X線レーザー」を発生させて、物質を原子レベルで解明する研究施設です。レーザーの波長は0.063nmとアメリカSLAC国立加速器研究所を抜き世界最短(世界1位)です。技術者の方から、施設について丁寧に説明して頂き、研究者の方からは研究内容に加え、研究者という仕事の面白さについても説明していただきました。

 



Dコース 奈良先端科学技術大学院大学>

DコースはSSコースの高校2年生、32名で奈良先端科学技術大学院大学を訪問しました。現地では、3つ研究室を案内頂き、それぞれの研究室で進んでいる研究について教えて頂きました。

数理情報学研究室では、「生体信号から運動意図・知覚内容の推定」というテーマで、脳活動の信号から、ロボットアームを使い身体の機能を代替する、車椅子制御、義手の制御など応用例の説明をしていただきました。また、レゴのマインドストームを動かす実験を行いました。

植物発生シグナル研究室では、シロイヌナズナ、ゼニゴケ2グループの研究を見せていただき、ホルモンを分泌する細胞を、共焦点レーザー顕微鏡で実際に見せていただきました。

動物細胞工学研究室では、GFPについての講義と、子宮頸がん細胞の観察、細胞の保存方法について液体窒素室の見学をさせていただきました。