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立命館小学校創立10周年 立命館中学校・高等学校創立110周年記念式典でのご挨拶 ≪総長のご挨拶を追加しました≫

2015.06.30


 6月27日(土)、長岡京キャンパスにて「立命館小学校10周年 立命館中学校・高等学校110周年 記念式典」を開催しました。



 本校 校長からのご挨拶を紹介します。

立命館中学校・高等学校は、西園寺公望公が私塾「立命館」を興され、中川小十郎先生が「京都法制学校」を創設された5年後の1905年に「清和普通学校」として設立されました。以来110年、建学の精神「自由と清新」のもとに子どもと社会の要請に真摯に向き合いながら教育を進めてまいりました。振り返りますと、そこには常に西園寺公望公の「自由主義と国際主義」の理念が脈打っているように感じられます。西園寺公は若くして明治の始めにいち早くフランスに留学され、世界の息吹を吸収されて、わが国の近代化に寄与されましたが、その自由な発想に基づく進取の気風は今も本校において脈々と流れております。

近年、立命館中高におきましては、SSHを軸にした科学教育と国際教育の融合的発展を遂げ、昨年度よりはSGHにも指定され、全分野でのグローバル・リーダーの育成をめざす学校へと発展してまいりました。

一方、立命館小学校におきましても、創設以来、斬新な学習指導方法の実践による基礎学力の確実な定着とともに、小学校1年からの英語教育とオーストラリア・ターム留学をはじめとする国際交流に取り組むなど、我が国の初等教育の在り方に一石を投じてまいりました。

併せて、立命館小中高は、10年前より12年間を4年ごとに区切る4-4-4制の小中高一貫教育を追究してまいりました。それは、子供の心身の発達が早期化するとともに、中1ギャップという言葉に代表されるような教育課題が噴出している現状を見るとき、学習面でも生徒指導面でもこれまでの6-3-3制の枠組みは、すでに現代の子供には適応できなくなりつつあるという問題意識に基づいたものでした。

今や、その流れは全国的にも小中一貫教育として数多くの学校で実施されてきており、その結果、本年6月には法改正がされ、義務教育学校が制度化されました。中高一貫教育と合わせて今後さらに一貫教育や教育制度の見直し議論は高まるものと思われます。

もちろん、戦後70年馴染んできた6-3-3制度の下で、新しい枠組みとしての4-4-4制に取り組むことには種々困難や壁が伴います。しかし、既成の観念や慣例に縛られていてはイノベーションはあり得ません。私たちは伝統に胡坐をかくことなく、それらの壁を乗り越えながら新しい価値を創造することによって、はじめて次の100年をリードしうる新たな伝統を築くことができると考えております。それこそが、立命館スピリットとしての「自由と清新」であり、Beyond orders としての誇りでもあります。

私たちは、長岡京キャンパス移転を機に、4-4-4小中高一貫教育をより本格的に展開すべく、今年度は5年生から8年生までの教育を運営する第二ステージ推進室を設けるなど小中高を一体的に運営しておりますが、次年度は、さらに小中高の学校組織の一体化について検討してまいります。また、小学校5~6年生は各学期に2週間ずつ長岡京に登校し、学習をしておりますが、今後、長岡京キャンパスを拠点に学校生活を送りながら、中高生との交流を通して多様な価値観を学ぶことができるように、早急に教育プログラムの確定や環境整備に努めてまいります。

同時に、私立の総合大学の附属であるからこそできる独自な教育を大学との連携・接続によって創造してまいりたいと考えております。立命館は多様性を何よりも重視しております。多様な能力や個性を持った子供がお互いを尊重し学び合う中で、それぞれの夢と希望を実現できるような教育システムを創造していきたいと考えております。

今、わが国の教育はドラスティックに改革されようとしています。2020年には大学入試制度が変わり、学習指導要領も改訂されます。それは戦後70年世界をリードしてきた日本の教育が、グローバルスタンダードに照らしたとき、今や通用しなくなりつつあるという危機感の表れでもあります。これまで当たり前とされてきた一斉講義方式による受け身の学習では世界に通用する人材は育ちません。21世紀のグローバル時代に求められる学力は、自ら課題を発見し、深く探求し、自分なりの解を見つけて、自らの言葉で英語も駆使し、海外の若者と意見を交流し合える力です。そのためには、学びの形をアクティブラーニングなどの能動的な学びに転換しなければなりません。

かつてUNESCOの「教育開発国際委員会」は報告書『未来の学習』の中で、「知識は絶えず修正され、『革新』が更新される。」「未来の学校は、教育の客体を、自己自身の教育を行う主体にしなければならない。」と提言しました。

それを受けて、『学習こそ宝』という報告書の中で、知識基盤社会に相応しい新しい学力像として、「民主的な社会参加」「市民性」「シチズンシップの実践」を重視し、生涯学習の柱として「learning to know」「learning to do」「learning to live together」「learning to be」を掲げました。今まさにグローバル化する現代世界にあって、かつ18歳選挙権が成立したわが国にあって、めざすべき学びはその「未来の学習」であります。

戦後、立命館が教学理念として掲げた「平和と民主主義」が、今ほど必要とされるときはありません。末川先生が「未来を信じ未来に生きる」という言葉で表現された「未来」は平和的で民主的な社会であります。その「未来」の担い手である子供たちが「未来の学習」を通じて、責任を持って判断し行動できる主権者として育つように、本校教育の充実に努めてまいります。皆様方には、これまで以上にご指導ご支援を賜りますようお願い申しあげまして、式辞といたします。

2015627

立命館小学校・中学校・高等学校

校長 成山 治彦





 また、引き続き、立命館総長のご挨拶も紹介をさせていただきます。


立命館中学校・高等学校110周年・小学校10周年記念式典 にあたって

 

 本日は「立命館中学校・高等学校110周年・小学校10周年記念式典」を執り行うことができますこと、大変嬉しく思います。お蔭様を持ちまして、このたび立命館中学校・高等学校がこのような式典を迎えることができましたこと、ひとえに皆さま方のご支援の賜物と心より感謝申し上げます。

  現在、立命館は2大学、4中学校・高等学校、1小学校、学生・生徒・児童総数約48千人を擁する私立総合学園とした展開するまでになりました。

立命館は、(先ほど成山校長のお話にありましたとおり)、西園寺公望や中川小十郎の精神である「自由と清新」、すなわち、「自由にして進取の気風に富んだ」改革を進めてまいりました。

  立命館中学校・高等学校の前身である「清和普通学校」も、このような中川の考えに基づいて創設されました。1988年には北大路から深草への移転を果たし、それ以降も「サイエンス教育」と「国際教育」を柱とした新しい取り組みに挑戦し続けました。そして、文部科学省「スーパーサイエンスハイスクール」や「スーパーグローバルハイスクール」の指定を受けるなど、全国でも有数の学校として社会的にも高い評価をいただくようになりました。

  2006年には、21世紀の教育モデルを大胆に追究し、教育体系において出発点をなす立命館小学校を開設しました。この立命館小学校の開設によって、立命館が文字どおり総合学園として、初等教育からの一貫教育の体制が整備されたわけであります。 現在、「6-3-3制」を見直す議論が行なわれていますが、小学校開設を契機に立命館は先進的に「4-4-4制」の取り組みを進めてきました。

  更に、20149月には、第2ステージにあたる56年生と中学校との一体的な運営を行なうためには新たなキャンパスが必要であると判断しました。このような考えから、常任理事会として深草キャンパスから長岡京キャンパスへと移転するといった大きな決断をしたわけであります。

 この移転によりまして、立命館中学校・高等学校の110周年、立命館小学校の10周年を、この新しいキャンパスで迎えることができました。そして、立命館の12年間一貫教育、4-4-4制は、この長岡京キャンパスにおいて、これまでの日本にはない新たなステージへと、その新たな第1歩を踏み出そうとしております。

 現在の学園のキーコンセプトである「Beyond Borders」は、立命館で学ぶ誰もが、国境、人種、宗教、性別、価値観、言語などの様々なボーダーを越えてほしいという想いと並んで、自分の中にある限界を超えるチャレンジをしてほしいという願いを込めております。

生徒・児童の皆さんには、立命館の12年一貫教育を通して、日本または世界において様々なことにチャレンジをし、新しい社会の担い手として活躍してもらうことを期待するものであります。

  最後になりましたが、立命館中学校・高等学校および立命館小学校は、多くの皆さまの温かいご支援・ご協力により、110年と10年という道のりを歩んでくることができました。

 本日、ご臨席賜りました皆様に感謝いたしますとともに、今後とも格別のご支援とご協力をお願い申し上げまして、私のご挨拶とさせていただきます。

本日は誠にありがとうございました。


2015627

 学校法人 立命館

総長 吉田美喜夫