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SSH 三重県志摩市にてSSH里海臨海実習を実施

2015.08.16

Super Science High School (SSH)
志摩市での協力事業:SSH里海臨海実習報告

 

三重県志摩市にてSSH里海臨海実習を実施

 

85日~7日の23日の行程で、立命館高校の生徒23名が参加して、三重県志摩市にて「SSH里海臨海実習」を実施しました。この実習は、学校法人立命館と三重大学・志摩市の3者の連携協力協定にもとづいて、三重大学や志摩市のご協力の元で実現したもので、今年度が初めての実施となります。志摩市は2016年のサミット会場としても注目されており、参加した生徒たちは豊かな自然と伝統・文化を感じながら、貴重な経験を積むことができました。

 

【研修1日目(8/5)】

 京都からバスで志摩市へ移動し、はじめに「横山展望台」にて、英虞湾を中心とする志摩市の全体像を志摩市の職員の方からレクチャーしていただきました。波のない静かな内湾と複雑なリアス式海岸地形の素晴らしい風景に、参加した生徒たちも感激していました。

 その後、施設「海ほおずき」にて干物づくり体験にチャレンジしてから、三重県水産研究所を訪問して、人工衛星の漁業への応用や世界で初めて成功したイセエビの完全養殖のお話など、水産学や生物資源学の講義と研究所見学をさせて頂きました。イセエビの「フィロゾーマ幼生」は生徒、教員ともに生きたものを見るのは初めてで、多くの生徒が興味深く見学し、多くの質問を研究員の方々にしていました。

 夜は宿舎にて三重大学人文学部教授の塚本明先生から「海女の歴史と文化を科学する」というテーマで、志摩の歴史や環境に根付いた、海女文化についてのお話を聞かせて頂きました。「持続可能な開発」や「栽培漁業」ともつながる示唆に富んだお話で、サイエンスと伝統文化を繋げる貴重な時間となりました。

 


【研修2日目(8/6)】

この日は英虞湾内の座賀島にある三重大学生物資源学部附属紀伊・黒潮生命地域フィールドサイエンスセンター附帯施設水産実験所において、磯の生物の採集と同定観察に取り組みました。はじめに水産実験所長の木村清志先生から磯での生物採集法や危険生物の見分け方、安全管理の徹底などのガイダンスをしていただいたのち、座賀島内の磯へ移動し、そこで磯採集を行いました。貝類、カニなどの他、ヒトデ、カメノテ、多毛類などの無脊椎動物やさまざまな海藻を採取することができました。


午後はセンター内の実験室にて採集してきた生物の分類と同定作業に取り組みました。初めて見る生物に悪戦苦闘しつつもグループごとによく協力し、種の同定作業と学名なども含めたレポート作成を行いました。

  


【研修3日目(8/7)】

最終日は志摩自然学校にて、シーカヤックを用いた環境観察の実習を行いました。ガイダンスの後、21組でカヤックに乗り、英虞湾内を移動して内湾奥の干潟とアマモ場を観察しました。海底の様子はカヤックに積んだ「箱メガネ」を使うことで、陸域からは見ることができない貴重な自然の数々を直接、観察することができました。また志摩自然学校の校長先生からも、干潟が水質浄化に関わるはたらきや干潟にすむ生物などについてレクチャーを受けました。

  

 

 3日間の研修を通じて、三重県英虞湾の豊かな自然と多様な生物にふれることができ、参加した生徒たちはふだんの教室では体験できない、貴重な学びを積むことができました。天候にも恵まれ、また関わって頂いた志摩市のみなさん、三重大学のみなさんの心温まるサポートのおかげで環境科学、生物学、水産学などに興味関心を深めることができたと思います。志摩の豊かな「里海」を通して、「持続可能な社会」を創造することを目指す研究者、技術者が今回の研修参加者から出てきてほしいと願っています。

 この実習の準備、運営に関わって頂いたすべてのみなさまに心より御礼申し上げます。