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SSH 高2のSSコース(理系)全員で「SSチャレンジ」を実施

2016.06.29

高校2年生 理系(SSコース) SSチャレンジを実施しました。

 6月23日(木)、高校2年のSSコースの生徒132名が、4つのコースに分かれて国内の研究所を訪れて、最先端科学について研究者の方々から学ぶSS Challengeを実施しました。
 この取り組みは、第4期SSH研究開発に関する取り組みの一つで、最先端科学を学ぶことで課題研究に向けてのきっかけをつかませることを主な目的としています。
 当日は、早朝より京都から各研究所へ移動して研修を行いました。どの研究所も高校生のために有意義な研修を準備してくださり、生徒たちも真剣な表情で取り組んでいました。
 ご協力頂きました各研究所の方々には改めてお礼申し上げます。

<Aコース 核融合科学研究所>
高校2年生37名が核融合科学研究所を訪問しました。「核融合」は化石燃料に代わる安全で新たなエネルギーを得る方法として注目されている技術です。核融合科学研究所は核融合発電を実現することを目指して、幅広い科学技術について研究が行われている、最先端の研究施設です。
午前中は、エネルギー問題の現状と核融合についての講義を受けました。私たちが地球温暖化をはじめとする多くの課題を抱えていることや、核融合の原理についても学習し、核融合が夢のようなエネルギー源であることを学びました。ただし、その実現にはまだ30年以上もかかるだろうということで、実用化には現在の高校生が中心となって関わっていくことになると期待を伝えていただきました。
午後には、核融合反応を起こすために超高温・超高圧のプラズマ状態を作り出す大型ヘリカル装置(LHD)の見学と3つのグループ(プラズマの電気計測・プラズマと電磁波・バーチャルリアリティ)に分かれた実験と実習を行いました。巨大なLHDを見学させてもらい、実際の核融合発電を行うためにはこれでも小さすぎるということに驚きました。実験、実習はいずれのテーマも高度な内容でしたが、生徒達は興味深く取り組み、多くの質問が出されました。ここで得られた刺激が日常の学習に影響を与えてくれることと期待しています。また、立命館高等学校の卒業生で、現在、核融合科学研究所の大学院生としてこの研究所で研究している先輩からも、まとめの会で応援メッセージをもらうことができました。



  
<Bコース 京都大学霊長類研究所>
BコースではSSコースの高校2年生のうち31名が愛知県犬山市の京都大学霊長類研究所を訪問して研修を行いました。霊長類研究所は京都大学の施設の一つとして昭和42年(1967年)に設立された研究機関で,国内・海外から霊長類の研究者が数多く集まり,学際的な様々な研究が進められています。
 今回は研究所長の湯本貴和先生から、「京都大学霊長類研究所と日本の霊長類学の50年」と題した特別講義を行って頂き、先進国の中で唯一、野生のサルが生息している国である日本において、「人付け」や「個体識別」など、日本独自の研究手法により世界の霊長類研究を牽引してきた歴史や、iPS細胞をはじめ、医学・薬学の研究にも霊長類研究所が大きな役割を果たしてきていることなどを分かりやすいスライドや動画とともにお話し頂きました。次に大学院博士課程の西栄美子さんから「ヒトとニホンザルの甘み感覚の比較」についての研究成果と、大学院での研究のやり甲斐などについてお話し頂きました。
午後は実際のチンパンジーの飼育施設や実験施設を見学させて頂きました。チンパンジーの数字の認識記憶実験の様子も直接見せて頂き,チンパンジーの能力の高さに多くの生徒が驚嘆していました。またヒトと異なりチンパンジーではコンピューターによる「顔認識」が難しい理由などについて考える機会もありました。屋外のニホンザル飼育施設では、各個体の行動の違いやサルの子育てなどについてエサやり体験をさせて頂きながら学術的なお話を聞かせて頂きました。



<Cコース Spring-8>
Cコースは28名が兵庫県播磨科学公園都市にある大型放射光施設「Spring-8」と「SACLA」の見学に行きました。Spring-8は設立後約20年たつにもかかわらず現在も世界最先端の研究を行う研究施設で、世界各国から研究者があつまっています。また、隣接するSACLAは、Spring-8よりも強力なX線を出すにもかかわらず、非常に短い時間のパルス波を利用するので、対象物を壊さずに検査することができます。

午前は、Spring-8が原子レベルで物質の構造を探ることができる放射光を出す仕組みと放射光であるX線を使った構造解析の原理を学び、合わせて「SACLA」の説明を受けました。説明の後、Spring-8の見学に行きました。昼食の後、ここで研究されている方の実勢の研究の様子を聞き、SACLAの見学に行きました。生徒は一言も聞き漏らすまいと、メモをとりながら聞き入っていました。生徒は、原子レベルの大きさの物を見るための「Spring-8」と「SACLA」という2つの巨大な施設に日本を技術の高さを実感し、学習意欲を高めていました。



<Dコース 奈良先端科学技術大学院大学>

Dコースは28名で奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)を訪問しました。現地ではまず、NAISTが研究を行う環境としては非常に優れていて,モチベーションの高い学生が思う存分研究できるようになっていることなどの大学概要の説明を受けた後、情報科学研究科、バイオサイエンス研究科、物質創成科学研究科の3つ研究科をご案内頂きました。
「情報科学研究科」「分子免疫制御研究室」、「バイオミメティック科学研究室」のそれぞれの研究室で進んでいる研究や研究生活の面白さや大変さなどについて教えて頂きました。また、2012年のノーベル生理学・医学賞受賞者である山中伸弥氏が京都大学に移籍する前のNAIST在籍中に研究に使用した機材なども見せて頂きました。