ニュース

「世界津波の日」高校生サミット 参加報告

2016.12.09


高校2年生 GLコースの4人が「世界津波の日」(World Tsunami Awareness Day) 高校生サミットに参加

 11月25日(金)から27日(日)にかけて、高知県黒潮町で開催された「世界津波の日」高校生サミットに高校2年生GLコースの生徒4人が参加してきました。
 この「世界津波の日」高校生サミットは、今年、はじめて開催されるものでしたが、その開催が実現したのは以下のような経緯からでした。
 2015年3月、東日本大震災の被災地である仙台において国連防災世界会議が開催され、国際的な防災指針である「仙台防災枠組」が採択されました。また、津波の脅威と対策について理解と関心を深めるため、2015年12月、日本をはじめ142か国が共に提案した「世界津波の日(11月5日)」が国連において全会一致で制定されました。
 日本では、すでに11月5日を「津波防災の日」として定めていて、これは、1854年旧暦11月5日に起きた安政南海地震の際、和歌山県広川町の庄屋だった浜口梧陵(はまぐち ごりょう)が、稲わらに火をつけ、村人を高台に導いて大津波から命を救うとともに、被災地のより良い復興に尽力した有名な逸話「稲むらの火」に由来しているのです。
 この「世界津波の日」制定をうけ、その普及啓発活動として、青少年による国際会議「世界津波の日 高校生サミット」を、日本で開催することとなりました。また、将来発生することが想定されている南海トラフ地震において、国の被害想定で、津波が34.4メートルという国内最大の被害想定がなされている、高知県黒潮町において、その高校生サミットを開催するということとなったのです。
 津波をはじめ自然災害は、多くの人命を奪い、広範囲に亘って甚大な被害をもたらす各国共通の課題であり、今回の高校生サミットは、津波をはじめ自然災害の脅威や防災の知見を共有し、必要な事前防災、減災、迅速な復旧復興、国際連携に資する施策を総合的かつ計画的に実行することで、自然災害から国民の生命、身体、財産の保護、国民生活及び社会経済に及ぼす影響を最小化できる、将来の国のリーダーを育成することを目的に開催されました。

 11月25日(金)朝、新大阪駅に集合し、岡山までは新幹線で、そこからJR特急に乗り換え、本州四国連絡橋を渡り四国に入り、一路、高知へ。高知駅からはさらにJR特急に乗り換え、黒潮町のある土佐入野に着いたのは夕方の4時前でした。駅では黒潮町の職員の方々が出迎えをくださり、そこから町のマイクロバスで、サミットのメイン会場となる体育館へ。体育館では、町の方々が総出で、黒潮町のゆるキャラのマスコットの着ぐるみの方もいっしょに、盛大に出迎えをしてくださりました。
 会場に入ると、そこには世界30か国から74校(海外から39校、国内から35校)の高校生のほとんどがすでに集まっていました。その359人の高校生(海外からの生徒247人、国内からの生徒112人)が、3つのテーマで、各テーマに2分科会×3つのテーマ×A・Bの二つの大グループ、合計12の分科会グループに分かれて、A・Bそれぞれの時間帯で分科会を行い、最終日の総会で各分科会の報告を行うとともに、全体で未来に向けての決意を分かち合います。特に、すでに海外校の高校生は会場に入り、国ごと・グループごとに着席して、談笑していたので、その規模に圧倒されるかと思いきや、本校の生徒たちは、すぐに自分達から話しかけあっという間に打ち解けていました。
 この日は、まずは、開会式のセレモニーで、地元の高校生の司会による開会宣言の後、黒潮町の町長が英語でのスピーチを行い、その後、OECD東北スクールの大学生のボランティアによる東北での活動の紹介がありました。それから、分科会のメンバーによる初顔合わせでしたが、分科会の司会校である立命館高校の4人が分科会のメンバー、5か国(チリ、トンガ、ブルネイ、中国(海南省)、日本)の6校33名の中心となり、各自の自己紹介を行い、その後、分科会の進め方に関するブリーフィングを、卒なく、行っていました。
 その後、それぞれがバスに乗って、宿舎へ。国内校は全員が「幡多青少年の家」での宿泊で、海外の生徒とは分かれての宿泊で残念でしたが、それでも、日本全国から集まってきている生徒達とそれぞれが同室となり、ここでもまた、すぐに打ち解けて、さまざまな情報交換を行っていました。

 11月26日(土)、この日がメインの活動です。本校生徒の所属するBグループは、まずはバスで「大方あかつき館」というところに移動。海岸の近くになる津波の際の避難のための施設で、そこから、徒歩で「安政津波の碑」を見学し、津波避難タワーに戻り、日本の、特に高知県黒潮町における津波対策を学びました。その後、体育館に移動し、その比較的低いところにある体育館から高台への避難訓練を体験しました。黒潮町の地元の小学生も参加し、実際に避難訓練を毎月行っている小学生に先導されての避難訓練でしたが、海外の生徒達にも、黒潮町や高知県、そして日本が、若い世代の命をいかに大切に考えているのか、いかに守ろうとしているのか、よくわかる訓練でした。
 徒歩で体育館に戻り、次はいよいよ分科会での討論です。本校の属する分科会のテーマは「Recovery and Reconstruction from the Damages by Natural Disasters (The roles of students such as conducting sustainable volunteer activities):復興と再建」で、以下の6つの学校での分科会でした:

国・地域

学校名

人数

小計

合計

京都府

学校法人立命館 立命館高等学校

4

8

33

佐賀県

佐賀県立佐賀農業高等学校

4

中国(海南省)

Hainan Guoxing Middle School

5

25

ブルネイ

PTE Meragang

6

トンガ

Tonga High School

6

チリ

BICENTENARIO

8


 本校の分科会は海外生徒の方がずいぶん多い組み合わせとなっていましたが、そのような中でも、本校が分科会の司会校となり、まず率先して最初に「How we can contribute to reconstruction ~ Taking the Great East Japan Earthquake as an example ~」というタイトルでプレゼンテーションを行うとともに、佐野さんが全体の司会をし、田代さんがマイクランナーをしながら適切に意見を引き出し、宮脇くんが記録係でありながら全体のまとめを提案するなど、うまく分科会のリードをし、すべての学校から意見を引き出していました。また、総会における分科会の報告も、他の学校からの立候補がなかったため、中村さんが手をあげ、行うことになりました。
昼休みも、ゆっくりと昼食をとる時間もなく、佐野さんは全体の宣言文を検討する話し合いに、中村さんは田代さんや宮脇くんの助けも得ながら総会での報告の原稿まとめに取り組みました。
 午後は、まず、大方あかつき館の近くで記念植樹を行い、参加者全員で記念撮影、その後、体育館で今回の高校生サミットのまとめを行う「総会」が開かれました。
 総会では、高知県知事の英語での挨拶があり、その後、安倍首相と潘国連事務総長からのビデオメッセージが流され、この取り組みへの期待がひしひしと伝わってきました。この総会の様子は、You Tubeで世界同時配信され、また、現在でも以下のURLから見ることができます。
  https://youtu.be/mCcyjiSjyX8
(2時間30分くらいと、非常に長いコンテンツです。中村さんの分科会報告は2時間09分くらいからです)
 総会では、各分科会からの報告の後、今回の高校生サミットのまとめが提案され、「未来の災害リスク軽減のために『学ぶこと』『行動すること』『創造すること』の3つを私達世界中の高校生が続けていきたい」とする「黒潮宣言」が採択されました。
 その後、四万十市にバスで移動し、四万十市内のホテルでFarewell Partyがありました。記念撮影をしたり、総務省から出向で黒潮町に来ておられ参事として活躍しておられる本校の卒業生のお話を聞かせていただいたりと、充実した時間でした。

 11月27日(日)は、帰るだけの日でしたが、朝から黒潮町の方々が駅まで見送りに来てくださり、再会を誓いながら、帰路につきました。せっかくなので、高知駅で途中下車し、市電で移動し、ひろめ市場で昼食をとり、高知を堪能しました。RSGFの直後、期末テストの直前というあわただしい時期の取り組みでしたが、得るものの大きい研修となりました。