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SGH 平田オリザ氏によるGL特別講演会・ワークショップを実施

2017.05.13

Super Global High School (SGH)
SGH生徒対象特別講演会・ワークショップ報告

 

SGH  ECCE HOMO(この人を見よ)②」

平田オリザ氏によるGL特別講演会・ワークショップを実施しました

 

 59日(火)57限、GLコース2・3年生対象に、劇作家・演出家の平田オリザ氏によるGL特別講演会・ワークショップを実施しました。
  昨夏、3校合同で実施された同氏によるワークショップに本校同コース生徒の一部が参加したことをきっかけに実現した今回の企画は、いわば生徒のみならず教員にとっても念願でした。急速なグローバル社会への進展がもたらすメリットやデメリットが世界的に課題となっている現在、将来そのような社会へ羽ばたく生徒には、できるだけ多様な観点からの学びを通して射程の長い視座を獲得して国際社会に貢献してほしいと願っています。グローバルな社会とはどのような社会で、私たちはどのようなコミュニケーション能力を必要としているのか。集団で一つのものを作り上げる演劇の手法を学ぶことで、社会で他者と協働することの意義について考えを深め、多文化共生のあり方を考えたいと思ってきました。
 真っ白の状態からオリザ氏と対面してほしい、これまでとは異なる新たな学びのアプローチでグローバル社会について体感してほしい。今回、生徒たちには敢えて事前にどのようなことをするのかを告げずに実施しましたが、3時間はあっという間に過ぎたようでした。自己と他者が持っている様々なイメージには差異があり、それによってイメージの共有を困難にしていることからくるディスコミュニケーションについて、身体を動かしながら実体験するワークショップ。それらがどういう意味を持っていたのかという、いわば種明かしの要素をも含んだ後半の講演会。生徒たちは、自らが置かれている教育的現状を知ってそれを相対化する作業や、「多様性」「主体性」など今や巷間取りざたされマジック・ワード化さえしているこれらの概念が、異なる相貌をもって立ち現われて来る瞬間に立ち会うことができました。生徒たちは、今回をきっかけに想いを新たにしたようでした。平田オリザ氏をはじめ、今回お世話になった方々に感謝申し上げます。ありがとうございました。

 

 


以下、生徒の感想文です(一部抜粋)
「私たちは多様性という言葉をよく耳にし、また求められています。クラスでは常に自己主張をすることを要求されます。しかし、今ある私たち高校生の日常は終わりが来て、いつかは社会に出なければなりません。私たちが高校3年間で身につけたものを、心のどこかで押し殺して生活しなければいけない時が来ると思います。しかし私は、オリザ先生の、このダブルバインド(二重拘束)を決して単純に悪いことだと思ってはいない、という言葉でふっと心が軽くなりました」
「私は最初コミュニケーションには言語の弊害しか頭にありませんでした。例えば、国が違うと言語が違う。それがコミュニケーションに問題があると考えていました。しかし、今回を通して、人の感覚のズレやコミュニケーションの取り方の違いがあることを知りました」
「自分が今まで考えていた様々なことが変わりました。自分の考えが独創的であればよいと教えられてきたけれど、その考えをどう伝えたらより多くの人に理解してもらえるかなと考えたことはあまりありませんでした」
「人ははじめからわかりあうことはできないのだから、わからないなりに自分と相手の接点や共通点、相違点を話すことでわかりあっていかなければグローバルとは言えないと思う」
「最初は何をするかわからず演技をするかもと聞いていたのであまり興味がなかったのですが、実際にワークショップが始まるととても興味深くて、得るものが多かったです。同じ日本人でも、同じ日本語を話していても一人ひとり違うイメージを持っていて意見や価値観にもズレが生じてしまうことに気づき、理解していくことが大切だというお話は、私にとって新しい発見でした」
「私はよく「いい子だ」と言われます。しかしそう言われることに疑問を感じ、いやな気持になっていました。しかしオリザさんは、いい子を演じることを楽しむ子を育てるべきと言われていました。この言葉はとても印象的でした」