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SGH 東北復興防災研修を受けた「避難訓練」改善の取り組み

2017.08.01

Super Global High School (SGH)
SGH取組報告

       

SGH 避難訓練改善トライアルの取り組み

SGH東北復興防災研修 事後ACTION

 

77日(金)期末考査終了後の放課後、2016年度SGH東北復興防災研修に参加した生徒たちが避難訓練に関する改善の一つの取り組みとして、高校生の有志を募り計40人規模での避難訓練トライアルを実施しました。

津波により多くの命が失われた東日本大震災。この震災では、過去の大震災に比して発生が午後の時間帯であることもあって家族がそれぞれの活動場所で被災され、結果、家族をはじめコミュニティが寸断されたことが大きな問題となっていると言われています。東北の多くの児童生徒たちは日頃の防災教育や避難訓練の甲斐もあり、多くの命が救われたといいます。しかし、そのなかで大川小学校の悲劇が起ったこともまた事実でした。「日頃の防災教育がいかに大切か」。さらには「大川小学校のような悲劇を二度と起こさないために自分たちにできることがあるんじゃないのか」。201612月の同研修でこれらを学んだ生徒たちは、研修をその場限りのイベントに終わらせることなく地道に自分たちにできることは何かを考え、努力を積み重ねてきました。4月には全校集会で全校生徒に訴え、避難訓練を改善するために学校側との折衝をもってきました。そして、避難訓練改善のための試行として高校生徒会、本校ボランティア局RIVIO、生徒有志を募り、実際に避難訓練を行いました。避難訓練の改善をすることで、大地震が起こってしまったとしても1人でも多くの生徒が自分で考えて避難できるような避難訓練の試行として、有志で行いました。現在の本校の避難訓練で果たして十分なのか、訓練回数は適切なのか、想定されている避難経路が被害を受ける等で通行できなくなった場合どうすればいいのか、そして何よりも訓練自体が事前に予告されているなかで果たしてどれだけ有効なのか。従来なら学校管理職等が立案し運営する避難訓練を、SGH推進機構教員のサポートがあるとはいえ生徒主体ですることの困難に見舞われたことも多かったですが、周囲のサポートもあってこの日を迎えることができました。


「非日常」を想定して臨むため、従来の避難訓練とは異なる状況を数多く設定しました。活動場所はHR教室とは限らないため様々な教室に有志を配置し、その場から避難経路を自分たちで考えて避難場所に避難する。災害発生場所や、発生告知方法も変更しました。

 

実際に上記視点を持って実施してみないことには見えなかった様々な気づきを得ることができました。しかし、同時にそれまで見えてこなかったものや課題も見えてきました。全体を見守っていただいていた副校長からは「普段の訓練よりも人数規模が少ないにも関わらず避難完了時間は遅かった。しかも、(遅れて避難してきたとはいえ)行方不明者が2名もいた。これらのことをクリアしないと全校実施は難しい」との厳しいコメントをいただきました。終了後の企画・運営メンバーと参加者による振り返りでは、参加者が様々なことを考えながら避難したこと、災害発生後自分たちが避難しようとしていた経路を再度考え直したこと、またこのように自分たちで避難経路を考えることの大切さを感じてくれていたことなどがわかり、避難訓練後の振り返りの有用性を感じました。しかし一方で、放送が使えなかったためにメールで地震発生・終息・火災発生の連絡にしたこと、避難開始の指示を敢えて出さない方法をとったがそれらを全体に浸透しきれなかったことなど、マネジメントの難しさも感じました。

 さらに後日、企画・運営メンバーで行った振り返りでは、上記の反省がある一方、このような形で実施できたということこそが次に繋がる第一歩であると共有できました。今後、今回のことが契機となり学校全体で避難訓練や防災教育を重点的に取り組んでいくのかどうかなど、どのような展開になっていくのかはまだわかりません。しかし、この生徒たちの動きは学びのあり方として一つのモデルを提示しているのではないでしょうか。THINK からACTIONへ。そして、LOCALに。

生徒と教員がともに学び合いながら、本校SGHの挑戦は続きます。