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SSH 立命館大学SRセンター実習を開催

2018.07.23

Super Science High School (SSH)
立命館大学SRセンター高校生実習

 

2018年度 SRセンター高校生実習を開催

 

719日から3日間、立命館大学びわこ・くさつキャンパス(BKC)にあるSRセンターを使って高校生実習が行われました。SRセンターの世界最小(直径1m)の超伝導磁石を用いた放射光蓄積リング「オーロラ」から放射される光(主にX線)の利用による様々な実習です。参加したのは、立命館高校、立命館宇治高校、立命館慶祥高校、初芝立命館高校、育英西高校の生徒15名です。

  19日の夕方にBKCに集合して、さっそくSRセンターの施設見学です。赤い色をした大きな筒状のオーロラから伸びる細い筒とそれらにつながっている様々な観測機器に圧倒されながら放射光蓄積リングの仕組みを聞きました。そのあと、オーロラに電子を供給する電子加速装置を見学しました。見学の後は、立命館高校の教員から放射光についての基本的な事前学習を行いました。

  20日は、午前にSRセンター長の太田先生から放射光の原理と午後からの実習について講義をしていただいた後、グループに分かれて担当される先生方から実習の手順と作業について大まかな説明を受けました。実習は「金属の状態と構造をX線で調べよう」、「物質の中の電子の動きを見よう」、「リチウムイオン二次電池動作中電極反応観察」、「シリコン結晶の表面を調べてみよう」、「赤外顕微鏡を用いて玉ねぎの皮を観てみよう」の5つのテーマとグループで行われました。

  午後からはいよいよSRセンターでの実習です。たいへん残念なことに、シンクロトロンの光源が不調で実際にシンクロトロンを動かしての実験が出来なくなってしまうトラブルに遭遇しました。そのような中で、放射光を当てる資料の作成、実験器具や観測機器の調整、実験結果を示すモニターの見方などの指導を受けながら作業を行いました。自分達でセットした資料からのデータを取ることは出来なかったのですが、これまでのデータを利用するという方法で実習を行うことが出来きました。その後、それぞれのグループを担当された先生から指導を受けながら、データの分析や議論を行い、実習のまとめをパワーポイントで発表する準備作業を行いました。今回の研修では生徒達はBKC内の宿泊施設エポック立命21に宿泊していたので、夜までグループごとに翌日の発表に向けた準備や練習を行いました。

  21日は午前中にこれまでの取り組みをまとめた発表です。高校生の学習内容を超える高いレベルに取り組んできましたが、生徒たちの努力が感じされる素晴らしいものでした。いずれの発表にも他のグループの生徒達から多くの質問が出され、有意義な研修の場となりました。担当の先生方からも生徒の質問への対応についての間違いを指摘いただいたり、さらに厳しい質問を投げかけてもらったり、発表の仕方についてのアドバイスをもらう等、高校生達はたいへん勉強になったと考えます。指導された先生方からも「短時間でしっかりまとめている」、「原理を理解してしっかり説明している」などの評価を受けました。

  最後に太田先生から発表への講評とまとめのお言葉をいただきました。「今回の実習は高校生にとって難し過ぎる内容ではありましたが、私自身も今でも一つ分かれば、また一つ分からないことが現れるというようなことを繰り返しています。分からないことを分かるようになろうと大学で頑張ってもらいたい。大きな夢を持って大学へ来てください」と暖かい励ましをいただきました。

  今回の研修の中では、高校では考えられない高度な実習内容という、得難い機会であったことはもちろんですが、どのグループも違う学校の生徒から構成されており、学校を超えた協力による刺激も大きかったと考えます。また、このSRセンター実習は2006年度から行っており今回で13回目となり、今回、指導いただいた博士課程院生や研究員の方の中に、立命館高校、立命館守山高校の卒業生で、高校時代にSRセンター実習を経験した方々がおられたことをうれしく感じました。太田先生をはじめSRセンターの先生方や職員の方々のご尽力のお陰でこのように長い間続けてこられたことに改めて感謝を申し上げます。

 

 今回参加した立命館高校の生徒達の感想の一部を掲載しておきます。

・  内容に関してとても難しかったが、楽しかった。研修が終わっても完全には理解することができなかったが、探究心を擽られ、もっと知りたいと思った。

・  今回は新しいことがたくさんあったが、その分、たくさん勉強できて、今後のアドバンテージになった。これからも頑張りたい。