ニュース

SSH 「イネの塩害」をテーマとした東京研修を実施

2018.12.25


Super Science High School (SSH)
さくらサイエンスプランで来日中のMWIT生徒と、共同研究にかかわる研修

 

SSH 「イネの塩害」をテーマとした東京研修を実施
 

 20181220日~22日の3日間、来校中のタイMWIT生徒9名と本校生徒5名が参加してSSH東京研修を実施しました。

この東京研修は、これまで続けてきた二校間での共同研究をさらに深化し進めていくため、研究テーマである「イネの塩害」を中心に学ぶ研修になりました。研究グループが着目している塩害を防ぐ方法の先行研究を行っている理化学研究所、イネを使った医学的な研究を行っている東京大学医科学研究所、細胞内輸送の研究を行っているお茶の水女子大を訪問し、先生方による講義や実習を受けました。

 

以下、詳細です。

理化学研究所では、先行研究論文の著者の一人である佐古香織先生からイネに関わって様々なストレス応答についてのお話を伺いました。論文で紹介されていること以外にも詳しく教えていただきました。講義の後、研究室見学をしました。徹底管理された培養室では、虫や病原体を持ち込まないように二重扉で、入室前にエアーシャワーを浴びてから中を見学しました。その後、グループごとに質疑応答を行い、そこではイネを研究している本校生徒は、研究内容のパワーポイントを佐古先生に見ていただき、疑問や研究で躓いているところを質問し、佐古先生にたくさんのアドバイスをいただくことができました。専門の研究者から直接アドバイスをいただけたことは、生徒たちの今後の研究の進展にたいへん有効だと思います。さらに、後日、佐古先生からエタノール処理後に間をあけると効果が薄れるという最新の結果についての論文を送っていただき、生徒と共有しました。また、海外の研究者の方にもトークに加わっていただき、たくさんのお話を聞くことができました。

東京大学医科学研究所では、佐生愛先生からイネを使った経口ワクチンについての講義を受けました。ワクチンとなるタンパク質を発現蓄積する、遺伝子組み換えイネを作成しています。講義後に、イネの胚性カルス作成の様子を見学しました。遺伝子組み換え植物はアグロバクテリウム法で作ります。シロイヌナズナは花序浸し法を使いますが、イネは作成したカルスに組換えプラスミドを形質転換したアグロバクテリウムを感染させて、目的遺伝子をイネに組み込みます。研究室では、経口投与するための専用の製造室があり、遺伝子組み換えイネの花粉を持ち出さないことはもちろん、経口投与するため、病原菌などの侵入も徹底的に防いでいます。作成されたイネの種子は乾燥後に粉末化され、マウスに投与されます。実際の研究の様子を間近に見ながら、研究者からその操作は何をしているのか等、質問しながら見学させていただきました。生徒たちは、「イネ」=「食料」としてしか知りませんでしたが、講義や見学から、バイオテクノロジーを用いて、植物に薬(ここではワクチン)を作らせるという、食料以外としての研究、また、新しい技術の開発について学び、基礎研究から応用研究の一端を知る素晴らしい機会となりました。

お茶の水女子大学では植村知博先生による植物細胞内でのメンブレントラフィックに関する講義を受けました。メンブレントラフィックは日本語では膜交通(輸送系)となりますが、研究業界では「メンブレントラフィック(略してメントラ)」と言います。細胞内では、各場所に必要なタンパク質などを輸送するシステムがあります。この輸送には沢山のタンパク質と細胞骨格が関わっています。以前、植村先生は輸送に関わるSNAREというタンパク質がどのオルガネラ(細胞小器官)への輸送に関わっているかを網羅的に解析されました。現在では、特にゴルジ体のTGN(トランスゴルジネットワーク)をはじめとする輸送系のさらなる解明を目指して研究を続けられています。講義の後、実習を行いました。液胞に局在するSNAREVAM3/SYP22)に蛍光タンパク質GFPRFPを繋げて導入した遺伝子組み換えシロイヌナズナの根の観察を行いました。高校の生物の授業では、GFPを有するプラスミドを大腸菌に形質転換し、GFPの蛍光を観察しています。生徒たちは初めてGFPで光る根を観察し、感動していました。大学での研究のレベルを垣間見ることができ、生徒たちは新しい知識を得るとともに、生徒たちの興味関心を向上させる素晴らしい機会になりました。

 今回の研修にかかわってお世話になりました先生方に心より感謝申し上げます。

 

181226SSH_Sakura_Tokyo_1 181226SSH_Sakura_Tokyo_2

181226SSH_Sakura_Tokyo_3