教員紹介

松原 豊彦

Toyohiko MATSUBARA 松原 豊彦 教授

  • 専門分野農業経済学、アグリビジネス、
    農業の第6次産業化
  • 所属学会日本農業経済学会、日本農業市場学会、
    日本カナダ学会、政治経済学・経済史学会

これまでの研究の概要

カナダの農業構造と農民層分解、NAFTAのもとでの多国籍アグリビジネスの事業展開、カナダの農業政策をテーマに研究してきました。カナダを研究対象に選んだのは、世界有数の穀物・油糧種子の輸出国であり、日本の食料事情に大きな影響力をもっているからです。カナダの小麦・大麦の輸出システムは、国家貿易企業であるカナダ小麦局(CWB)を軸に展開してきましたが、CWBは2012年に解体され穀物販売の仕組みは大きく変わりました。北米自由貿易協定(NAFTA)のもとでカナダの穀物・油糧種子の加工や販売は大きな変貌を遂げ、アメリカの多国籍企業がその多くを支配するようになりました。国境を超えたフードシステムの形成であり、その行方を注視したいと思います。また、カナダの酪農・乳製品、鶏肉、鶏卵は、供給管理とマーケティング・ボードという独特の需給調整システム(および国境保護措置)を堅持しており、米国政府からの度重なる攻撃にもかかわらず独自のシステムにより家族経営を守ってきました。NAFTA再交渉にカナダがどう臨むかは、日本の農業・食料政策を考えるうえでも重要な課題です。

食マネジメント学部における今後の研究の方向性

①農業の第6次産業化
農と食による地域経済振興を考えるうえで重要なテーマであり、6次産業化のテキスト出版を計画しています。

②地域連携による調査研究
三重県志摩市浜島町でのインターンシップ、滋賀県甲賀市の廃校活用プロジェクト、ふくい里山里湖海料理アカデミー、北海道アグリビジネスリーダー養成塾などに参加しています。近隣では草津市ブランド推進協議会、守山食のまちづくりプロジェクトの座長などをしています。

③市民による食政策ネットワークの研究
北米の都市では近年市民による食政策ネットワーク(Civic Food Network)の活動が盛り上がっています。とくに1990年代から活動しているトロント食政策評議会(Toronto Food Policy Council)に注目し、その経験をまとめたいと思います。

主な研究業績

  • 『カナダ農業とアグリビジネス』法律文化社、1996年
  • 『現代の食とアグリビジネス』有斐閣、2004年(大塚茂、松原豊彦編)
  • 『新大陸型資本主義国の共生農業システム ーアメリカとカナダー』農林統計協会、2011年(松原豊彦、磯田宏、佐藤加寿子)