グローバル時代のリベラル・アーツ

GLA Opening Ceremonyでの学生、教職員のグループ写真

第4次産業革命の時代における立命館大学

情報科学技術を駆使したメディアのグローバルネットワークは、世界のあらゆる国や地域を高密度に結びつけ、これまでに例を見ないほどのスピードと網羅性で大量のデータを生み出しています。このような現代においては、人類はさらに複雑で不確実な社会に直面しています。かつての大量生産の時代のニーズに応えるためにデザインされた高等教育機関は、これからの時代においてはどのように対応し、進化していくことができるでしょうか。現代の高等教育の役割と責任とは、どのようなものでしょうか。

現代の高等教育の役割と責任とは、どのようなものでしょうか

私たち立命館大学の答えの一つが、グローバル教養学部(GLA)の開設でした。豊かな人間が獲得し扱うべきものは、記憶された特定の知識量を問うことではありません。何をどのようにして、どこで、いつ学ぶか、そして最も重要なことは、なぜ学ぶのかということ、これらを探求し知覚することこそが、最も基本的な知的能力だと言えます。そしてこれこそが、知性を育む上での本質的な出発点でなければなりません。立命館大学の第4次産業革命の時代への対応は、古典的なリベラル・アーツをアジアの時代の文脈の中で解釈することにあります。

立命館大学の伝統とリベラル・アーツ教育の融合

西園寺公望

1869(明治2)年、新しい時代を担う若者を育てるため、西園寺公望が私塾「立命館」を創設し、1900(明治33)年、文部大臣時代の西園寺の秘書であった中川小十郎が、その意志を引き継ぎ立命館大学の前身となる「私立京都法政学校」を創立しました。中川小十郎は、西園寺の「自由主義と国際主義」の精神を受け継ぎ、「自由にして清新」な学府、つまり自由にして進取の気風に富んだ学園の創造をめざしました。

ギリシャ・ローマ帝国にその起源を持つリベラル・アーツ(教養)思想は、後に中世ヨーロッパの大学において、「自由七科(septem artes liberales)」として後進を育成する学問の基礎となりました。この「自由七科」の概念は、西園寺の「国際主義」、未来のリーダーを育成するという学園の精神と融合し、グローバル教養学部の基礎となっています。

グローバル教養学とは

リベラル・アーツ教育としてのGLAの概念的基盤は、トリビウム(文法、弁証法、修辞学)の構造とその内容の上に築かれています。GLAではこれらを今世紀における知の中心でありグローバルな「リテラシー」として再定義し、学際的学問における3つの重点領域として、Cosmopolitan Studies、Civilization Studies、Innovation Studiesを位置付けました。

Cosmopolitan Studiesは、文化研究と地域研究を軸に、社会の多様性を理解し、様々な境界を超えて問題発見と問題解決に導く力を養成します。Civilization Studiesは、歴史研究・社会理論を軸に、国際社会の多元性と普遍性を理解し、人類にとって新しい課題を浮き彫りにする力を育てます。Innovation Studiesは、経営理論、科学・技術論を軸に、新しい知識と価値を生み出し、国際社会においてそれらを実践できる知的能力と行動力を養成します。

コミュニケーション能力は、技術の進歩によって、人間の能力が最も劇的に変化した分野の一つです。人類は過去数十年の間に、かつてないほどの情報通信技術の進歩を経験し世界規模での知識経済を形成してきました。人間の知識と知識の管理は、より高度なコミュニケーションを通じたあらゆる新しい価値創造の核を形成しています。

The Quadrivium

グローバル教養学部は、古典的なリベラル・アーツ教育のうち算術、音楽、幾何学、天文学の四つを戦略的に置き換え、プログラミングとcultural studies(算術と音楽)、デザインマネジメント、世界史と知識とイノベーション(幾何学)、科学の基礎(天文学)の流れに沿った科目で構成されています。これは、アジアの世紀における人類学と社会科学に焦点を当てるという、グローバル教養学部の基本的なコンセプトを維持するために必要不可欠な方法なのです。

Japanese studies cluster

グローバル教養学部には、もう一つの特長があります。それは、Japanese Studies clusterがグローバル教養学の3つの流れ(Cosmopolitan, Civilization, Innovation)を結びつけているということです。言語学、歴史学、社会文化学、政治学を含む日本研究クラスターをバックボーンとするのは、批判的思考と知的寛容さ、多様性と差異の受容を養うためにアジアの視点からリベラル・アーツを再考することの必要性に基づいています。

アジア発のアジアにおけるグローバル・リベラル・アーツ

高等教育の進化とその道のりは決して直線的なものではありませんでした。大学の概念は13世紀のヨーロッパに見られるものであり、移動と思想の2つの自由を軸に、知識を求めていた教授と学生たちによる移動可能な共同体でした。その後、経済的安定と引き換えに、大学は国民国家や帝国主義と結びつくようになります。したがって、西洋の知識生産と西洋の拡大は本質的に絡み合っているとも言えます。このことは、ヨーロッパのリベラル・アーツの変遷を単にアジアの文脈に翻訳するだけでは不十分であり、アジアからの批判的な挑戦によってリベラル・アーツの文脈を変容させることの重要性を意味しています。

私たちは、国境を越えて考えることのできる未来のリーダーを輩出することを目指しています

グローバル教養学部は、オーストラリア国立大学のコーラル・ベル・スクールと連携して、アジアからリベラル・アーツを再考し、思想と移動の自由を取り戻すための新たな空間を開拓しようとしています。グローバル教養学部は、すべての学生が第四次産業革命の時代を生き抜くための国際的な知識と知的基盤を身につけるための教育を実践します。リベラル・アーツ教育の精神は、そこにあります。私たちは、国境を越えて考えることのできる未来のリーダーを輩出することを目指しています。