西谷 順平教授

MESSAGE

経済社会をリアルに見ることのできる会計学は
社会に出ていく上で一番強い学び

会計という人間の営みを
経済学的にとらえる研究を実践

私は、会計という人間の営みを経済学的にとらえる研究をしています。近著では、保守主義とよばれる会計処理の原則の観点から会計の歴史を洗いなおし、従来とは違う学説を発表しました。
数学モデルなどを使った概念的な研究を行いながら、企業、省庁、地方自治体の公共事業部門で、会計の専門家として実務のアドバイスなども行っており、抽象的な概念と、具体的な事実の間を行ったり来たりする研究の仕方、物の見方をしています。
会計を知らない人は、会計は決まりきったものというイメージを持つかもしれませんが、実は、とても自由なものです。会計の世界では、定められた範囲内での利益調整が可能です。企業は、その裁量を生かして投資家とコミュニケーションをとったりもします。例えば、業績がV字回復したように見せたり、毎年少しずつ成長している堅実な姿をアピールしたりするなどができるのです。
学部ではここまで学ばなかったかもしれませんが、大学院で会計を学べば、会計とは人間の動きをとらえるいきいきしたものだと理解してもらえると思います。経済社会を一番リアルに見ているのは会計学者かもしれません。会計学は、社会に出ていく上で一番強い学びだと私は思っています。

6年間かけて学ぶことによって
生活も、勉学も充実させてほしい

会計学の場合、理系の学部のように最初から6年間のスパンでの学びを想定することを私はすすめています。そうすれば会計の専門家として社会に出ることができます。日本やアメリカの公認会計士試験にチャレンジする人も、学生らしい生活を犠牲にすることなく勉強することができます。企業に就職する人も多いと思いますが、今の日本企業は多国籍化しているので、英語を使う会計も多く、子会社が東南アジアにあるなど、異文化理解や国際的な視野も求められます。6年間の学生生活を確保し、勉学以外にもさまざまな経験をすることが大切だと思います。学部で会計を学んでいれば、他大学出身者や外国人留学生ももちろん歓迎です。
会計は基本的に国際的な業務です。私のゼミでは、学部生も一緒に東南アジアや中国へゼミ旅行に行きます。現地の金融機関を数多く回り、現地で働く日本人や立命館OBを訪問し、現地のリアルを体験するのです。厳しい言葉をいただくこともありますが、見聞を広め、国際的な視野を持つきっかけになればと思っています。

世界に羽ばたくための手段として
会計の専門家としての腕を磨いてほしい

人は人の中で育つものです。学生を色々な人々と交わらせながら育てるのが私のやり方です。その中で、自分の道を見つけてほしいと思います。どう人生を切り拓いていくのかについても語り合いましょう。頑張って活躍し、キャリアを積めば、世界には楽しいことがたくさんあることを知ってほしい。会計そのものにとらわれるのではなく、世界に羽ばたくための手段として、会計の専門家としての腕を磨くスタートラインについてほしいと思います。