研究科紹介Introduction

研究科長メッセージ

食マネジメント研究科は、私たちが日々直面する食に関する複雑な問題に対処し、それを理解し解決するための独創的なアプローチを提供します。
この研究科は、経済学と経営学の基礎的な理論と方法を核として、自然科学や人文科学など、多岐にわたる分野の学問との融合を目指しています。
その主な目的は、現代社会において重要性を増す食の課題を多角的に捉え、実効性のある解決策を導き出すことにあります。
食マネジメント研究科の特色は、単に食に関する知識や技術を教授するだけでなく、食の経済システムを持続可能に改善するためのマネジメント能力を育成することに重点を置いている点にあります。
これには、食品産業の経済活動、消費者の行動、政策決定過程など、第2次産業および第3次産業に関わる幅広い領域が含まれます。
研究科の教育プログラムは、これらの分野で活躍できる、社会に貢献する高度な専門性を備えた人材を育てることを目指しています。
具体的には、経済学や経営学の枠組みを用いて、食品産業におけるイノベーションの促進、多文化共生の地域社会づくり、福祉や健康の観点からのコーディネーションなど、現代が抱える経済的な問題に取り組みます。
このアプローチは、伝統的な農学、栄養学、家政学に加え、法学や社会心理学といった新たな視点を取り入れることによって、より実践的で包括的な解決策の提案を可能にします。
研究科では、経済学・経営学の分野から、産業組織論、行動経済学、ファイナンス、食料経済学、経営戦略論、マーケティング論などの知識を活用しつつ、食の歴史、食文化、食の地理学、健康マネジメントといった異分野の知見を統合し、幅広い視点から課題解決への道を探求します。
これにより、学生は専門知識を深めながらも、多様な分野を横断する思考力と実践力を養うことができます。
食マネジメント研究科は、「食マネジメント学部」という、世界でも稀な総合学部の一環として設立されました。
この学部の中核をなす「食科学」という概念は、食に関連するあらゆる学問分野を網羅し、それらを統合することで新たな知の創出を目指すものです。
食科学は、伝統的なアカデミック分野だけでなく、生産者の伝統知や調理学など、従来は学問の範疇に含まれなかった分野も包括します。
このようにして、食に関する知識や技術、文化を360度から学ぶ場を提供することで、未来を担う新しいタイプの専門家を育成します。
最終的に、食マネジメント研究科の目標は、食に関わる様々な課題を解決し、それによって社会の発展に貢献できる人材を世に送り出すことにあります。
研究科の存在は、食の研究をさらに専門的に推し進め、学術的な基盤を固めることで、我々の生活において中心的な役割を果たす「食」に関する深い理解と、それを支える強固な知識体系の構築に寄与することです。

石田 雅芳
立命館大学大学院 食マネジメント研究科長