教員紹介

NAKAMURA Tadashi

中村 正

中村 正
所属領域
対人援助学領域(博士前期・後期担当)
職位
教授
専門
社会病理学、臨床社会学、社会臨床論
主な担当科目
社会病理学特論、対人援助学演習、対人援助学研究法、人間科学プロジェクト演習

現在の研究テーマ(または専門分野)について教えてください。

現在の研究課題は対人暴力の研究です。学部では法学を学び、罪と罰について関心を持ちました。法社会学の書物を読みつつ、大学院では社会学を勉強しました。その後、臨床家や問題解決の実践のフィールドワークをしていました。そこで対人支援に社会学的な知見を活かす方策を探る必要性のある課題に出会いました。いじめ、ひきこもり、非行、暴力、薬物依存、失踪・家出、野宿(ホームレス)などの逸脱行動です。その加害行為や逸脱行為をおこなう「人」にも関心がありますが、その背後にある社会病理との絡まりが大切だと思っています。また、こうした逸脱行動のジェンダーの違いにも関心があります。

研究の社会的意義について、教えてください。

出所者の社会的やり直し、対人暴力のある人への脱暴力支援、体罰やハラスメントからの離脱、ドメスティック・バイオレンスの加害者対応など、たくさんの現場に関係しています。司法とかかわる人間科学の研究が臨床へと環流していくべき重要なポイントにある課題群です。刑務所や保護観察所、虐待にかかわる児童相談所、「社会復帰」を支援する多様な団体などと連携しています。そして逸脱行動の背景にある社会病理も修正していくべきです。個人と社会の双方に臨床的アプローチが必要です。社会臨床という新しい領域の創造をとおして社会的な意義を考えています。

この研究科でめざしたいこと、院生へメッセージをお願いします。

社会病理学は、暴力、虐待、いじめ、ひきこもり、自殺、アルコール・薬物への依存、犯罪、非行等、個人の逸脱行動や触法行為、さらに差別、不平等、憎悪、戦争等を対象とする幅広い学問領域です。社会病理学social pathologyは、苦しみ・病気などをも意味する接頭辞パトスpathosに伴われて、人間精神の能動性や理性を意味するエートスethosと対比した、受動的、感情的、情動的、身体的な側面をとらえます。何らかの苦難に伴う感情ともいえます。自らに降りかかる、ままならない、コントロールしにくい事態として感受されるパトスは、そこからの解放や治癒のために、情念による力、芸術やスポーツへの力、他者のケアの要請の源ともなりますが、他方では、問題行動や逸脱行動を駆動します。それらの苦難、苦悩、逸脱が社会性をもち、対他関係をはらむので社会病理学といいます。多様な逸脱行動を通して社会的な苦悩と苦難の機微(ミクロ)と機制(マクロ)を考えるのが社会病理学なのです。「社会のなかの人間科学」について考えることを大切にしている研究科です。是非、こうした社会的視野を身につけて欲しいと思っています。

論文

経歴・業績について