教員紹介

TAKEUCHI Kenji

竹内 健児

竹内 健児
所属領域
臨床心理学領域(博士前期担当)
職位
教授
専門
臨床心理学
主な担当科目
臨床心理面接特論Ⅱ、臨床心理学特論Ⅱ、臨床心理学研究、臨床心理学実習
おすすめの書籍
こころの旅神谷美恵子 日本評論社1974年 心理療法序説河合隼雄岩波書店1992年 無意識的身体像1・2フランソワーズ・ドルト 言叢社1994年

現在の研究テーマ(または専門分野)について教えてください。

ひとの心に深く触れる仕事がしたいという思いがおそらく思春期の頃からあって、高校生の時に「これだ!」と思えたのが「心理療法家」という仕事でした。有難いことにその仕事に就くことができ、現在も続けています。元来はフロイトの精神分析学やユングの分析心理学といった心理力動的立場で実践を続けてきましたが、最近は心理療法の統合・折衷的アプローチに関心を持っています。各療法を理論と技法の面で比較しつつ、少しずつ臨床実践に取り入れて、クライエントに応じたオーダーメイドの心理療法ができるようになることを目指しています。

精神分析に関しては、フランスの精神分析、とりわけフランソワーズ・ドルトの理論と実践に関心を持ち、日本への紹介に努めています。また、臨床心理査定の分野では、心理検査結果のフィードバックと心理療法への活用について研究しています。

研究の社会的意義について、教えてください。

心理療法をはじめ、臨床心理学的支援が対象とするのは、心に何らかの苦しみを抱えている人々です。その苦しみの表現として、症状を出したり、周囲から「問題行動」と呼ばれるような行動を取る人もいます。そして、その症状や自分が取った行動の結果にまた苦しんでいます。あるいは、自分の心の苦しみを周囲の人に理解してもらえないことに苦しんでいます。そうした人々に役立つ理論や技法を研究するのが臨床心理学ですので、研究はまさに個々の支援に直結しています。私自身は、日々の実践そのものが研究を一歩進めているし、また研究が日々の実践を一歩進めていると考えています。

また、そこで得られた知見を広く社会に還元していくことで、心の苦しみが軽くなる人、周囲に対して温かくなれる人が少しでも増えたらいいなと思っています。

この研究科でめざしたいこと、院生へメッセージをお願いします。

臨床心理学の大学院に入ることは、学内外の実習において実践の第一歩を踏み出すことでもあります。そこで必要とされる基礎的な理論と技法、そして実践に伴う実務や「作法」を事細かに伝えるのが私の役割です。たとえ「心理臨床家」を目指す志は高くても、実践を始めてみると、戸惑いや不安を抱くことは避けられないでしょうし、自分自身が打ちのめされるように感じることもあるかもしれません。学内実習が充実したものになるように、また安心してスタートを切れるように、精一杯支えたいと思います。クライエントを支えるセラピストもまた誰かに支えられる必要がありますし、初心セラピストを支えることは、初心セラピストによって支えられるクライエントを支えることでもありますから。

著書等

  • Q&Aで学ぶ 心理療法の考え方・進め方 (創元社、2015年)

  • ドルトの精神分析入門 (誠信書房、2004年)

  • 心理検査を支援に繋ぐフィードバック (金剛出版、2016年)

論文

経歴・業績について