在学院生・修了生の声

新しい読物を作りだす、
私にとっての映像研究。

武田 港

ズーム動作と階層構造による新しい読書体験の 為の文章システム
及びコンテンツの関係

志望動機

「映像」を幅広く学べることが最大の魅力

大学院に進学しようと思った動機は何ですか。

今就職しても、自分の思うような研究や開発はできないだろうと思ったんです。大学で学んだことを活かせる分野で就職できても、おそらく「その時売れるものを創る」という短いスパンでの商品開発になる。その方向性も重要だと承知しているが、私は長いスパンを選んだ。短期間で次々に開発するよりも、自分は長いスパンでものを捉えてやっていきたい。学部時代の研究が充実していたからこそ、社会に出てもやるならとことん取り組みたいと思い、就職ではなく大学院へ進学することに決めました。

立命館大学大学院・映像研究科を選んだ理由を教えてください。

2011年設立の新しい研究科ですが、ゲームに関しては当時からすでに国内トップクラスの環境が整っていたからです。先生方も技術系、アート系、CG系など様々な分野のプロが揃っていて、「映像」を幅広く学べることが最大の魅力でした。

研究フロー

「電子書籍」の未来を創る

入学当初、どのような研究構想をもっていましたか?

紙ではないからこそ出来る新しい読書体験の研究しようと考えていました。今や電子書籍は世界中で多くの人々に親しまれていますが、まだまだデバイスで出来ることは沢山あると思ったからです。現在の電子書籍は、いかに文字をデジタル化するかということに特化しており、検索やネットストアなど、読者に便利な進歩はしていますが、「書籍がデジタル化された」という範囲にすぎません。電子書籍ならではの機能や体験を提供できれば、読者はもちろん作家にも大きな変化が生まれ、今までにない読書体験が可能になります。学部時代に培ったゲーム的発想を活かしながら、もっとおもしろい電子書籍の活用法を研究しようと決め、修士研究も同テーマで挑みました。

その研究構想が深まった背景について教えてください。

学部時代に学んだ知識等をもとに、技術的にも発想的にも可能だという自信はあったのですが、小説等の書籍で活用できるのかなど懸念点はいくつもありました。そこで、3 ページ程度の企画書を制作し、先生方に相談してみることにしました。ほぼすべての先生に見ていただいたので、あらゆる角度から専門的な指摘が受けられ、研究すべき内容がどんどん具体的になっていきました。私が取り組もうとしているものは、今までの書籍とどう違うのか?どのような新しい表現ができるのか?文学・アートとして切り込めるのか?といったディスカッションを先生方と何度も行いました。その他にも、関連する分野や先行研究を教えていただいたり、完成後の売り出し方のアドバイスをいただくなど、いろいろな分野の先生から多くの意見を得ることができたので、これは本当に良かったと思います。

修士制作・論文

複数の教員が研究をサポート

映像研究科では、「修士論文・修士制作」のどちらかを選択できます。
どちらを選びましたか?

研究内容としては論文と制作のどちらでも選択出来たのですが、論文は長いより短い方が良いという私自身のポリシーがあり、制作物とその解説論文という形で短くまとめられる修士制作を選択しました。

それに、インタラクティブは実際に触ってもらうのが一番。作品を制作しそれをWEBからダウンロードできるようにすれば、より多くの人に体験してもらうこともできます。実体験を伴いながらコンパクトに研究内容を伝える方がより深く伝わりますから。・修士制作を行う中で、立命館の環境はどのような影響をもたらしましたか?最も影響を受けたのは、やはり研究を深められる環境ですね。映像に関するカリキュラムの幅広さや、先生方の専門領域の広さ、そして少人数だからこそ可能な学生一人に対して複数の教員が研究をサポートする指導体制。そして、学びたいという学生の気持ちを最大限に尊重してくださる先生方。私自身、バーチャルリアリティやメディアアートなど専攻外の研究室へも気軽に足を運ぶことができ、本当に様々な先生方から丁寧にご教授していただくことができました。立命館の映像研究科の人や環境を存分に活用し、自身の研究に多方面からの応用を加えられたことに感謝しています。

どのような修士制作が完成しましたか?

新たな読書体験の為のズームシステムと、そのシステムを活用したコンテンツを制作しました。

従来のズームは文字を拡大するものでしたが、私の開発した「TextLOD」はズームによってより詳細な内容を表示させ、ズームアウトで概略を表示させるといった「内容的なズームイン/ズームアウト」ができます。電子書籍の次のステージを切り拓く第一歩となったのではないかと思います。この修士制作の着眼点は、今あるデバイスを使って新しい体験をどう提供するかというゲーム的な発想と結びついています。専攻領域を軸に新たな視点をまた別のものへ応用する。それができたのは、常に視野を広くもち、幅広い学びを多くの指導を受けながら修得していけるこの環境があったからに他なりません。

将来

小説に新しいジャンルを

将来、実現したいことはありますか?

映像の知識や技術を応用して、小説に新しいジャンルを開拓したいと思っています。私は小説家を目指しており、新たな表現手法を生み出せればこれまでになかった小説体験を読者に提供できるのではないかと考えています。映像でできることは未知数です。映像研究科で学んだことを活かして何か新しいことを実現するために、大学や研究室こそ違いますが、博士課程で研究を続けています。

メッセージ

すべて自分次第

受験生へのメッセージをお願いします。

何を目指し、何を活用し、ここで何をするか。すべて自分次第です。入学したからには、とにかく頑張ってほしいと思っています。ここには素晴らしい環境があります。多岐に渡る学びのチャンス、充実の指導体制、視野の広がり。それをどれだけ自分の研究のために活かせるか。一日一日、自分にかかっています。だからやりたいことを、とことん突き詰めて頑張ってください。

在学院生・修了生の声