在学院生・修了生の声

たくさんの人と
関わりながらの“空間創造”

目次 護

あいだづくりめぐり~高齢者通所介護施設における
インタラクティブな空間の創造

志望動機

自分のために
その時の自分の気持ちに従ってみる

大学院に進学しようと思った動機は何ですか。

もともと大学院に進学する予定はありませんでした。就職しようかと考えていた頃に、学部で私がやっていた研究を見た他学部の先生に「目次君は絶対このまま研究を続けた方がいいよ!」と言っていただいたのをきっかけに大学院への進学を考えるようになりました。その先生とは一般教養のダンスの授業で知り合ったのですが、人生の進路を決めるきっかけはどこにだってあるのだと思います。大事なのは、自分のためにその時の自分の気持ちに従ってみることですね。

立命館大学大学院・映像研究科を選んだ理由を教えてください。

他の大学院も視野に入れていましたが、学部を立命館で過ごしてこの環境に慣れていたというのが大きな決め手です。学部時代から交流のある先生方もたくさんいましたし、この先もまた教えていただきたいなという気持ちもありました。ただ、研究をする環境、学ぶ環境というのは本当に重要ですから、自分のやりたい研究をするためにはどこに行くべきなのかぎりぎりまで悩みました。今改めて大学院での2年間を振り返ってみても、映像研究科を選んで間違いなかったと思っています。

研究フロー

おもしろいことを自由に追求できる環境

入学当初、どのような研究構想をもっていましたか?

映像学部時代に学んだことをもとに、人と人の関係をデバイスを使って違う視点から見ることができるのではないかと考えていました。例えば、人を感知するセンサーは自動ドアやエレベータに組み込まれることで社会に役立つものとして一般的になっています。でも、考え方次第でそれとは違う使い方はいくらでもできます。センサーで遊ぶ、そんな感覚ですね。そういった発想から「インタラクティブアートによって、人と人との関係性を再構築できるのではないか」というのが研究構想のスタートになりました。

その研究構想が深まった背景について教えてください。

私が所属していた研究室では、電子工作や木工作業などいろいろなものづくりを取り入れていました。映像に限らず広い視野でアイデアや知識を得る習慣が生まれ、「おもしろいこと」を自由に追求できる環境でした。毎週、先生と研究の進捗を共有する場があり、そこで研究の方針を固めていきます。先生と何度も何度も議論を重ね、細かなところまで繰り返し検討し、1年かけて構想の70~80%が完成。先生だけでなく他の学生からもたくさん意見をもらいました。人数が少ないので意見交換がしやすいというメリットがありましたね。インタラクティブは触れてもらってその反応を見たり感想を聞くことが大切なので、他の院生や先生に試してもらって意見を聞ける機会が身近にあるのはとても良かったです。

修士制作・論文

横断的な交流があちこちで行われている

映像研究科では、「修士論文・修士制作」のどちらかを選択できます。
どちらを選びましたか?

修士制作です。「インタラクティブアートによって、人と人との関係性を再構築できるのか」というテーマなので、課題を解決するためにはどんなインタラクティブアートが利用できるか考え、作って、試してもらい、その反応を記録し進めていく必要があります。研究そのものがたくさんの人と関わりながらの“空間創造”という制作なので、修士制作を選択しました。

どのような修士制作が完成しましたか?

修士制作のテーマは、「あいだづくりめぐり~高齢者通所介護施設におけるインタラクティブな空間の創造」というのですが、デイケアセンターを訪れ利用者やスタッフの様子を観察し、抱えている課題を見つけるところからスタートしました。空間を見ながら、どんな制作物なら自然に導入できるか、触れてもらえるかを考え、楽しんでもらうにはどうすればいいかを軸にいろいろなものを制作して持って行きました。季節感のある音が出ることによって会話が生まれた「サウンドクッション」や、上手く意志疎通のできない利用者とそのご家族のために設置した「手紙を入れると音が鳴る音楽ポスト」など、簡単な操作(接触)で使えるものを作りました。驚いたり、笑顔になったり、思わず言葉を発したりといった反応がありましたが、単に会話のきっかけを生んだというよりも関係性の潤滑油になれたのではないかと思います。インタラクティブはコミュニケーションチャンネルになり、「空間と人」「人と人」を結ぶ架け橋になれる。この修士制作によって、それを示すことができました。

修士制作を行う中で、立命館の環境はどのような影響をもたらしましたか?

総合大学であるというのはかなり大きなポイントだと思います。多種多様な分野の先生が揃っているので、研究過程で専門外のことが出てきても質問に行くことができます。実際私は、映像人類学の先生から修士制作の際に必要なフィールドワークの仕方やフィールドノートの作り方を教えていただき、また、学内の他学部の先生からもアドバイスをいただきました。研究に直接関わらなくても、横断的な交流があちこちで行われています。そこからまた新たな輪が広がって、とにかくいろいろな人に出会えます。その中に身を置くことで、思いもよらない情報が入ってきたり体験ができたり、発想が閉塞的にならず結果として研究に対する姿勢も柔軟になっていたように思います。

将来

映像を用いたエンターテイメントを生み出す

映像研究科での学びは、今の仕事にどう繋がっていますか?

今はイベント関連の映像の仕事をしています。主な仕事は映像やプロジェクションマッピングのオペレーターですが、デバイスを使ってイベントスペースを演出するなども行っています。百貨店でのインスタレーションなど会場や目的も様々ですが、そこにはゼミでやっていた電子工作やプログラミングの知識が活かされています。デバイスで何かおもしろいことができないだろうかといったエンターテイメント的な思考を仕事の随所で発揮できるのも、映像研究科での枠に捉われない様々な経験のおかげですね。

将来、実現したいことはありますか?

映像に関するすべてのことに携わってみたいです。今はイベント系の仕事をしていますが、イベントというフィールドだけでもまだまだ映像でおもしろいことができる。映像の“使い方”を考えて、それを現場で指示して、今までになかった楽しみ方を提供する。そんな映像を用いたエンターテイメントを生み出せる人になりたいと思っています。

メッセージ

自分の夢や気持ちに正直に

受験生へのメッセージをお願いします。

自分が思っていることを全部出してください。気張らずに、やりたいことを思いっきり伝えてください。自分の夢や気持ちに正直に。それを大事にしてください。それから、研究を進めていればつまずくこともたくさんあります。でも、大学院(修士課程)は2年しかないので、学部のようにゆっくり考える時間はありません。そんな時は自分の頭の中だけで考えようとせず、友達や先生、家族に相談して抱え込まないようにすることをおすすめします。一人で悩んでいる時間はもったいないですし、行動し続けてこそ次の道が拓かれますから。何事も自分が幸せになれる道を選ぶ。頑張ってください!

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