在学院生・修了生の声

自分の世界観を
アウトプットする手段を
もっと考察したい

山下 一騎

ゲーム制作がもたらす経験学習としての効果と役割の検証

志望動機

立命館大学大学院・映像研究科に進学しようと思った動機は何ですか?

 これは何も大学院進学時に限ったことではなくて、私は自分のやり方としていつも「将来に可能性を残す」ことを意識して今までやってきました。自分が「Aをやることが好き」だから「Aという道を選択する」とか、「Bという分野に興味がある」から「Bというコミュニティに所属する」とか、パターンを一つに絞るのではなくて、「Aが好き」だけど、「実はXやYという選択肢もあるのでは?」と常にいろんな可能性を模索しながら選択してきたんです。
 ゲームを制作したくて入学した映像学部で低回生時に手描きアニメーションを制作する団体にあえて入ったり、その工程で編集を担当したりしたのも、いろんなことにチャレンジして視野を広げたいという思いがあったからでした。
 だから、4回生で次の進路を考えた時も、就職という道ももちろん考えましたが、同時に大学院進学ということについてもかなり早い段階から意識してきました。そんな中で「大学院科目早期履修制度」(映像研究科に進学を希望する者で出願要件を満たした場合に、研究科の特定の科目を履修でき、またその修得単位を入学後に既修得単位として算入できる制度。詳しくは1月中旬以降に配布される募集要項にて確認)のことを知り、受講しました。これがとてもよかった。映像研究科の授業は学部の授業とはまったく異なり、より少人数で一人一人の受講生に費やされる時間が長い。私が受けた授業は一つのテーマに沿って受講生が発表していくのですが、ただ文献を引用してそのまま発表するのではなく、あくまで自分の研究テーマから見た視点で自論を展開し意見をする。この発表を学部生だった自分もしなければならなくて、かなり大変でしたが先生や先輩からの丁寧なフィードバックもあり、非常に中身の濃い受講になりました。
 この経験がかなり大きい決め手になって、自分もとことん自身のテーマを追究したいと思うようになり、映像研究科を受験しました。

研究内容

研究内容を教えてください。

 自分は高校生からプログラミングをやっていて、小説を読んだり書いたりするのも好き。自分の描いたストーリーに沿ってコンテンツを制作することのおもしろさに学部時代もどっぷり漬かりました。学部では卒業制作でプレイヤーがゲームの中で女子高生になりきってゲームを作り、その販売促進として公式webサイト、SNS、オープニングアニメーションを制作・運営するというチャレンジングなコンテンツを作りました。
 自分のもっている世界観をアウトプットすることは本当に難しいです。 まず何がやりたいのか、そこを明確にして、そのためにはどんな技術が必要かを調べる。自分ができることから出発するのではなく、あくまで「何のために」「何がやりたいのか」を掘り下げることがものづくりには重要だと思っています。
 だからというわけではありませんが、自分が今やりたいことは何かとつきつめたら、実は「ゲーム」という世界でなくても他の分野でもできるのではないかと思うようになりました。
 学部1回生の頃からとある生徒の家庭教師をしています。その子が中学校1年生の時からずっと教えています。不登校になったりと苦難はありましたが、勉強を教えて向こうが理解をしてくれて、志望校に合格した時の達成感は格別なものでした。
 この経験を通じて、「ゲームを『教育』に活かすためのコンテンツづくり」について考えています。ゲーム作りの楽しさと学ぶことのおもしろさを組み合わせて新たなコンテンツができないか、今そういった研究構想を練っています。

研究を進めるうえで、映像研究科に進学して良かったと思う点は何ですか?

 研究科に進学してよかったことはとても多いです。まず、先生との距離が近い。学部時代はあまり関わりがなかった先生方とじっくり話す機会が増えました。すると、今まで何となくさらっと聞いていた話が実は非常に深く、また自分にとって大きなヒントになることも多いとわかりました。「この先生、すごいな」と思うことばかりです。  
 あとこれはびっくりするような話ですが、大学院で開講されている実写映像制作の実習授業を一人で受講しました。密度がすごいんです。かなり贅沢です。1分の作品を制作しましたが、プリプロダクションからポストプロダクションまで全工程を一人でやりました。みっちりマンツーマンで指導いただき、ものづくりの工程が改めてよくわかりました。  
 来年は立命館大学のプロジェクトの一環で北アイルランドに渡り、「ゲームと平和」というテーマで発表をおこなうという話もあります。自分はまだ研究者としては卵ですが、こんなチャンスをいただけることは滅多にないので精一杯取り組みたいと考えています。  
 これからも可能性を広げることを念頭に、自分の世界観をアウトプットする手段を考察していきたいと思います。

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