研究科長挨拶

情報理工学研究科長 仲谷善雄

情報理工学部は2004年に開設され、今年10周年を迎えます。大学院はその後も、理工系で一体となった教育・研究を行うという趣旨から、理工学研究科の下で、前期課程情報理工学専攻および後期課程総合理工学専攻として継続してきました。グローバルに活躍できる情報通信系人材を育てるという社会的要請に応え、立命館大学の発展に大きく寄与してきました。

この間、情報通信技術は、社会、産業、教育など、あらゆる分野に浸透した社会インフラ技術となり、モバイル情報環境の急速な進展により、生活習慣、社会的意思決定方法、各種サービスの形態などが大きく変化しました。したがって、単に関連分野の知識や技術を有するだけでなく、このような社会動向を見極め、適切かつ高度なサービスを創出できる人材こそが、社会が求める人材であり、そのような人材の育成こそが我々の使命であると自覚しています。当然、サービスに国境はなく、世界的な視座を持って、グローバルに活躍できることが大前提となります。

そこで、研究のさらなる高度化、学部と大学院の教育のさらなる緊密化を図り、上記のような人材を育成するために、2012年4月に情報理工学に特化した大学院である情報理工学研究科として独立しました。もちろん理工学研究科とまったく独立に教育・研究を行う訳ではありません。情報通信分野の急速な変化に対応するために教育・研究の自由度を増して個々の技術のさらなる高度化を図り、それによって連携のレベルを向上させるという趣旨です。実際にも、理工学研究科、生命科学研究科、スポーツ健康科学研究科、経営学研究科などとも共同研究を活発に実施し、医工連携分野、防災分野、食糧農業分野、環境分野、電力分野、スポーツ健康分野など、重要な分野において幅広く連携して研究を推進しているところです。

本研究科ではこれまで、「ベトナムIT人材育成支援プロジェクト」や「アジア人財資金構想プロジェクト」などの先進的な国際プロジェクトに先駆けて取り組んできました。そこでの経験を踏まえて、情報理工学研究科の各コースの下に国際プログラムを設置して、留学生(日本語基準・英語基準)の受け入れを積極的に行い、日本人学生と留学生がともに教育を受け、研究を進める環境を整備するとともに、国際社会で活躍できるグローバル人材の育成を行っていきます。例えば、みらい塾は、「平成24年度文部科学省グローバル人材育成推進事業」に採択された取り組みで、情報通信技術を基盤として、コミュニケーション能力、プレゼンテーション能力、チームワーク力などの社会人基礎力と、それらを英語によって活用・運用できる力を備えた人材の養成を、学部から大学院前期課程まで継続して行うものです。留学プログラムとしては、インド・プネのSCIT(シンビオシスITビジネススクール)への5週間の短期留学制度や海外インターンシップ制度があります。今年度からは、ロシアのTUSUR(トムスク国立制御システム無線電子大学)との交換留学制度が始まります。さらに、海外大学とのDMDP(Dual Master Degree Program)などを積極的に推進しています。メキシコやインドから、3~6か月の大学院生や社会人の受け入れも行っています。

研究においても、産官学および地域との緊密な連携の下に、現実世界と仮想世界を融合させた複合現実感技術、祇園祭や能などの日本の文化をデジタル化して次世代に継承しようという日本文化デジタル・ヒューマニティーズ、土木・センサ・情報通信の技術を融合した防災・減災プロジェクト、音響技術で生活を豊かにする研究など、独創的なテーマで国から大型の予算を獲得して、世界に誇る高水準の成果を挙げてきています。多くの教員や大学院生が国内外の論文誌や国際会議で成果を発表し、優れた賞を受けてきた歴史は我々の誇りとするところです。