座談会

専門性を活かして
活躍するために大切なこと

2020年11月18日(zoom開催)

参加者紹介

参加者の経歴は座談会開催当時のものです。

  • 司会山田 泰弘 教授
    立命館大学法学部
    法学研究科

    専門は商法・会社法。

  • 井上 敦子 さん
    2001年3月修了

    日産自動車株式会社

  • 和食 光洋 さん
    2016年3月修了

    パナソニック株式会社

  • 春日井 遥花 さん
    法学研究科 M2

    積水化学工業株式会社 法務職 内定

法律を学ぶことが
楽しく、意外なくらい面白いという純粋な理由で
大学院に進学しました。

山田教授

本日は、主に法学部生の皆さんに向けて、法学研究科のロールモデルの1つである法務職、特に企業法務について理解を深めていただくため、企業法務に関わる3人のパネラーの皆さんにお越しいただきました。
企業法務といえば、学部生の皆さんにとっては、仕事の具体的なイメージが湧きにくいのではないかと思います。そこで、実際に企業法務に携わっておられるお2人に実際の仕事の内容をはじめ、弁護士との違いや就職活動についてもお話しいただきたいと思っています。聴講者として参加してくれた企業法務職に内定している現役の学生さんにも、時間が許せば、就職活動の実際について教えていただこうと思います。
もちろん、キャリア形成として、大学院に進学することの意義もお話しいただこうと考えています。なぜ大学院に進学するのか、法学系には、司法試験受験を目的とした法務研究科と、それを目的としない法学研究科とがございますので、進路決定の際、何を基準に比較検討すればよいかということも触れられればと思います。

井上さん

日産自動車株式会社の法務の井上敦子と申します。学部生の時は、国際法や比較法中心に履修し、英語力を伸ばす学習をしていましたが、3回生で履修した会社法が意外なくらい面白く感じ、もう少し深く勉強し、研究者・アカデミックな世界も視野に入れ、法学研究科に進学しました。そこで企業法務の先生の授業を取った時に、自分の適性はこれだと感じ、法務職を目指して就職活動をした結果、1社目となる日立機電工業株式会社(現 株式会社日立製作所)に就職しました。その後、2社目のサンスター株式会社、現在の日産自動車株式会社と、業種業界は違いますが、いずれもメーカーで、ずっと企業法務の仕事に携わっています。

和食さん

パナソニック株式会社の和食光洋です。私が立命館大学から大学院に進学したのは、ゼミの先生が大好きで、純粋に、その先生と一緒に学ぶ法律が楽しかったという理由につきます。2016年に修了し、パナソニックに入社。数年間は、電子部品の製造、開発、販売の現場を支援するために、営業担当者と一緒に契約書を作ったり、コンプライアンスに関する相談や教育をしていたりしました。その後、リスクガバナンス本部で株主総会や取締役会に関わる仕事も経験しております。
企業法務の仕事内容は、その時の会社の立ち位置や役員の考え方によって変わる部分もあると思います。私も、法務のままでいるべきか、法的な素養を持った人材として経営など別の職種にもチャレンジすべきか、少し悩んだ時期があり、今は法務を飛び出して、コーポレート戦略本部という、経営企画部門で仕事をしています。

春日井さん

法学研究科2回生の春日井遥花です。積水化学工業株式会社の法務部に内定をいただきました。私が大学院に進学したのは、学部時代、法律を勉強して面白いなと思ったのが最初です。その後も民法ゼミで契約について学んだり、ゼミ論を書いたりしていくうちに、法務職に就きたいと思うようになりました。

臨床や予防だけでなく、
経営上の課題に対して、
企業買収などの法的手段を
経営企画と実行するのも企業法務の仕事です。

山田教授

次に、各社の具体的な仕事内容についてお聞きしたいと思います。
企業法務は3つの柱で成り立っているといわれます。臨床法務、予防法務、そして戦略法務ですね。臨床法務は、臨床医が目の前の患者さんに手当をするのと同じく、現在生じている問題、紛争に対応するものです。次に予防法務。事前に紛争を予防するためのもので、コンプライアンスや内部統制と呼ばれるものになろうかと思います。最後が戦略法務です。問題が起きてから対処をお願いする臨床法務や、営業活動がある程度固まった段階で法務職へ相談に来る予防法務に対し、戦略法務は、法務職が営業戦略の案を作る段階から経営企画等と一緒に参画して、法を利用して経営課題を実行するものです。
企業ごとに三つのうちのどれを重視するかや、それぞれの具体的な内容は違うとは思いますが、今現在のお仕事内容についてお話しいただけますでしょうか。

井上さん

どの会社でもこの3分野は柱となっています。臨床法務は、昔も今も、取引の相手方とのトラブルや自社の従業員の問題などの法的な問題は常に予期できないところで発生するので、法務が対応する領域として必ず存在すると思います。予防法務の分野については、私は3社経験しているんですが、コンプライアンスをどこの部署で担うかは、会社によって異なるという印象です。
私自身が一番面白いと思っている分野が戦略法務です。他社の株式を一部取得するようなプロジェクトは、秘密裏に、会社の中でも本当に限られた人員で物事が進んでいくのですが、契約の中身を詰める段階から法務が中心に入ってプロジェクトが進められることが多くありました。異業種とのジョイントベンチャーを設立するといったプロジェクトなども、初期の段階からしっかり法務が入って、契約交渉など半分プロジェクトマネージメントのようなこともしており、ハードですが一番面白いですね。

和食さん

臨床法務の最大の特徴は、現場が抱える問題を法的に議論ができるようにすることだと思います。具体例でお話しさせていただきますと、開発のおっちゃんが席に来て「買ってきた部品がガタついているんだよ」と言ってきます。クレーム案件ですねと伝えると「クレームってどうすればいいの」という話が始まります。「どこから買ったんですか」「どんな不具合ですか」などを聞きながら、契約書の内容を確認し、契約条件として設定された部品の品質を満たしていないとなれば、相手方に部品の再納入を求めることができます。そうでなければ、契約書の内容変更の交渉が必要になりますし。
現場の困りごとは、法的に整理をされた形ではありませんので、こうして話をした上で、法的議論として会社の利益を守る解決を導くのが、臨床法務のイメージです。この種の話は毎日のようにあり、臨場感をもって楽しくできる仕事です。
予防法務は会社ごとに違うと思いますが、私の経験では、2年前にグループ企業全体で法令遵守の体制を作る目的で、ITのシステムを作る仕事がそれに当たると思います。ITのベンダーと、法律が要求する条件はこうなっているから、ITのパラメーターをこう設定しなければ法律の遵守の確認ができません、などと話しながら一緒に作っていました。
戦略法務は経営上のぼんやりした課題に対して、企業買収や他企業との提携などを含め、法律上の障壁を除去し、「できないこと」をできるようにするよう提言をすることであり、企業法務の活躍する場面です。

企業法務は汎用性がありどこでも通用するスキル。
ジョブ型採用への変化で新卒にもチャンスがあります。

山田教授

企業法務は業務が業種を超えて近似し、スキルの、汎用性が高いため、転職や中途採用が多く、また部署の規模が小さいという特徴があると思います。このため、新卒の枠が狭いというイメージがありますが、皆さんの会社ではいかがですか?

井上さん

法務部がやることは多いですし、結構重要なことをやっているんですけど、人数が少ないという印象は社会人になった時からありました。当社には、法務部には35人くらいの人員がいますが、事業規模を考えると他社に比べて少ないといわれます。もっとも、業務内容の近い知的財産部もあり、そこでは法務部の2、3倍程度の人員を抱えています。
新卒採用は多い時で年に1人か2人です。私自身2度の転職をしていますが、周りを見ていても中途採用が多いと感じます。逆に、法務のバックグラウンドがあって他部署に異動したいと思ったときは、かなりプラスの評価をしていただけることが多いという印象を受けています。しっかり文章が読める人というイメージがあるのだと思います。
私は異業種のメーカーを渡り歩いていますが、法務として求められる法律の知識は大きくは変わりません。そういう意味で汎用性があるのは確かです。もっとも、最近は法務を希望する新卒者の専門職採用をする会社もあると認識しています。

和食さん

私の時も専門職として募集されておらず、最後まで法務に就けるかどうかは分かりませんでした。中途採用や人材の流動性については、これもおっしゃる通りですが、現場に近い所は、新卒で入社したプロパーの人が多いかなと思っています。現場に近いところでは、法律の専門性が高い人よりも、会社の中のことを理解している人でないとコミュニケーションがうまくいかないので、新卒のニーズが十分あります。逆に本社部門では半分以上が中途採用だったと思います。しかも弁護士事務所からワークライフバランスを求めて転職を希望してこられた人が多かったです。

山田教授

メンバーシップ型雇用とジョブ型採用についてはいかがですか?日本企業では職種を決めず採用することが多く、職種ごとに専門性で採用することが少ないように思いますが?

春日井さん

総合職採用の場合だと、ジョブローテーションがあることが多い、メンバーシップ型採用だと思います。そのため、法務職への意欲を積極的にアピールすることが必ずしも評価されるとは限らなくて、私も、総合職採用の企業のエントリーシート(ES)に「法務に就きたい」と書いたら結構な確率で落とされました。この場合には、その企業でなにをしたいかが重視されていたように思います。一方で、専門職採用の場合は、法務部への配属が確約されるので、その企業に入りたいという気持ちがあることを前提に、なぜ法務か、その素質はあるかも相当見られていたように思います。企業によっては、新卒は法務部への配属がないということもあります。そのため、ESを書く前にHPや説明会などで、法務部への配属があるか、定期的なジョブローテーションはあるかを確認すべきだと思いました。
メンバーシップ型で、職種を定めない採用が多いのは確かですが、法律専門職を別に募集することも目にしています。積水化学工業株式会社では、法務職の専門職採用の募集があり、私はそれに応募し、内定しました。

山田教授

メンバーシップ型の採用でも、職種で希望が述べられたり、ジョブ型の採用として法務職の募集されたりする面もあるのですね。「ジュリナビ」や「モアセレクションズ」といった法務職専門の求人サイトもあり、ロースクール(法務研究科)卒、有資格者だけでなく、広く利用できる環境になりつつあるのも変化を感じます。

相談内容を理解し、整理できるのは
業界や会社のやり方に精通した人材。
そこに弁護士資格の有無は関係ありません。

山田教授

学部生の皆さん、法務のイメージはできましたか?聞いておきたいことはありますか?

学生1
(4回生・法務職内定者)

私は学部4回生で、自動車メーカーから法務として内定をもらっています。弁護士資格がない人と弁護士とで、法務の中での役割が変わってくるでしょうか。

井上さん

私は弁護士資格をもっていませんが、有資格の方も、資格を取ってすぐに入社する場合は、弁護士としての経験がないので、我々と何も変わらないんですね。担当する業務もそんなに変わりません。弁護士として一定のキャリアを積んだ後に転職して来られる方は、現場で生産や開発に携わる人のお話を聞いて対応する分野より、М&Aやストラクチャーファイナンスなどの仕事をするという傾向があると思います。

山田教授

企業内部ではなく、外の弁護士さんに依頼する場合もありますよね。外の弁護士さんにお願いすること、社内の弁護士がやること、さらに資格がなくてもやれること、その区分けはどうなっていますか?

井上さん

法務部に相談に来る営業や開発の人たちの話は、同じ会社の私たちでも、何が言いたいのかがよくわからない内容が多いんですね。あなたがやりたいこと、懸念していることはこういうことですか?と、噛みくだいてあげる作業がどうしても必要です。社内で問題が起こって、外部の弁護士さんのアドバイスを求めることになった場合も、私たちが間に入って、事実関係を噛みくだいて整理しています。その役割は絶対に必要です。弁護士とのやりとりでも、業界の慣行や会社独自のやり方を理解しているという点でも企業法務の価値は大きいと思います。

和食さん

おっしゃる通りだと思います。あとは業務にもよるかなと思います。日本国内の企業と揉めた場合は日本の弁護士さんと一緒にできると思うのですが、実際には典型的なドメスティックの話はあまりなくて、例えば海外現地工場の従業員が暴れていますなどという事案の場合なら、有資格者でも太刀打ちできません。自分たちで内製化できる業務や、国内の訴訟を担当する場合は、確かに有資格者の方が有利だと思いますが、株式公開など高度に専門的な案件では、いずれにしても外部に聞くことになります。ある程度ゼネラルにお悩み相談を受けて問題解決をする場合は、会社の中のことを理解しているプロパーの社員も重宝されていると思います。そこに資格の有無は関係ありません。

さまざまな角度から質問を投げかけ
事実をあぶりだす能力が
企業法務にとって重要です。

山田教授

次に、新卒で企業法務を目指す際に必要な専門性や能力についてお話をいただきたいと思います。まず学生の春日井さんに、就職活動で感じられたことをお聞きしたいと思います。

春日井さん

新卒で入る場合、法的な知識という意味での専門性はそこまで高いレベルで要求されていないと思いました。先ほどお話しされていたように、専門性の高い部分は中途採用の方や外の弁護士の方などに聞くこともできるので、むしろ新卒で要求されているのはポテンシャルの部分をアピールすることなのかなと感じました。どんな仕事をしているかというのを理解していないと、その仕事に必要な資質や能力が自分に備わっているとアピールできません。今日のような機会を利用して、どういう能力が必要かを知り、その上でエピソードと絡めながら自分に能力があるということを証明していくことが大事だと感じました。

山田教授

企業側の視点からはどうですか?

井上さん

企業も、この分野のこの知識が必要ですとは求めていなくて、法的な思考、素養があるかどうかが重要だという気がします。日々、いろいろな相談があるのですが、相談者が、私たちに必要な100の事実を話してくれるとは限らないんですね。都合が悪くて隠している場合もありますし、話さなくてもよいと勝手に判断している場合もあります。でも実はそれを聞いたかどうかによって私達の判断が大きく異なってくることがあるのです。ですから、いろいろな角度から質問を投げかけ、事実をあぶり出す能力が重要なんですね。それから、問題の解決法としてはこういうパターンがあります、でもそこにはこのような課題やリスクがありますという、問題解決の提案能力も非常に重要だと考えています。

和食さん

目の前に課題がある時に、それがどういう法律問題になるのかというセンサーが働くかどうかが、企業法務にとって一番大事なのだろうと思います。
学部の中でどんなことを勉強したらよいかという点については、やはり幅広くさまざまな法律を勉強することがセンサーの感度を良くする意味でも大事だと思います。「私はさまざまな法律を勉強しました。ちゃんとセンサーを持っています」ということをしっかり説明していくということです。それが、経理や人事などどこにでも配属できる文系の学生を、法務職で頑張ってもらおうと評価することにつながるのだと思います。

大学院へ進学したことによって
法務職への意欲や専門性を
担保できるのだと思います。

山田教授

文系学生はゼネラリスト的な採用になりがちな状況の中、どうすれば専門性を活かした企業法務のようなポジションを目指せるのか、そこに大学院修了生と学部卒業生との違いはありますか?

春日井さん

就職活動で感じた学部生と大学院生の違いは、インターンシップの重要性です。私自身、大学院では授業が忙しくて、就職活動に時間をかけられませんでしたし、インターンも授業の一環で法務実習に行っただけでした。一方、学部卒で法務職に就職した友人は、3回生の6月ぐらいから長期のインターンにいくつも行き、TOEICのスコアを上げる努力もしていました。私の考えですが、大学院生は、大学院に入学して勉強したという、そのこと自体によって、法務職への意欲や専門性が担保されているのかなと思います。学部生は、自分自身の行動を通してそれらをアピールしなければならないので、インターンや資格を早い段階から準備する。そこが違いかなと思いました。

学生1
(4回生・法務職内定者)

私が就職するのは自動車メーカーの法務ですが、他の大手メーカーなどにも法務インターンシップで参加をしました。その時は院生が主体で学部生は私1人でした。なぜ学部生のインターンを受け入れたのかと話を聞いたところ、やはり普通の人の意見も取り入れたいということでした。
採用の際の面接でも、法律的な知識についてはほとんど聞かれませんでした。学部生には、法的な素養ぐらいは求めていると思いますが、深い専門知識は求めてないというのが実感です。

井上さん

法務の仕事は向き不向きが出やすい職種だと思うんですね。出身学部だけで判断すると、どうしてもミスマッチが生まれます。専門職採用なら、この仕事をしたい人が入ってきてくれるので、それは少なくなると思います。この仕事を理解した上で、やりたいという思いを持って入ってきてくれる人は、法務という職種でそれなりにやっていけるのではないかと感じています。

和食さん

今、新卒に求められているのは、専門性より、何に関心があるのかということを含めた自分の個性を、自分自身の経験や歩んできたプロセスの中で説明できることなのだと思います。大学院に進学して法律を勉強する、他の人よりも社会に出るのが遅れるということを、どう説明するかが大切だと思っています。

目の前の社会問題を
法的に評価し、期限までに解決する能力は
法学研究科で身につきました。

山田教授

立命館大学には法務研究科と法学研究科という2つの研究科がありますが、企業法務の立場からはその違いはどのように見えるでしょうか?

井上さん

採用する側としては、法務研究科出身か法学研究科出身かで、専門性の評価を変えることはないと思います。ただ、「ロースクールがある中でなぜ法学研究科を選んだのですか?」は、必ず聞かれると思うんですね。それぞれ判断の根拠が必ずあると思うので、自分の選んできた道をぶれることなく説明できれば、どちら出身でもメリットやデメリットはないと感じています。

和食さん

私が研究科を選ぶときは、ロースクール全盛の時でした。法務研究科に進学した同期の話を聞いていると、法務研究科で求められているのは、司法試験というゴールがあり、各科目をどう解くかをしっかり考えられる研究科です。幅広いアンテナ、専門性が身につくという意味ですごく魅力的な進路でしたし、企業からもそう評価されると思います。
一方、法学研究科はイメージが湧きにくいかもしれません。私にとっては、指導教員に言われたことが端的にそこでの学習を示していると思います。指導教員には「修士論文っていうのを書いてください、テーマも自由、何を書くかも自由、どういう分析をするかも自由、決められているのは期限だけです。ただ、法律に関する専門性や、新規性も含めて検討してテーマを決めてください」と。そこで求められていたものは何だろうと考えた時に、今、私が会社の中で求められているものと同じで、目の前に転がっている社会の問題をどう法的に評価し、解決を提示するかということだと思うんですね。
法務研究科では、事務的に処理する能力、臨床的に物事を白か黒かで整理する能力が身につけられると思います。逆に、私が経営企画部門でやっているような、今ある課題をどのように法的に解決するか、期日までにまとめるためにマネイジメントする能力は、法学研究科の方が身につくのかなと思います。企業法務の仕事の中でも、臨床系の仕事、企画系の仕事、どれがやりたいのかを考え、各研究科の特性を見極めた上で選ぶと良いのではないでしょうか。

春日井さん

私も、どちらを選んでも就職の上で有利不利はないと思います。どんな職業に就きたいか、どんな勉強がしたいのかということで決めたらいいのかなと思います。法務研究科と法学研究科は、授業内容や勉強方法もかなり違っているので、きちんと聞いた上で、自分がやりたいことをよく考えて進学すれば、楽しい学生生活になるのかなと思います。

大学院の議論で身についた
物事を突き詰めて考える力は
今の仕事で大いに役立っています。

山田教授

最後に、学部生の皆さんにメッセージをいただけますでしょうか。法学研究科での学びが就職活動や実際の仕事で役立ったというお話などもいただければと思います。

春日井さん

ESに書ける内容という点でも、英語の勉強はしておいた方がいいと思います。私自身はあまりしていなくて、今追いつめられているので、皆さんは今のうちから取り組んだ方がいいと思います。就職活動では、法学研究科の授業での活動そのものが「学生時代に力を入れたこと」として自信をもって書けました。授業の活動が全てゼミ形式なので、自分で調べてレジュメを作って報告して議論してという一連の全てが自分の力になったと思います。

井上さん

私も、やっておいてよかったと思うのが英語です。留学経験はありませんが、立命館にはいろいろなプログラムがあり、それを徹底的に利用して、ネイティブの先生の授業も受けていました。図書館の英語の学習教材や、テレビやラジオの講座を活用し、就職時にはそれなりのTOEICのスコアになりました。すると、社会人1年目に海外出張のチャンスをいただくことができました。
専門の勉強もしながらなので大変ですが、社会人になると学生時代以上に時間がなくなりますので、ぜひ学生時代に語学能力を磨くということをやられると良いと思います。

和食さん

私も、学生時代に学んでおくべきなのは英語だと思います。私も学生時代は英語が苦手で、上司がアメリカ人だった時期は本当に苦労しました。どこの会社に行っても英語は必要です。加えて、法務以外の部分のセンサーを磨く意味でも、簿記や会計などを幅広くやっておくのはすごく大事なことだと思います。
法学研究科での授業は演習形式で、どのような授業でも、先生から「本当にそうか?」と問われ続け、ここまで深く考えなければならないのかと知ったことが重要でした。物事を突き詰めて考える経験は、人生の中で1回はやっておいた方がいいと思います。会社に入ると「正解」はありません。1から100までの選択肢の中で88番がいいと思います、理由はこうですと説明しなければならないのです。すると「本当にそうか?」という話に戻ってくるんですね。ちゃんと自分でものごとを考える能力も一つの専門性と表現して良いと思うぐらい、今の仕事に役立っていると思います。

山田教授

学部生へのメッセージも含め、企業法務の実態や採用状況を知り、法学研究科をキャリア形成の中で位置づけるロールモデルを知ることができました。今日は有意義なお話をお聞かせいただき、本当にありがとうございました。