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調査・提言事業
Investigation / Recommendation Projects

 
 国際協力銀行(JBIC)提案型調査案件
 契約期間 2005年3月4日〜2006年4月28日
 調査名:スリランカ「適正技術を用いたプランテーション労働者の生活改善」

概要
 スリランカの紅茶プランテーション農園で働く労働者の殆どは、19世紀のイギリス植民地時代に安価な労働力としてインドから移住したタミル人の子孫です。

 民営化の過渡期にある現在でも、勾配の急な山の斜面に位置するプランテーションでは、社会的・経済的・文化的な隔絶により、劣悪な労働条件を強いられており、未整備もしくは老朽化した住居・水道や道路等の基礎インフラが老朽化し、未整備であることによる劣悪な生活環境を余儀なくされています。

 本学では、名古屋のNGOである「自立のための道具の会Japan」と共同事業体を組み、スリランカの紅茶プランテーション地域居住者の生活改善プロジェクトとして、簡易式マイクロ水力発電システムの設置と住民による運営管理組合の組織化、住民の水利用に対する意識向上と水利環境改善 ―雨水タンクの設置及び住民による運営管理組合の組織化、ヤシ殻炭による浄水器普及、節水の啓蒙活動―、講習会を通した技術支援を行います。
具体的な取り組み

プロジェクトの内容を、時系列にご紹介します。

Step 1パイロット・プロジェクト形成基礎調査

3月度には、プロジェクト形成基礎調査として3つのチームを構成し、現地調査を実施しました。これにより、後に続く住民組織化、及びパイロット・プロジェクト実施に向けての課題を整理しました

設備導入技術調査(2005年3月)
8月度に実施される、簡易式マイクロ水力発電システム、雨水タンク及びヤシ殻を用いた浄水器の設置に向けて、地形調査、設備導入各戸調査、技術移転調査等を実施しました。

エステイト・マネジメントとの協議 
簡易式マイクロ水力発電システムの
パイプ設置候補地選定

社会調査(2005年3月)
受益者となる対象住民の生活や労働環境、コミュニティ形成について調査するため、社会調査を実施しました。集団でコミュニティの問題を認識し、討議し、発表し、共有するプロセスを大切にする、アウェアネスやエンパワーメント要素の強い、参加型手法が用いられました。

住民組織リーダーへインタビュー
参加型ワークショップ

既存プロジェクト評価(2005年3月)
本調査においては、共同事業体を締結している「自立のための道具の会Japan(TFSR)」の、スリランカにおける類似既存事業の評価を実施しました。

TFSR既存プロジェクト評価:
雨水タンク
TFSR既存プロジェクト評価:
ヤシ殻を用いた浄水器

 

Step 2 住民組織化/ジェンダー調査・配慮

5月13日−5月22日にかけて、パイロット・プロジェクト実施サイトの住民の組織化、及びジェンダー調査・配慮を実施しました。

住民組織化(2005年5月)
設備導入及び維持運営管理に関して住民と協議を持ち、運営維持管理組合を組織化しました。また、リーダーシップ養成を目的として、ローカルNGOである「Palm Foundation」既存サイトへの研修視察を実施しました。

住民討議
研修視察

ジェンダー配慮(2005年5月)
本パイロット・プロジェクトは、パイロット・プロジェクトの計画策定から実施において、ジェンダー配慮が横断的になされています。5月度調査においては、女性及び男性に裨益するジェンダーの視点を組み入れる工夫や措置を講じるため、ジェンダー調査を実施しました。また、ジェンダー配慮として、男女双方の内面への働きかけを通した本質的な結果を求めていく活動であるジェンダートレーニングを5月、8月の2度に渡って実施しました。

ジェンダートレーニング
ジェンダートレーニング

 

Step 3 パイロット・プロジェクトの実施

プロジェクト形成基礎調査、及び住民組織化の結果に基づき、7月度より簡易式マイクロ発電の基礎工事、雨水タンクの施工等、住民参加による施工がスタートしました。7月下旬から8月中旬にかけて、設備技術の本格的な導入として電気、左官(雨水タンク)や炭焼き(浄水器作成)等の専門家が現地に派遣され、設置及び維持管理技術の講習会を実施しました。また、組合規定の成立、運営維持管理組合への帳簿管理等トレーニング、ジェンダートレーニングも重ねて実施されました。

簡易式マイクロ水力発電システムの設置及び維持管理技術講習会(2005年7月)
集落内を流れる川に堰を設置し、その堰からパイプを通して水を下流部に運び、その落差をいかして発電装置を設置しました。スリランカのNGOであるIntermediate Technology Development Group/South Asia (ITDG)をカウンターパートに、住民の参加を得ながら設置作業を行いました。

簡易式マイクロ水力発電機
バッテリーチャージセンター

雨水タンクの設置(2005年7〜9月)及び左官技術講習会(2005年8月)
レンガによる円形タンク5つを丘の上に設置し、タンクに溜まった雨水が水道管を通って村落内の共同水場に流れる給水システムを設置しました。タンクの内外、また、共同水場には、左官技術講習会が行われ、日本の左官職人から現地の職人への技術移転が行われました。

左官による雨水タンクの壁ぬり
クリケットのレリーフを入れた共同水場

ヤシ殻を利用した炭焼きと炭を使った浄水器作成講習会(2005年8月)
雨期の時期に貯めた雨水を乾期に使用する場合、水の中の汚れを除くために浄水器を使用することが有効です。炭には、浄化作用が強く、日本では市販の浄水器の中にも一般的に使用されています。今回の講習会では、家庭で作成できる浄水器を作成するために、炭焼きを行い、焼いた炭を利用して浄水器を作成しました。

炭窯の口焚き
浄水器の材料説明

 

Step 4 事業評価

パイロット・プロジェクトの事業評価(2005年9月)
9月14日−9月22日にかけて、パイロット・プロジェクトの事業評価を実施しました。これにより、パイロット・プロジェクトの総括、またスリランカ政府への事業提案がまとめられました。

住民にアンケート調査
水質検査

 

Step 5 スリランカ政府への提言

フィードバック・ワークショップの開催(2006年3月)
3月20日に、スリランカ政府プランテーション産業省において、フィードバック・ワークショップを開催しました。当日は、プランテーション産業省、プランテーション会社、現地NGO、モラツワ大学、JBICコロンボ事務所など、多くのスリランカ国関係者が参加しました。これは、本パイロット・プロジェクトの結果をスリランカ国関係者に報告するとともに、その成果を今後活用していただく一助とすることを目的としています。

ワークショップ風景
教材ビデオをプランテーション産業省へ贈呈

 

コラム

本プロジェクトには、本学の学生が多数携わっております。3月度社会調査及び8月度パイロット・プロジェクトに国内準備の段階から参加され、現地調査にも同行された、本学課外自主活動登録団体である「自立のための道具の会・京都支部」の奥村麻由さん(当時国際関係学部2回生)から、コメントをいただきました。

私はプロジェクトに、3月度と8月度の2回に渡り、調査補助として参加しました。参加を決めた理由は、以前から国際協力に興味があったため、実際に現地で活動できるということをとても魅力的に感じたからです。3月度に初めてプランテーション地域を訪れ、集落を歩きながら各戸調査をしたり、村の人々と参加型ワークショップを開きました。彼らと話をし、時間を共有することにより、村の人々の暮らしや現状を肌で感じることができました。参加型ワークショップでとても楽しそうにしている、村の人々の顔を忘れることはできません。8月度調査においては、私は炭焼きの講習会を担当しました。専門家の指導を熱心に聞く村の人々と、彼らの手の器用さにとても驚かされました。完成した水浄水器から流れた水を喜んで、おいしそうに飲んでいました。それを見た瞬間、私はこのプロジェクトに参加して良かったなと感じました。プロジェクトに参加するなかで様々な人との出会いがあり、特に対象者となるプランテーションの人々からたくさんのことを教えてもらったように思います。私はこの貴重な経験を、今後の糧にしていきたいです。

お問い合わせ先

国際協力事業課
TEL.075−813−8207
FAX.075−813−8206

 

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