甲斐 秀樹

2005年

国内重工メーカー

あなたにとって、
「国際関係学部」はどんな存在ですか?
海外に興味はあるけど、自分でその足を踏み出せない、どう踏み出したら良いか分からない時に様々なチャンス・機会を提供いただいた存在でした。私はカナダUBCへの留学を選択しましたが、世界数十カ国からの学生が一つの教室に会し、プレゼン・ディスカッションを通じて一つの目標を達成する楽しさはその後の職業選択や世界観に大きな影響を与えたと感じています。
あなたの「今」を国際関係学部で学んだことと
関連づけて語ってください。
重工メーカーにて、南アジア諸国の電力会社向けに火力発電設備のマーケティングおよび販売を担当しています。国の電力政策は、経済成長(例えば、自国製造業の成長戦略)、エネルギー供給、環境規制などに深く関わっており、国際関係学部で学んだバックボーンが日常業務での一助となっています。そういった政策を踏まえ、自社の製品・技術、時には他社とのコラボレーションで以って如何にしてお客様に響く問題解決ストーリーを描き、社内関係者を引っ張り実行に移せるかが仕事の醍醐味であり、日々奮闘しています。
あなたの「越境」体験を教えてください。
インド企業との合弁会社への出向と思います。インド北西部のグジャラート州(ムンバイの北400km)にある蒸気タービン発電機の合弁会社で、営業及び経営企画を担当していましたが、公私共々それまで経験したことない越境の連続でした。
生活面ではドライステートでお酒は自由に飲めず、人々はベジタリアンがほとんどで、市場では肉・魚はほぼなく、日本食は当然なく、調理料など材料を集めるところから苦労しました。飛行機に乗ってシンガポールまで買い出しに出かける事もありました。夏季は気温が40度を超え、停電が頻発すると、クーラーはつけられず、窓を開けて網戸にしても蚊に刺されて感染症のリスクがあるため、窓を開けず30度を超える室内で過ごします。何もせず起きてるだけで心身に負荷が掛かっている感覚です。
仕事では、遠慮なく力いっぱい自分の要求を突きつけてくるインド人と毎日議論を重ねることで、次第に冷静に飄々と業務に取り組めるようになった気がします。また、利害が対立する場面がよくありますが、夫々の主張が生まれる背景まで探って、相手の本質を理解しようとしてからは、物事を複眼的に捉えるクセがつくようになり、色々解決の知恵が湧いてくるようになりました。
インドでは日本の高品質が必ずしも現地の人々から求められているとは限らず、少しくらい壊れたって直せば良い、品質が少し劣っても機能すれば安いほうが良いといった考え方が根底にあります。インフラ輸出の最前線に立つことで、私自身がどう進化して貢献できるのか自問自答しながら、よりニーズにフィットした製品・サービスを提供できるようになり、結果として日本の海外でのプレセンスを上げられるようになりたいです。