田中 佑依

2012年

田中 佑依

NGO勤務

あなたにとって、
「国際関係学部」はどんな存在ですか?
多様性と出会い、世界への想いを具体化し、実現へと近づけてくれた場所。
あなたの「今」を国際関係学部で学んだことと
関連づけて語ってください。
国際関係学部では途上国開発コースに所属していました。入学当時から、漠然と世界の不平等をどうすれば解決できるのかということに興味がありましたが、卒業後のキャリアについては明確なイメージが持てていませんでした。そんな中、国際関係学部の教授には、途上国の現場で豊富な経験を積んできた方や、国際機関での勤務を経験されていた方などもおり、また放課後には大学主催のキャリアセミナーでNGOに勤務をしているOGの講演を聞いたり等、それまでの私の世界には存在していなかった人々と出会い、話す機会を持てたことが、今の私に繋がっている気がしています。実際、私は民間企業での勤務を経て、現在はNGOでアフリカの難民支援に携わっていますが、それも学生時代の様々な出会いがあったからだと思っています。
あなたの「越境」体験を教えてください。
学部時代、私は大学を1年休学し、ケニアやバングラデシュでのNGOでインターンを経験し、その後、「長い人生、まずはビジネスを通して途上国の発展に関わってみたい!」と思うようになり、総合商社へ入社し約5年間勤めました。入社後はレアメタルのトレーディングに関わり、念願だった途上国との関わりを多く持つことが出来ました。初めは右も左もわからず、毎日が必死…。失敗の連続で、悔しくて、情けなくて涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら家路につく日々も数知れず。それでも、海外に出張し「現場」を見る度に、「私が東京であくせく働いている間に、地球のどこかで、どれだけ多くの人の雇用を生み出しているのか」ということ、「一国の発展を支える経済の営みの一部にでも関わることが出来ている」ということを実感することができ、ダイナミックな仕事に鳥肌が立つほど感動する出張を経験できました。入社3年目には念願だったインドネシアでの駐在を経験。現地の人々でもなかなか行かないような小さな島にある鉱山や製錬所に赴き、現地の人と同じ食事を食べ、発展著しい国々で現地の人と一緒になってビジネスを作り上げる、その過程の高揚感を肌で感じることが出来ました。インドネシア人は宗教も違えば価値観も大きく違います。1年前の船積書類がどれだけ催促しても出てこず、現場に言って聞いてみると「無くしてしまった」と言われ通関に向けて一緒に書類探しに奮闘するなど、日本の商習慣からすると考えられないような出来事が数多くありました。予期できない日々、ぶつかり合う異文化の中で、一緒にああでもない、こうでもないとビジネスを一緒に作り上げる過程は何とも言えずExcitingで最高に楽しい経験でした。商社での経験は、まさに自分自身を、そして異なる文化を「越境」した体験だったように思います。
商社での経験を経て、最近NGOに転職し、今この原稿はケニアの難民キャンプで書いています。NGOでの勤務はまだ始めたばかりですが、今後も大学で得た学びを生かし、様々な困難やチャレンジを「越境」し、社会に貢献できる人間になっていきたいと思っています。